名探偵コナン
#1146「汽笛の聞こえる古書店4」
12月21日(土)放送分
アニメにおいて、キャスト発表は話題性の高いトピックスだ。しかし一方で、声優以外の著名人を起用した話題性重視のキャスティングが、熱心なアニメファンからそっぽを向かれて“炎上”するケースも散見される。そんな“声優以外のキャスティング”について“オタレント”の小新井涼さんが、独自の視点で分析する。
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「次のプリキュアシリーズは……!」と言われると、どうしても注目してしまうのは大きなお友達のさがです。しかし今年の情報解禁は、例年とは別の理由で“アニメファン以外”からも注目を集めていました。
新シリーズ「キラキラ☆プリキュアアラモード」のメインキャラを、ドラマ「僕と彼女と彼女の生きる道」の“凛ちゃん”美山加恋さんと、「クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!」の“まいんちゃん”こと福原遥さんが担当するというのです。そして折しも、「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」のキーキャラクターを、女優や歌手としても活躍する神田沙也加さんが務めることも、同時期に話題となりました。この3人は共に声優経験者です。とはいえ、その話題性や影響力がアニメファンだけにとどまらないという点では、“声優以外のキャスティング”と呼べるアニメへの越境的な出来事といえるでしょう。でも、意外と?アニメファンからの拒否反応が少ないような気がします。
前提としてそもそも、俳優、芸人、スポーツ選手といった著名人の方が劇場版アニメなどにゲスト出演する例は多々あります。最近は洋画の日本語吹き替えを声優さん以外の著名人が務めるケースも増えたものの、現在も親しまれている「アンパンマン」や「ポケモン」など、アニメの方がその歴史は長いと言っていいでしょう。ただし、声優さんをあまり起用しないジブリ作品のキャスティングに毎回賛否両論の声があるように、アニメファンがこうしたキャスティングにも慣れているだけなのかというと、それも違うように思います。ただ、昔に比べていわゆる“アレルギー反応”は減っているのではないでしょうか。
私はそのきっかけが、細田守監督の「時をかける少女(時かけ)」にあったのではないかと考えています。この作品も、主人公・紺野真琴役の仲里依紗さんは普段ドラマや映画で活動する女優さんで、しかも当時は新人さんでした。しかしそのことで、アニメファンからキャスティングに強い疑問や反発の声はあまり出なかったように記憶しています。そして「時かけ」以降、そのような作品は確実に増えてきています。去年ですとのんさんの「この世界の片隅に」や、神木隆之介さん、上白石萌音さんの「君の名は。」などなど。ならばこれらの作品の共通点に、“声優以外のキャスティング”に強いアレルギー反応や反対の声がなかった理由があるのではないでしょうか。
そもそもの結論から言ってしまえば、“炎上”しないキャスティングは、もちろん「その人の実力と、作品との相性」です。そりゃそうです。ただし、先述した作品はそれに加えていずれもキャスティングの“プロモーション感”が前面に押し出されていないような気がします。そのことが、「門外漢の客寄せパンダが図々しくアニメに押し入ってきた」というネガティブなイメージではなく、「アニメに新しい仲間が加わった」という印象を与え、作品とその俳優さん、女優さんとの相性の良さが正当に評価され、キャスティングへの説得力にもなっていると思うのです。
冒頭の件でいえば、「宇宙戦艦ヤマト2202」の発表時の神田沙也加さんの「(別録りではなく)キャストのみなさんと同じ現場で、同じタイミングでのアフレコだった」というコメントに対しても、いちファンとして「アニメに新しい仲間が加わったんだな」という感じがします。“聞かず嫌い”の先入観は以前と比べて感じなくなってきました。
昨今では、大河ドラマ「真田丸」に出演した高木渉さんや「μ’s」の紅白歌合戦出場など、逆に声優さんが実写部門へマルチな活動をされているケースも増えましたし、それが大きな話題を集めました。アニメだ実写だとか、声優だ俳優だとかそういった“壁”が次第になくなっていっているのかもしれませんね。
こあらい・りょう=埼玉県生まれ、明治大学情報コミュニケーション学部卒。アニメ好きのオタクなタレント「オタレント」として活動し、ニコニコ生放送「岩崎夏海のハックルテレビ」やユーストリーム「あにみー」などに出演する傍ら、毎週約100本(再放送含む)のアニメを見て、全番組の感想をブログに掲載する活動を約2年前から継続。「埼玉県アニメの聖地化プロジェクト会議」のアドバイザーなども務めており、社会学の観点からアニメについて考察、研究している。
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