俳優の役所広司さんが主演を務め、柚月裕子さんの小説を実写化する映画「孤狼(ころう)の血」(白石和彌監督)の撮影現場が、このほど公開された。ヤクザとの癒着がうわさされる刑事・大上役の役所さんは現場で取材に応じ、「楽しかったです。白石監督も終盤に差し掛かるにつれて(撮影が)粘り強くなってきて、現場が深夜までかかる日も増えましたけど、ずっといい雰囲気だった」と振り返り、「俳優、スタッフ全員が『これはいい映画になる』という手応えを強く感じられた現場だったんじゃないでしょうか」と充実感をにじませた。
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撮影は大上と、松坂桃李さん扮(ふん)する捜査2課の新人刑事・日岡、尾谷組の若頭・一之瀬役の江口洋介さんらが、真木よう子さん演じる高木里佳子がママを務めるクラブ「リコ」を訪れ、ひと悶着(もんちゃく)を起こすシーンの撮影が公開された。広島県呉市内にあるレトロさを漂わせる店舗内を借り切って組まれたセットは、テーブルや椅子、バーカウンターなど、作品の世界観や“昭和”の空気感を細部に至るまで丁寧に作り込んでいた。
スタッフやエキストラなどが店舗内に所狭しと詰める中、軽妙な広島弁でやり取りをする役所さんと松坂さん。その横には物静かながらもギラギラとした鋭い眼光が印象的な江口さんが控える。そこに和装の真木さんが登場し、華やいだのもつかの間、敵対する組織の組長・五十子役の石橋蓮司さんが現れると場の緊迫感が一気に上がり、熱のこもった演技が繰り広げられた。
撮影後、取材に応じた松坂さんは「これまでなかなか体験することのなかった“攻めた現場”で、その日の現場がどういう感じで進むのか、想像のつかない日々でした」と胸の内を明かした。今作が2度目となる白石監督について「前作よりもがっつりご一緒することができ、『やっぱり変態だなあ』と思いました(笑い)」とちゃめっ気たっぷりに話し、「そんな白石監督の“攻める”感じが大好きなので、非常に充実した撮影となりました」と手応えを語る。
クラブ「リコ」での撮影について、江口さんは「ここから戦いが始まるかのような、少しでも引いたら負けという緊迫感がありました」と話す、「完成が楽しみな現場となりました。シーンすべてが刺激的で“台本を超えている”という手応えを感じていましたし、すべてのシーンがつながったら、『仁義なき戦い』とはまた違った魅力を持ついい作品になると思います」と自信をのぞかせる。そして、「混乱した時代の中で、自分の精神を貫き通す男たちの生きざまがどう届くのか、今から興味深く思います」と思いをはせた。
「孤狼の血」は、暴力団対策法成立以前の広島・呉原市を舞台に、暴力団系列の金融会社社員の失踪(しっそう)事件を捜査する警察と暴力団組織間の激しい抗争を描く。役所さん、松坂さん、江口さん、真木さん、石橋さんのほか、滝藤賢一さん、田口トモロヲさんらも出演している。映画は2018年春公開。(遠藤政樹/フリーライター)
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