おんな城主 直虎:直政登場で最終章は「少年マンガ」に! 見どころは「青春ものの王道感」

NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」第39回の一場面 井伊直政(虎松/万千代)を演じる菅田将暉さん=NHK提供
1 / 5
NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」第39回の一場面 井伊直政(虎松/万千代)を演じる菅田将暉さん=NHK提供

 柴咲コウさん主演のNHK大河ドラマおんな城主 直虎」の第38回「井伊を共に去りぬ」(9月24日放送)で、菅田将暉さん演じる井伊直政(虎松/万千代)が登場。NHKによると、物語はここから直政の「青春期」がクローズアップされ、少年マンガっぽさがグンと増していくという。1日放送の第39回「虎松の野望」から本格突入する最終章を、少年マンガたらしめるものとは? 制作統括の岡本幸江チーフプロデューサー(CP)に話を聞いた。

あなたにオススメ

 「おんな城主 直虎」は56作目の大河ドラマで、森下佳子さん脚本のオリジナル作品。幕末の大老・井伊直弼の先祖で、徳川家康の重臣・井伊直政の養母に当たる主人公・直虎が、男の名で家督を継ぎ、仲間と力を合わせて国を治め、世継ぎの命を守りながら生き延びていく姿を描いている。

 直政(虎松/万千代)は井伊家の嫡男として、後見人となった直虎に育てられ、のちに戦国最強の精鋭部隊「井伊の赤備え」を組織。家康の天下取りを支えて大出世を果たし、「徳川四天王」の1人に数えられる人物だ。第38回では、15歳に成長した姿で井伊谷(いいのや)に“帰還”。今後は家康(阿部サダヲさん)に仕えながら、井伊家再興という野望をたぎらせていく。

 ◇マイナスからのスタート “成り上がり”直政の「悲しみ」「努力」「根性」…

 少年マンガといえばマンガ誌「少年ジャンプ」(集英社)の“三原則”=「友情・努力・勝利」が有名だ。一方、最終章の「おんな城主 直虎」は、「マイナスから負けん気と努力、根性でのし上がる少年の話になる」といい、岡本CPは、直政の“成り上がりキャラ”について「そうならざるを得なかった必然性が、彼の悲しみの中にある」と力を込める。

 「彼の父(直親)であったり、養母の直虎とそれを支えた政次であったり、彼の一族の悲しみをどこかに背負っている。ただがむしゃらに立身出世を目指す、野心家の男の子ではなくて、なし得ようとしてなし得なかった人々の悲しみを背負っているし、悲しみこそが、この“スパイシーな人物”を魅力的にしていると思います」と自信をのぞかせる。

 また岡本CPは、「悲しみ」とともに重要な要素として直政の「努力」と「根性」を挙げ、「どんな恵まれた状態でも努力なくして次の一歩は踏み出せないですし、特に直政の場合はこれを逃すと後がなくなるという意味で、その努力はとても切実なもの」と力説。さらに「だからこそ報われなくて流す涙も悲しくもなるし、15歳の男の子が誰の助けも得られない中、たった一人で立ち向かっていくのはとってもけなげ。素直に『頑張れ』って応援したくなるャラクターになっている」といい、「本当に地べたからはい上がってくる、ある種の“ド根性”にも期待しています」とも語る。

 ◇「壁」となって立ちはだかる直虎 同じ志のもと最後に「勝利」?

 少年マンガ、特に“スポーツもの”などでは、天才的な主要キャラクターが同等、もしくはそれ以上の能力のライバルに立ち向かった結果、敗北を味わい、一度、挫折するのが定番だ。すでに一度、“負かされている”直政の場合、「壁」の役目を担うのは養母の直虎になるといい、岡本CPは「直虎には、自分のことや立身出世しか考えない万千代(直政)の前に立ちはだかる『壁』になってもらいます」と説明する。

 「分かりやすく言うと『井伊という名前を再興して、井伊谷を取り戻す!』と目標を掲げる直政に対して『取り戻してどうする。それで満足するような、そんな“つまらないもの”でいいのか』と真正面から否定する側に回る」といい、「自分でいろいろと経験をしてきて厳しさも分かっている、成長した直虎だからこそ言えること」と狙いを明かす。

 その一方で直政と直虎は、「ただぶつかってばかりではなくどこかで共感、共鳴し合って、いつしか同じゴールを目指すっていうふうになっていく」とのことで、「万千代も身を切られるような思いをする中で、直虎と心を一つにしていく。彼女の経験が生きていくってことになる」と岡本CPも話すように、同じ志のもと、2人が最後に「勝利」をつかむことができるのか、大きな見どころになりそうだ。

 ◇直政の「15歳」に意味は? 「自我の確立」に「葛藤」…

 「おんな城主 直虎」にはこれまでも魅力的な男性の主要キャラクターが登場してきたが、10代半ばの「青春期」が直接的に描かれるのは、直政が初めてとなる。また14~15歳という年齢は、これは少年マンガではないが「機動戦士ガンダム」や「新世紀エヴァンゲリオン」「交響詩篇エウレカセブン」といった名作ロボットアニメの主人公たちにも通ずるところがある。

 岡本CPは「15歳で徳川に仕官したっていうのは定説で、史実ではおおむねそうであったろうと伝えられている」と特に年齢に意味はないとしながら、「15歳といっても、数えで15なので、今でいう14歳。14歳の夏休みでガラっと変わってしまうなんて話もありますからね。いずれにせよ子供から少年にと自我を確立していく時期ではあるのかとは思いますし、自分というものに向き合って、葛藤していく年でもある。そういった意味でも、終盤にきて、“青春ものの王道感”が出てくると思います」と話していた。

 NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」は、NHK総合で毎週日曜午後8時ほかで放送。 

写真を見る全 5 枚

テレビ 最新記事