シン・ゴジラ:樋口監督が語るゴジラの造形 長すぎる尾のこだわり ソフビへの思いも

映画「シン・ゴジラ」を手がけた樋口真嗣監督
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映画「シン・ゴジラ」を手がけた樋口真嗣監督

 怪獣映画「シン・ゴジラ」(庵野秀明総監督・脚本、樋口真嗣監督・特技監督)のクライマックスシーンに登場したゴジラのソフトビニール製フィギュア(ソフビ)「怪獣王シリーズ ゴジラ2016 クライマックスver.」が、バンダイから発売される。「シン・ゴジラ」のゴジラは、長い尾など斬新な造形が話題になったが、ソフビは全高約28センチにもおよぶ大きなサイズで、バンダイの担当者が「ソフビの最高潮。今できることを全部やってみた」と自信を見せる。映画を手がけた樋口監督に、ゴジラの造形や同商品の魅力について聞いた。

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 ◇長い尾でジワジワ不安になる

 「シン・ゴジラ」のゴジラは、細身の上半身、小ぶりな両腕や独特の造形が話題になった。樋口監督は造形について「1作目の着ぐるみ感を意識しました。当時は、技法が確立されていなかったので、生物感とかけ離れたしわもあったりする。そこがいいんですよ。庵野総監督や(ゴジラを造形した)竹谷(隆之)さんとせめぎ合いながら、デザインを固めていった」と話す。

 長い尾も特徴的だ。「『モスラ対ゴジラ』でもゴジラは最初、尾から出てくる。尾が回りくねながら動いていると、何をやり出すか分からない。ジワジワ不安になるんですね。実際に撮影を前提とした造形物として作ろうとすると、尾の長さには限界があります。CGだったから、長くできたところもあります。ただ、長すぎて、玩具にする時に困りますね。場所も取りますし」と明かす。

 ゴジラは、第2形態も人気を集めた。不気味だが、どこか可愛げもある姿が印象的で、東京都大田区蒲田に出現したことから、ファンの間では、「蒲田くん」とも呼ばれている。「狙ってはいましたが、まさかここまで人気になるとは……。露骨に可愛いわけではないけど、見ようによっては可愛くも見える。どこに落とし込むかは考えた。体液をもっとビシャビシャ出していたけど、気持ち悪くなりすぎるのでやめました」と語る。

 ◇ソフビならではの味とは…

 ソフビ「怪獣王シリーズ ゴジラ2016 クライマックスver.」は全高約28センチで、発売済みの全高約16.5センチのソフビ「『シン・ゴジラ』ムービーモンスターシリーズ ゴジラ2016 クライマックスver.」と比較すると、かなり大きく見える。熱線を放射する大きな口が再現され、背ビレや尾にはクリアパーツを使用し、紫に光る様子が表現されている。

 樋口監督は、玩具をさまざまな角度でチェックしながら「色がいいですね。背ビレは、クリアパーツでメタリックな塗装なので、角度によって見え方が変わる。大きく、迫力もあります。口の中の造形も細かい」とうれしそうに語る。

 ソフビは、少し柔らかい質感も魅力である。樋口監督は、ゴジラをはじめとした怪獣のソフビを集めているといい、その魅力を「ソフビは表現に限界がある。そこが面白いんですよ。どこで折り合いをつけるかがソフビの矜持(きょうじ)。そこを味として楽しむ。落としてもバラバラにならないから、思いっきり遊べますしね」と話す。「怪獣王シリーズ ゴジラ2016 クライマックスver.」は、ソフビならではの味がありながら、再現度が高いところが魅力のようだ。

 樋口監督は、怪獣のソフビを多数所有しているが、商品化を望むものがある。「昭和のキングギドラの飛んでいるシーンを再現したソフビが欲しいですね。新しいキングギドラはあるけど、昔のものは、なかなかないんですよ。40センチくらいのものがいいですね」と目を輝かせる。

 ソフビの世界は奥が深い。「怪獣王シリーズ ゴジラ2016 クライマックスver.」のようなハイクオリティーな新作が今後も期待される。

 「怪獣王シリーズ ゴジラ2016 クライマックスver.」は7560円。バンダイの公式ショッピングサイト「プレミアムバンダイ」で2日午前11時から予約を受け付ける。2018年3月に発送予定。

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