1980年代に人気を博した作品のリブート作となる映画「ゴーストバスターズ」(ポール・フェイグ監督)が公開中だ。映画は「ゴーストバスターズ2」(89年)を手がけたアイバン・ライトマンさんがプロデューサーとして参加し、女性4人が「ゴーストバスターズ」として幽霊退治に奔走する姿を描いている。今作の日本語吹き替え版で、エリン・ギルバート役を演じる友近さん、アビー・イェーツ役の渡辺直美さん、ホテルのフロント役を担当する椿鬼奴さん、リポーター役のお笑いコンビ「南海キャンディーズ」の山崎静代さんに、アフレコや話題のミュージックビデオについて聞いた。
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日ごろから表情や動きなどでも表現している4人だが、声だけで演じる声優に挑戦し、「すごく難しかった」としみじみと話す渡辺さんは「日ごろどれだけ顔でごまかしてきていたんだろうっていうくらい(笑い)。声だけで感情を伝えることは難しいですし、さらにアビーの細かい気持ちやボケだったりを表現するのも大変でした」と振り返る。自身が演じたアビー役について、「アビー役の方は声が高くてかすれているのですが、私は声が低いので、できるだけ近づけようと高めの声で演じました」といい、「すっごい楽しかったです!」と充実感をにじませる。
エリン役の声を演じた友近さんは「ネタやコントなどでよくアフレコみたいなことをやっていたので、お話をいただいたときはすごくうれしかった」と笑顔を見せるも、「ただコントのイメージが強いだろうし、ネタでやっていたキャラクターのようになってはいけないなと思って、変に難しく考え過ぎてしまい、最初は控えめにやっていました」と明かす。
しかし、「あとで聞き直すと、もっと思い切りやった方がいいのかな、と。何度も何度もやり直したのですが、そこではいけたかなと思うんですけど、(映像を)通して見るとエリンぽくないかなとか、最後まで私の中で正解は出なかったです」と振り返る。そして、「でも自分が思っているよりは、スタッフ方からは『いいよ』と言ってくださったので、難しかったですけれど、めちゃくちゃ楽しかったです」とほほ笑む。
何回もやり直したと話す渡辺さんだが、「最初は自分の中で声も定まっていなかったりしたので、1ページ分ぐらいのせりふでも2~3時間ぐらいかかったこともありました」と明かし、「スタジオには1人なので、その外にはたくさんの人がいて『少々お待ちください』と言われたあとの時間が不安でした」と打ち明けると、聞いていた3人も「そうそう」と強く同意した。
さらに「声のテンションとかも難しかったのですが、監督が一つ一つ丁寧に言ってくれたので、とてもやりやすかったです」と渡辺さんが話すと、友近さんは「見た目の感じから入ったトーンの声で出そうと演じ、まるっきり自分の中で可愛らしいエリンを作ってやりました」と役作りについて説明する。
ホテルのフロント役の鬼奴さんは、「私(のシーン)は短いのですが、最初はどういうものか全然分からなくて、指導してくださる方の言う通りにやりましたが、何回もやり直しました」と明かす。声を演じながら鬼奴さんは桃井かおりさんのモノマネも披露しているが、「桃井かおりさんのまねは自分からやったわけじゃなく、全部指示の通りです(笑い)」と話し、「私は声に特徴があるから、あまり長時間は聞けないんだろうなと思いました」と自虐的に言って再び笑う。
聞いていた渡辺さんが「そこのシーンはすごくいい声でした」とたたえると、「本当!?」と鬼奴さんが喜ぶも、「そこのシーンで笑っちゃってNGも出しちゃいました(笑い)」と渡辺さんは語った。すると、「思ってもないくらい高いテンションで指導され、やり過ぎかなぐらいの感じでやったことがオーケーになるというのは面白かったです」と鬼奴さんは驚く。
リポーター役を担当した山崎さんは、「短いシーンなのに、こんなに何回もやるんだと思い、声のお仕事の方って本当にすごいなと思いました」と感嘆し、「リポーター役もそんなにテンションが高い役でもないのですが、それでも最高にテンションを上げて声量もトーンも上げてという感じだったので、普通に話しているだけに見えるけど、めっちゃ叫ぶくらいやりました」と明かす。そして、「あとで映像にはまったものを聞いてみると、それがちょうどいいくらいなので不思議でした」と言う。
今作への出演について、親しくしている水谷千恵子さんが何と言っているかを友近さんに聞くと、「千恵子先生は、何でもチャレンジすることに関しては応援してくださるので、『続編があったら私につなげて』と言って、その後に『ばか言ってる』と(笑い)。事前にアドバイスもいただいていました」と明かした。
4人は吹き替えを担当しただけでなく、ミュージックビデオにも出演して話題を集めている。「シンプルな現場で撮影したのですが、出来上がりを見たらチョー可愛く仕上がっていて、すごく気に入っています」と渡辺さんは笑顔で話し、「まさかアメリカで盛り上がるとは思っていなかったので、すごくうれしかったです」と驚きつつも喜ぶ。
一方、鬼奴さんが「話題になってることは、直美ちゃんに言われて初めて知りました」と言うと、友近さんは「まさかそんなに盛り上がると思ってなかったんですけど、海外では本当にいろんな方に言われているなと。シンプルですけど可愛らしい」と満面の笑みを浮かべる。そして山崎さんは、「こんなふうに世界にバッと広がるネット社会ってすごい(笑い)」と分析し、「今はそういう時代なんだなと思いました」と感慨深げに語る。
聞いていた渡辺さんは、「日本だけのプロモーションと思っていたら、世界中に向けて発信、プロモーションできたんだなって思いました」と言って深くうなずいた。
今作にはバスターズの会社の受付としてクリス・ヘムズワースさん扮(ふん)するケビンが、イケメンながらとぼけたキャラクターで活躍している。「私は無理です(笑い)」と渡辺さんは言い、「イケメンだし、ちょっと抜けている感じの男性を可愛いっていう女性もいるかもしれませんけど、私は頼れる男性が好きなのでちょっと……」と苦笑い。さらに、「見た目はいいですけど、意味不明な行動が多過ぎです(笑い)。映画の中で(バスターズの女性4人は)みんなよく抑えられるなと。私ならもっと怒っちゃうと思います」と本音を明かすも、「憎めないので友だちにはなれるかな」と結論づける。
一方、自身が声を演じるエリンはケビンを気に入っているそぶりを見せるが、友近さんは「エリンは恋していましたけど、(エリンは)見た目とかで決めるのかな」と切り出し、「私もお付き合いするとなったら違うかな。ただ(ケビン役の)声優の方にはお会いしたいです」と思いをはせる。
ケビンの写真をじっと見つめていた鬼奴さんは「イケメンとは1回は付き合いたい」と意外な発言をし、「イケメンでマッチョな方と付き合ったことがないので、憧れはあります。主人(お笑いコンビ「グランジ」の大さん)は真逆で、だらしない体形だし……」と残念がると、「大さんを鍛えさせようとは?」と渡辺さんに聞かれ、「夜、酔っぱらうとすぐに『アイス食べたい』って言うんです(笑い)」と不満交じりに答える。
黙って聞いていた山崎さんが、「最近、異性だったら何でもいいっていう思いがあるので、誰でも受け入れる気持ちでいます(笑い)」と明かすと、ほかの3人から笑いが起こった。映画は全国で公開中。
<友近さんのプロフィル>
1973年8月2日生まれ、愛媛県出身。2003年度NHK新人演芸大賞大賞(演芸部門)、03年NHK上方漫才コンテスト優秀賞、04年ABCお笑い新人グランプリ 優秀新人賞を受賞。バラエティーを中心にドラマや映画、ラジオなど幅広く活動するほか、“水谷千重子”名義で歌手活動も行う。11年に地元・愛媛県の「伊予観光大使(いよかん大使)」、16年には「京あるきin東京2016」の広報大使に就任。
<渡辺直美さんのプロフィル>
1987年10月23日生まれ、茨城県出身。「さんまのまんま」(フジテレビ系)でビヨンセさんのものまねを披露し話題を集める。2008年には「笑っていいとも!」14代目いいとも青年隊として「いいとも少女隊」を結成しブレーク。芸人として活躍するほか、ぽっちゃり女子向けファッション誌「la farfa(ラ・ファーファ)」のモデルや、ファッションブランド「PUNYUS(ぷにゅず)」のプロデュースなども手がける。映画やドラマへも出演し、活動の幅を次々と広げている。
<椿鬼奴さんのプロフィル>
1972年4月15日生まれ、東京都出身。数多くのバラエティー番組で活躍。10年には劇場版アニメ「クレヨンしんちゃん 超時空!嵐を呼ぶオラの花嫁」、12年には映画「大奥~永遠~[右衛門佐・綱吉篇]」などにも出演したほか、14年には「金星ダイヤモンド」としてアルバムを発売。
<山崎静代さんのプロフィル>
1979年2月4日生まれ、大阪府出身。お笑いコンビ「西中サーキット」や「山崎二宮」などを経て、2003年に山里亮太さんとお笑いコンビ「南海キャンディーズ」を結成。06年に出演した映画「フラガール」の演技に注目が集まり、以降は女優としても活躍。07年からはボクシングに本格的に取り組み、女子ヘビー級の認定王者になるも、15年に競技を引退。主な出演映画に「劇場版 カンナさん大成功です!」(09年)、「ヒーローマニア-生活-」(16年)など。
(インタビュー・文・撮影:遠藤政樹)
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