女優の大竹しのぶさん主演の映画「後妻業の女」(鶴橋康夫監督)がこのほど、公開された。直木賞作家、黒川博行さんの小説「後妻業」が原作の大阪を舞台にした物語で、大竹さんが、高齢男性の資産を狙って結婚相談所で相手を見つけて“後妻”となり、結婚詐欺を働く「後妻業」の女・武内小夜子を演じ、小夜子を操る結婚相談所所長の柏木亨を豊川悦司さんが演じている。豊川さんと、脚本も手がけた鶴橋監督に話を聞いた。
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同作の見どころの一つが、結婚相談所の高齢男性を次々にとりこにし、金品を巻き上げていく小夜子という63歳の女性の姿。悪女であるにも関わらず、痛快さを感じるのは、大竹さんの愛らしさと演技力ゆえで、小夜子がしゃべる関西弁もその魅力を増すことにプラスに働いている。
豊川さんと鶴橋監督は、大竹さんに「だまされているよね」「だまされて、ここに座っていますね」とうれしそうだ。
これまでにもドラマや映画で大竹さんを起用し、今回は、原作を最初に読んだ時から、大竹さんをイメージしていたという鶴橋監督は、大竹さんの魅力を「すごみがありますよね。段階的にすごみが出てくる瞬間には、ただごとではないという気になる」といい、「少子高齢化が進んで、(人生の)行く末を考えるとさびしい気持ちになる。(大竹さんが演じた)小夜子のような人がいたら、僕はメロメロになる。裏切られても、殺されても功徳だと思ってあきらめるしかないような不思議な魅力がある」と手放しで称賛した。
豊川さんも「誰もが大竹さんを日本一の女優だと思っているけれど、本当にそう。ああいう女性は見たことも会ったこともない。浮世離れしているけれどリアルに生きていて、本当に少女のような人」と表現し、「200歳ぐらいまで生きるんじゃないか。生まれたときからこの世の人じゃないかもしれないと思わせる、つかみどころのない人。それでいてものすごく存在感がある。本当に不思議な魅力的な女性」と独特の表現で、魅力を語った。
同作を「バテきっている人たちに笑ってもらおうという気持ち」で製作したという鶴橋監督。それでいて「映画館を出て、3日ぐらいたってから、笑って見たけれど(自分のことのように)思い当たる。まいったなあと感じる映画のような気もする」と語る。
それは豊川さんが「社会派新喜劇」と評するように、同作はコメディーでありながら、少子高齢化、老老介護などで社会問題化するシニア世代の孤立を浮き彫りにするからだ。
鶴橋監督は「自己責任になり、最後に残るのは個人の孤独や頼りなさ、不安。(その状況で)後妻業に引っかからない方法というノウハウの映画を作っても、当てはまらない。今は苦い社会。(映画を通じて老後の)孤立や孤独を若い人にも見てもらって、今から順にちゃんとやっておかないと、僕らの世代になるとアウトだぞというメッセージでもある」と語った。
一方、同作のサウンドトラックの話になると鶴橋監督から笑みがこぼれる。音楽は約1年半かけて、プロデューサー、作曲家と作り上げた。CDアルバムのジャケットに自身の顔写真が使用されていることについて「みんなが僕をおもちゃにしている。息子に見せたら、仰天していた。売れない演歌歌手みたい」と言いながらも、まんざらでもなさそうな笑顔を見せていた。映画は全国で公開中。
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