東出昌大:なぜ落語にはまったのか? Eテレ「落語ディーパー!」

「落語ディーパー!」に出演する(左から)雨宮萌果アナウンサー、春風亭一之輔さん、東出昌大さん、柳家わさびさん、柳亭小痴楽さん、立川吉笑さん
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「落語ディーパー!」に出演する(左から)雨宮萌果アナウンサー、春風亭一之輔さん、東出昌大さん、柳家わさびさん、柳亭小痴楽さん、立川吉笑さん

 2016年10月から17年2月まで放送された「超入門!落語THE MOVIE」(NHK総合)は、落語を聴く機会がなかった人に、その面白さを気づかせてくれた。この夏、別の切り口で「落語を知らないなんて、もったいない」と、さらに落語の奥深さと面白さを追求した番組が放送される。落語ファンの俳優、東出昌大さんと若手落語家が出演し、31日午後11時からスタートする「落語ディーパー!」(NHK Eテレ)。東出さんがなぜ落語にはまったのか、落語の魅力はどこなのかを教えてくれる落語バラエティー番組だ。

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 モデルから俳優に転身した東出さんは、妻となった杏さんが主演した2013年のNHK連続テレビ小説「ごちそうさん」に出演し、ブレークした。東出さんは関東出身のため、撮影前に、上方(関西)の言葉や文化を体に染み込ませようと、寄席「天満天神繁昌亭」(大阪市北区)と、その入り口の前にある上方落語協会会長の桂文枝さんら上方の落語家が行きつけの喫茶店「ケルン」で、アルバイトとして働いていた。

 今でも「ケルン」には、落語家のサインとともに、東出さんが杏さん、近藤正臣さんらと訪れた時の写真が飾ってあり、落語ファン、ごちそうさんファンの「聖地」となっている。

 名人、古今亭志ん朝を聴いて落語にはまったという東出さん。番組では落語ファン代表、私たち視聴者代表というポジションだ。毎回、一つのネタを取り上げ、「もったいないポイント」、すなわち、そのネタの見どころをあげて、春風亭一之輔さんらと、そのネタの好きなところ、落語家はどう演じるのかなどをトークする。出演は一之輔さんと、柳家わさびさん、柳亭(りゅうてい)小痴楽(こちらく)さん、立川(たてかわ)吉笑(きっしょう)さん。そこに大学で落語研究会だった雨宮萌果アナウンサーが加わる。

 いわゆる「芸談」なのだが、この噺(はなし)はこうで、ここがポイント、といったことは、普通は表で話さないもの。しかし、この番組は東出さんと落語家4人が、「落語を愛する」という同じ目線で語り合っているところが新鮮だ。落語家4人の中では一之輔さんだけが「師匠」と呼ばれる真打ちだが、一之輔さんと他の「二ツ目」3人が語り合う場面に、視聴者は東出さんに乗り移って「芸談」に参加しているような気になる。

 31日は、お殿さまの「さんまは目黒にかぎる」がオチ(サゲ)の「目黒のさんま」を取り上げる。毎回、NHKなどに残る名人の映像も一部流され、その後に、一之輔さんらが同じネタを演じるのも見どころの一つだ。大先輩の名高座の後で演じるプレッシャーはさぞかしのことではと思うが、それをはねのけ演じるところは、見ていて「さすが!」と膝を打つ。

 4回シリーズで、8月7日は「あたま山」、同21日は「お菊の皿」、28日は「大工調べ」(14日は休み)。ディープな落語ファンも、落語初めてという人も楽しめる作りになっているから初心者もご心配なく。東出さんも一之輔さんも「肩の力を抜いて見ていただければ」と話している。夏の夜、お酒やドリンク片手にのんびりとテレビをながめて落語を楽しみたい。

 ただし、放送時間は30分間のためで、落語1席すべては放送できない。ぜひ、これを機に寄席や近くで開かれる落語会へ足を運んで、生の落語に浸ってみることをおすすめしたい。

 ちなみに、「超入門!落語THE MOVIE」は、夏スペシャルとして、ホラーとファンタジーの2作をNHK総合で放送する。8月14日午後10時50分からは「第一夜 死神 茄子(なす)娘」。TOKIOの城島茂さん、嶋田久作さんらが出演する。落語は柳家喬太郎さんと入船亭扇辰さん。15日の同時刻からは「第二夜 化物使い」 。大和田伸也さん、アンジャッシュの児嶋一哉さん、把瑠都さん、南海キャンディーズの山崎静代さんらが出演。落語は桃月庵白酒(とうげつあん・はくしゅ)さん。【油井雅和/毎日新聞】

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