ボイメン田中俊介:14キロ減量で挑んだ映画初主演作 「役者への第一歩」と手応え

映画「ダブルミンツ」について語った田中俊介さん
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映画「ダブルミンツ」について語った田中俊介さん

 東海エリア発の男性10人組ユニット「BOYS AND MEN」(ボイメン)の田中俊介さんが映画初主演した「ダブルミンツ」(内田英治監督)が公開された。「イチカワミツオ」という同じ名前を持つ男2人の極限の愛を描いた作品。1年前から役作りに取り組み、最大で14キロ減量するなど並々ならぬ覚悟で撮影に臨んだ田中さんに、作品への思いを聞いた。

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 ◇原作に近づきたい一心で大幅減量 メンバーとの食事「つらかった」

 映画は「サブカル界のカリスマ」と呼ばれる中村明日美子(なかむら・あすみこ)さんの同名マンガが原作。田中さんと淵上泰史(ふちがみ・やすし)さんがダブル主演した。ある日、壱河光夫(淵上さん)の元に、高校時代に同級生だった市川光央(田中さん)から「女を殺した」と電話があり、2人は再会する。そして取り返しのつかない犯罪の世界へと落ちていく……という物語だ。

 撮影開始約1年前にオファーを受けたという田中さん。原作の魅力を「美しさがあって、とげとげしいほどの狂気的なものがあって……簡単に触れられない世界」と表現する。

 減量は「原作ファンの方を裏切りたくなかったし、僕自身も原作のファンになって、市川光央という男を好きになった。少しでも近づきたいと思って」と始めた。習慣にしていた筋トレをやめ、野菜中心の食事と、朝晩のランニングで、身長175センチで約70キロだった体重は一時期、56キロまで減り、監督からの指示で2キロ戻してから撮影したという。

 「予定より早く10キロぐらい(体重が)落ちちゃって、4カ月ぐらい維持するのが大変でした。でも、やせて光央に近い状態で生活ができたのはプラスに働きました。やせたことで感覚が研ぎ澄まされて、味をすごく感じるようになったり、孤独感が急に表れたり……。繊細になっていくのが分かりました。大人になってから一番やせていた時なので、肉体的にも精神的にも今まで感じたことのない感覚に入れました」と、過酷なダイエットも役作りに大いに役立ったと話す。

 一方で、つらかったのは「ボイメン」メンバーたちとの日々の食事。「同じように弁当が支給されたり、ケータリングや差し入れの甘いものがあったりして、メンバーはみんな手を出している中、僕だけサラダを食べていました。みんなは、うまそうに好きなだけ食べて……。食べても太らない体質のメンバーもいて、いいなあと思っていましたね。元々、食いしん坊なので食べたいんです。何度かつらい時がありました」と苦笑い。くじけずに続けられたのは「この作品に賭ける思いが勝ちました」と笑顔を見せる。

 ◇死ぬまでボイメン そのためにも役者として生きたい

 約7年前、ボイメンのメンバーとして活動しはじめた当初から「役者になりたい」と公言していた田中さん。面識のあった内田監督には、その思いを伝えていたことから「まさか主演という形で声をかけてもらえるなんて、本当にうれしくて、なんとしてもその気持ちに応えたい、妥協は一切したくないという思いでした」と並々ならぬ思いがあったことを明かす。

 減量だけでなく「ずっと光央のことを考えていました。監督からは常に『おまえは芝居はするな。今まで自分が経験してきたことと市川光央の考えや行動をすり寄せろ』と言われ、どこから芝居していたのか感覚がないぐらい」と役にのめり込んだ。

 光央と光夫の関係は、ひと言で言い表すのは困難で「初めて原作を読んだ時は、何が2人をつないでいるのか、しっかりと理解して受け入れることができなかった」という。撮影を終え、光央を演じ切った頃には「純愛だと思った」が、今はまた違う考えが頭をもたげている。

 「あれだけ役と向き合って純愛だと思ったのに、完成した作品を見たり、原作を読み返したりした今、これが純愛かと言われたら、イエスとは言えないし、何なのかと言われてもはっきりと答えられないんです。そこが『ダブルミンツ』の面白さ。1回では理解しがたかったり、もっと知りたくなったり……。自分が置かれている状況によって見方が変わる作品」という魅力を感じている。

 田中さんには、役者という目標のほかに「死ぬまで『BOYS AND MEN』をやって、守っていきたい」という決意がある。「そのためにメンバーの一人一人が、この世界(芸能界)で生きていかなくてはいけない。僕は役者の道で生きていきたい。今、僕らはアイドルのように見えているけど、役者一本でやっている方たちと勝負できる、上回れるだけの努力をして、将来的には(役者という)地位を確立したい」。精魂を込めて演じたこの作品が「その第一歩になったと思います」と力強く語った。役者・田中俊介の可能性にも注目したい作品だ。

 <プロフィル>

 たなか・しゅんすけ。1990年1月28日生まれ。愛知県出身。東海エリア出身・在住のメンバーで構成された10人組ユニットBOYS AND MENのメンバー。NHK名古屋放送局の生放送ドラマ「喜劇 娘の嫁ぐ日」、河北麻友子さん主演「白鳥麗子でございます!」のドラマ版、映画版などに出演。テレビやラジオなど、グループのレギュラー番組に出演するほか、個人の活動として東海エリアで放送中の映画情報番組「映画MANIA」(東海テレビ、木曜深夜1時~)にレギュラー出演している。

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