注目映画紹介:「不能犯」松坂桃李が視線で人を操る男を怪演 沢尻エリカ、真剣佑らとの攻防にも見応え

映画「不能犯」の一場面 (C)宮月新・神崎裕也/集英社 2018「不能犯」製作委員会
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映画「不能犯」の一場面 (C)宮月新・神崎裕也/集英社 2018「不能犯」製作委員会

 俳優の松坂桃李さんが主演を務めた映画「不能犯」(白石晃士監督)が1日からTOHOシネマズ六本木ヒルズ(東京都港区)ほかで公開される。マンガ誌「グランドジャンプ」(集英社)で連載中の宮月新さん原作、神崎裕也さん作画のマンガの実写化。主人公は、次々と起きる変死事件の現場に現れるが、誰も犯行を立件できない=不能犯で、謎の男を追う女性刑事との攻防を描く。

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 都会で変死事件が連続して発生し、警察が証拠を見つけられない中、事件現場では必ず黒スーツの男・宇相吹正(うそぶき・ただし=松坂さん)が目撃されていた。男は、ある電話ボックスに殺人の依頼文を残しておくと、どこからともなく現れてターゲットを確実に死に至らしめるとうわさされている。しかし、死因は病死や自殺に事故などで警察は犯行を立件できず……というストーリー。

 「見つめるだけで相手を死に追いやる」という宇相吹の人の心を操る能力が効かない刑事・多田友子役を沢尻エリカさん、その部下・百々瀬麻雄役を新田真剣佑さんが演じているほか、間宮祥太朗さん、真野恵里菜さん、水上剣星さん、安田顕さんらが出演している。

 最近のマンガ実写化作品としては異彩を放つ本作は、ダークヒーローとも呼ぶべき主人公に扮(ふん)する松坂さんの怪演ぶりに目を見張った。長身の背中を少し丸めてすーっと歩く姿は原作のキャラクターの再現度が高く、時折見せる不敵な笑みや神出鬼没さに引き込まれる。色彩や音響など演出面に不気味さを醸し出すこだわりが感じられる。衝撃度が高めのため、心して見ることをお勧めする。宇相吹への依頼は簡単で、誰しもが依頼者になる可能性があるという描写には、少し背筋に寒気を感じつつも、善悪を超越した宇相吹の振る舞いに、妖艶さやカタルシスを不覚にも覚えてしまった。ぜひ続編が見たい。(遠藤政樹/フリーライター)

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