高畑充希:進化するヒロインの自覚 とと姉ちゃんは「一人では満たされない」 

「とと姉ちゃん」について語った高畑充希さん=NHK提供
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「とと姉ちゃん」について語った高畑充希さん=NHK提供

 女優の高畑充希さん主演のNHK連続テレビ小説朝ドラ)「とと姉ちゃん」は22日から第21週「常子、子供たちの面倒をみる」に入り、女学校時代にプロポーズされたが、常子が家族を選んで結ばれなかった星野武蔵(坂口健太郎さん)との再会が描かれる。常子が創刊した雑誌「あなたの暮し」も新たな展開を迎え、物語も佳境に入る。常子を演じている高畑さんに、朝ドラのヒロインとしてこれまで走ってきた思いを聞いた。

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 ◇星野とのシーンは「楽しいほど苦しい」

 「とと姉ちゃん」は、生活総合誌「暮しの手帖」創業者の大橋鎭子(しずこ)の軌跡をモチーフとしたドラマ。11歳で父を亡くしたことを境に家族の父代わりとなった小橋常子が浜松から上京し、女性向けの雑誌を創刊。高度経済成長期を生きる女性に支持されていく……というストーリー。

 物語も終盤に入って、高畑さんは「ここから大事なシーンがいっぱいあるので、最後までエネルギーを失わず、ヒートアップしている気がします。大人になってから話が大きくなってきて悩みが増えるけれど、すごく楽しい」と話す。高畑さんは「星野さんが子持ちで帰ってくるのには驚かされました。どういうふうに出会うかは知らなかったので、まず子供と出会うのはちょっとショックでした」と語る。さらに「常子からすると15年がたっているので、結構遠い昔のこと。20歳ぐらいの2人とは全く違う空気感で、星野さんの子供のために手伝いに行ったり、星野さんとのシーンは、楽しければ楽しいほど苦しかったですね」と明かす。

 ◇花山とは「恋愛関係のない夫婦」

 一方、「あなたの暮し」の編集長として「常子の魂のパートナー」となる花山伊佐次を演じる唐沢寿明さんについては「印象的なのは出会いのシーン。リハーサルもなくて、現場で初めて会って、『よーいどん』でしたが、すごく楽しかった」といい、花山の登場で、「常子は、常に一人で前のめりに走っていたけれど、場をかき回してくださる花山さんが入って、グルーブ感が出てきました」と振り返る。物語が進んで「徐々に夫婦のような感じになっていくけど、言い合いして、怒られるけど、お互いを思いやる目線だけのシーンもあって、照れくさいけど、どっちもあるのが好き」で、「恋愛関係のない夫婦のような関係」になっていくといい、「常子は怒られてばかりだけれど、たまに常子の提案が花山さんをぐらつかせたり、シーソーのような関係が面白い」と明かす。

 撮影の現場で唐沢さんが「商品試験をやろうと、(台本で)3ページぐらい演説するシーンがあって、気持ちがはやるとせりふがぽんと飛ぶんですが、そんなときブドウ糖をくださいました」という気遣いも見せいてるという。唐沢さん自身、妻の山口智子さん主演の朝ドラ「純ちゃんの応援歌」(1988年)が出世作で、「朝ドラのヒロインを気遣ってくださる」という。食事にも行くといい、「たまにお芝居の話もしますけど、とにかく唐沢さんが話すんですが、なんだかんだ言って、結局最後は、カラオケで熱唱したり……」と唐沢さんの発するエネルギーに元気をもらっているという。

 星野と花山という2人の男性との関係が、後半のポイントになっているが、「常子にとっては、花山さんは自分の考えとか、発想のきっかけをくれる刺激の人。星野さんは癒やしだから、常子にとってはどちらか一人だと満たされない。常子はバイタリティーのある女性だから、見いだしてもほしいし、癒やされたい。花山さんとバリバリ仕事をしながら、星野さんと結婚するのが理想なんですが……」と語る。演じる上でも「それぞれとのシーンのスイッチは違うかもしれない。オン、オフが違う」と話す。

 ◇唐沢寿明から「主役はそこにいろ」とアドバイス

 朝ドラの主演をここまで務めてきて、「連続ドラマの主役は初めてで分からないことだらけですが、いろんな方が次々来られるから、受け止めなきゃって思っていました」と悩んだといい、「監督から『受けて流せ』って言われてから、すごく常子に近づけた気がした」と明かす。唐沢さんからは「主役はそこにいろ」とアドバイスされたといい、「いろいろな方から“真ん中に立つ極意”みたいなものを時間をかけて教えてもらえる。恵まれすぎてますね」といい、「ギリギリ最後まで進化したい」と決意を新たにしている。
 ラストに向け、「あなたの暮し」も発展し、星野や花山との関係でも新展開を迎える。朝ドラヒロインとしての進化を続ける高畑さんから目が離せない。

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