永作博美:女性が輝く秘訣は「笑顔で前に進むこと」

WOWOWのドラマ「連続ドラマW 沈黙法廷」に主演した永作博美さん
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WOWOWのドラマ「連続ドラマW 沈黙法廷」に主演した永作博美さん

 女優の永作博美さんが主演しているWOWOWのドラマ「連続ドラマW 沈黙法廷」が22日に最終回を迎える。永作さんは今作で、高齢者の不審死連続事件の容疑者となる家事代行業の女性・美紀を演じている。表情がなく、つかみどころのない役柄に「すき間を埋めちゃいけないんだなと思いながら演じていた」という永作さん。さまざまな役をこなし、多忙な永作さんに、休日の過ごし方や生き方について聞いた。

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 ◇美紀の正体は…?

 ドラマは、佐々木譲さんの「沈黙法廷」(新潮社)が原作。1人暮らしの高齢者の絞殺体が発見され、捜査線上に家事代行業を営む女性・山本美紀(永作さん)が浮上する。美紀の自宅マンション前には、事件を捜査する警視庁赤羽署の刑事たちのほかに、埼玉県警も訪れており、美紀の仕事先で複数の不審死が発生していた事実が明らかになる……というストーリー。WOWOWプライムで毎週日曜午後10時に放送。

 ◇待って待って最後に真相が楽しめるドラマ

 永作さんは今回演じた役柄について「美紀という人はアクションを起こせない。今回は本当に難しいなと思いながら手探りで間を埋めていく感じで。つかんじゃったらいけないんだなと思いながらやっていて、何もつかめないまま……。過去、つかみどころのない女の人も随分演じてきましたけど、例えば(2008年公開の主演映画)『人のセックスを笑うな』の役のようなああいうつかみどころのなさではなくて、この人は意思もない、つかまるところもない、誰もいない、過去も分からないというのを埋めていく作業に、新しい挑戦だと感じながらやっていました」と明かす。

 さらに「ラストに法廷シーンがあって、やっと美紀に血を通わせられる場面がやってくるのでそのシーンを楽しみにしながら演じた」という。法廷シーンまではすき間をあえて残し、「埋めちゃいけないんだなと思いながらやっていました。見ている方は本当に変わらない美紀を見ることになっていると思うんですけれど、そういう役なんだと、何も変化を起こさないように、『私はいないものにしてください』みたいな人にどうにか見せようと頑張りました」と役作りの苦労を明かす。

 今作の見どころは「すごく新しいアプローチの作品だなと思いますね。刑事ものも裁判ものもたくさんある中で、動きがあるのが刑事ものだと思いますけど、(主人公が)何も変わらない、何もアクションを起こさないので、刑事ものとして新しいと思います。すごくささいな部分もくみ取っていく作り方もなかなかないなと思いますし、待って待って最後で真相を楽しめるというところも見どころだと思います」とメッセージを送る。

 ◇今後は「流れる時に任せる」

 そんな難役を演じ切った永作さん。今後は女優としてどのように年を重ねていくのだろうか。「あんまり、こんなふうになりたいというのがなくて。先はあまり考えていないですね。先を考えられない人なんだなというのは、よく思います。今までもずっとですけど、いただいた役に対して何か私に縁があってきたんだろうなと思いながら、何かこの人(役)を助けられることはないかと考える。何か私が寄り添うすき間があれば、縁があるんでしょうと思ってやらせていただくという感じです」と話す。

 60、70代になっても女優を続けたいと思うかと聞くと、「皆さんに申し訳なくなるとよくないと思いますので……」と謙遜しながらも、「もし、その年でもできるような役があれば、求められればもちろん、ぜひにと思いますけど……。それくらい落ち着いてきたら、もしかしたらもっと違うやりたいことが出てきちゃうかもしれないですし、ちょっと分からないですね。流れる時に任せます」と笑顔で語る。

 ◇長い休みが取れたら…

 ドラマや映画などでさまざまな役を演じ、多忙な永作さんだが、もし長い休みが取れたら? 「家から離れて何もしないでどこかに行きたいですね。行くのも大変、行っても大変みたいなところに行ってみたい。例えば極地とか。でもそれは現実問題、難しいので、行ったことのない日本国内ですかね。国内のなかなか行けないところ……。国内だったら、家族もみんな連れても行けると思うので。離島でもいいし、山の中でもいいし、ちょっと行くのが大変というか、時間がかかるところに行きたい」と目を輝かせる。

 健康を保つためにやっていることは「ピラティス」だといい、「週1回できたらいいんですけど、仕事が入ってしまったらなかなか行けないので、その場合は家でストレッチポールに寝転がってたりして、体を伸ばしたりしています」と明かした。

 ◇流れに沿って自分を豊かにしたい

 女性として、今後は「ずっと何かはしていたいなとは思います。ずっと働いているだろうなとは想像しますけど、それが(女優なのか)なんなのかは分からないです。やりたいことがまだまだいろいろあるので。でも、それも縁だろうし、流れがあってのことだろうと思うので、たくさんアクションを起こすとかではなくて、流れに沿ってできることをやって、自分を豊かにしていこうと思います」とあくまで自然体で過ごしたいという。

 また、女性がずっと輝き続ける秘訣(ひけつ)があるとしたら?と聞くと、「くじけないというか、何かあっても前に進もうという力だと思います。どんなに大変なときも笑っているのが一番だなと思って。『大変』と言いながら笑っているということが前に進める秘訣なんじゃないかなと思うから、みんなも同じように大変なんだと思えば笑えるんじゃないかなと思って。止まってしまうのはいけないと思うので、ちゃんと息を吸っていれば、脳に血流が回って、脳が動いてくれる。そうしたら、活力が生まれてきて前に進めると思います」と前向きにメッセージを送った。

 <プロフィル>

 ながさく・ひろみ 1970年10月14日生まれ、茨城県出身。映画やテレビドラマ、舞台など幅広い作品に出演。主な映画出演作に、「ドッペルゲンガー」(2003年)、「空中庭園」(05年)、「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」(07年)、「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」(10年)などがある。11年の「八日目の蝉」では第35回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞ほか、映画各賞を受賞した。近年は、映画「四十九日のレシピ」(13年)、「さいはてにて-やさしい香りと待ちながら-」(15年)、「ソロモンの偽証」(15年)などに出演。WOWOWのドラマは「私という運命について」(14年)以来2度目の主演となる。

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