青木志貴の魔王式随想:「青木志貴」というキャラと「服」

青木志貴さん
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青木志貴さん

 人気ゲーム「アイドルマスター シンデレラガールズ」の二宮飛鳥役などで知られる新人声優の青木志貴さん。自身を「ボク」と呼ぶ“ボクっ娘”で、“魔王”のニックネームで「League of Legends」などのオンラインゲームをがっつりやり込むコアゲーマーという異色の経歴も併せ持つ青木さんが、その独自の視点で自身の歩みやさまざまな思いを語ります。

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もう夏が来ますね~。1年があっという間に過ぎていく感覚。今年の夏こそは屋形船でうまい飯とお酒をいただきながら花火を見るぜ!!と毎年思いながら、毎年かなわず過ぎていく夏です。こ、ことしの夏は……、今年も難しそう……。

 今回ボクがお話するのは「ファッション」について! 先日発売されました「JUNON」という雑誌にモデルとして掲載していただきました。久々のモデルのお仕事。「またモデルのお仕事ができたらいいな~」とは最近思っていたのですが、さっそく実現してうれしい限りです。

 ボクが大好きでよく着ている「KINGLY MASK」さんのモデルとしての撮影だったのですが、このブランドはユニセックスファッション、性別関係なく着られるファッションブランドで、性別という概念にとらわれたくないボクとしてはとてもうれしいブランドだったりします。

 ボクは芸能関係のお仕事がしたくて上京したのですが、なんだかんだ一番最初にやっていたお仕事はモデルのお仕事でした。その頃も今と同じく中性的な格好を好んで着ていたのですが、モデルのお仕事をしてみませんか?と声をかけられたのは、よくある街角でのスナップやスカウトではなく、まさかのライブ会場で(笑い)。しかもお客さんとして遊びに行っていたわけではなく、ボクが出演者として出ていたライブで声をかけていただいたんです。

 そういった経緯があって、ありがたいことに雑誌でメークモデルやファッションモデルをさせていただくようになりました。その雑誌は全国で販売されていたので、親に「雑誌でモデルやってるよ」と報告すると、親が雑誌を購入して喜んでいたのを覚えています。

 その雑誌でも中性的な服装や、どちらかと言えば男性向けの服で撮影することが多かったので、元々そういったファッションが好きだったボクはいろんな服が着られて楽しかったなあ……(笑い)。

 服装や髪型、髪色などに厳しい規則のない高校だったので、撮影以外の普段の学校生活でもとても目立つ格好をしていましたが、同級生にはそういった子が多かったせいか、ボクが特別目立った格好でも浮いている状況にならなかったのもありがたかったです。そうして高校を卒業後も、中性的なファッションを続けていて、髪色も金髪からピンクになったり、青になったり……。今となっては昔と今のファッションの好みや傾向があまり変わっていないなぁと思うのですが(笑い)。

 ただ、大きくボクの服装の傾向が変わった時期があります。たぶん22歳から25歳くらいの間の数年間でしょうか。それまで派手で短かった髪を伸ばし始めたことがきっかけですね。ボクも当時はなにを思って派手髪をやめたのかは思い出せませんが、とにかく普通の茶髪ストレートヘアになって……、そうしたら髪型に合わせて、中性的なものより女性寄りのものを着ることが多くなりました。

 ボクにとって、服装って「好きなものを着る」というより「自分っていうキャラクターを作り上げるためのパーツの一部」って感じでした。高校の頃は派手な頭で、「男に間違えられるくらいかっこいい感じの人になりたい!」と思っていたので自然とそういったかっこいい感じの服が多くなって。

 髪を伸ばして女っぽい普通の髪型になった時は、理想としていたお人形さんのような友人がいて、そのイメージの女の子を作ろうとしていたような気がします。今考えると今のボクでは絶対に着られないようなワンピースやスカートばかり。決して自分が着たいと思っていたわけではなくて、自分を着せ替え人形にしているような感覚といいますか……。「この髪型ならこういう服が合うのでは!?」「こういう女の子がかわいいと思ったから、作ってみよう!」みたいな(笑い)。

 「好きなものを着る」というより、その時の自分の髪なんかに合わせて「好きなものより、似合いそうなものを着る」という考えで過ごしていました。特にその頃は仕事で髪を伸ばしていなければならなかったということもあって、高校の頃のように中性的な感じのファッションに戻りたいと思うことも多かったのですが我慢していましたね。

 そういった状況でも好きな系統のファッションに戻らなかったのは、やはりボクにとってファッションはキャラクターの一部という考えがあるからだろうなあ。その頃の、黒髪や茶髪のロングヘアーで普通の女っぽい「青木志貴」としてのキャラクターがあったからだと思います。

 そんな期間がありましたが、髪型の制約がなくなった途端、黒髪ロングストレートヘアーから現在の派手髪ショートになって、「普通の女っぽい青木志貴」しか知らなかった皆様は大変驚かれたことと思います……(笑い)。でも高校時代や、髪を伸ばし始める前からの友人には「やっと青木に戻ったね~」なんて言われることもあって、なんだか懐かしい気持ちです。

 そして何より楽しい!! 好きな服を着て、好きな髪形で、好きなファッションで過ごせるというのは、ただちょっと外に出るだけでも、仕事にいくときでも、こんなにわくわく楽しい気持ちにしてくれるんだなあと新鮮です。

 今日はなにを着よう、どんな髪型にしようとか悩んでる時間も楽しいですし、気に入った服を着ているというだけで「ちょっと寄り道して帰ろうかな~」なんて気分になったりもします。「とにかくおしゃれして出かけたい!」って日もあったり(こんな引きこもりなのに! ファンタスティック!)。そう思わせてくれる「服」の力ってすごいなぁとも思います。

 そして今、こうして中性的な服装で、奇抜な髪で、声優らしくないとよく言われたりもしますが(笑い)、それも含めてこのファッションスタイルが「青木志貴」というキャラクター、記号になっていたらいいなあと思ったり……。

 そしてなんとありがたいことに、その大好きでよく着ている「KINGLY MASK」さんとコラボして、青木志貴コラボTシャツが販売されました! Tシャツはボクがデザインしたもので、青い猫の目の写真が使用されているのですが、これはボクの愛猫の1匹「ゆん」の目の写真を使用させていただきました! こだわって、苦労して撮影した一枚です(おとなしく撮られてくれない……)。そして性別関係なく着ていただけるように、そしてボク自身の象徴という意味も込めて(笑い)、Tシャツには「Gender is Lost」の一文を入れさせていただきました。性別が迷子です。

 好きな服を着ていたら、またやりたかったモデルの仕事ができて、さらに愛猫の写真のTシャツを出すという夢までかなえられてしまって、本当にうれしいです(ファッションの力ってすごい!)。これからもボクは多分、髪に限界が来ない限りは派手な髪色で、中性的なファッションを貫くんだろうなぁと思っています。とんでもない心境の変化が無い限りは……、ね(笑い)。

 うれしいことにボクのファッションや髪型をまねしてくださる方がいたり、「今日のアクセサリーはどこのものですか?」とか、「どんなブランドの服が好きですか?」とか聞いてくださる方がいるのもまたうれしいです。少しでもボクが身に着けることによって、「すてきだなあ」とか「まねしたいなあ」とか思っていただけるように、かっこよく着こなせたらいいなぁと思います!

 そしてこれからもまた「青木志貴」というキャラクター、記号としてモデルのお仕事ができたらうれしいなあ。

 ◇プロフィル

 あおき・しき=1月14日生まれ。162センチ、AB型。「アイドルマスターシンデレラガールズ」の二宮飛鳥役など。声優、タレントと多方面で活動中。ゲーマーとしても「魔王」の愛称を持つコアゲーマー。

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