JUJU:インタビュー(上) 「新参者」シリーズや主題歌に込めた思い

映画「祈りの幕が下りる時」の主題歌「東京」を担当したJUJUさん
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映画「祈りの幕が下りる時」の主題歌「東京」を担当したJUJUさん

 阿部寛さん主演の映画「祈りの幕が下りる時」(福澤克雄監督)が全国でヒット中だ。2010年に放送された連続ドラマ「新参者」以降、8年間続いた警視庁の刑事、加賀恭一郎を主人公にした「新参者」シリーズの最新作であり完結編。今作で、劇場版の前作「麒麟の翼」以来6年ぶりに主題歌を担当した歌手のJUJUさんに、「新参者」シリーズへの思いや「泣ける」と話題のミュージックビデオ(MV)について聞いた。

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 「新参者」シリーズは、人気作家、東野圭吾さんのミステリー小説「加賀恭一郎シリーズ」を原作に、これまで連続テレビドラマと2本のスペシャルドラマ、そして、1本の映画が作られてきた。今作では、ある殺人事件の捜査線上に、一人の女性が浮上。さらにその事件が加賀の失踪した母とつながっていくことで、加賀自身の“最大の謎”が明らかになっていく……。事件の鍵を握る舞台演出家、浅居博美を松嶋菜々子さんが、加賀の母を伊藤蘭さんが演じている。JUJUさんは主題歌「東京」を歌っている。

 ◇歌詞に込めた「親との関係性」

 ――新参者シリーズの劇場版の前作「麒麟の翼」で主題歌「sign」(2012年1月25日発売)を担当されて以来6年ぶりの主題歌です。JUJUさんはもともと原作のファンだそうですが、「新参者」が今作で完結することについて感想は?

 すごく嫌でした。「新参者」が終わってしまうということは、ファンとしてはものすごく悲しいし、加賀恭一郎という人が好きなので。

 私自身、東京の日本橋にはそんなに足を運んだことがなかったけれど、その魅力を新参者シリーズを通して知っていく感覚がすごく好きで。そんな日本橋から加賀恭一郎がいなくなってしまうのは非常に寂しかったです。

 ――今回の劇場版のために主題歌を担当することになったいきさつを教えてください。

 主題歌を作ってくださいというお話をいただいて。私はもともと原作を読んでいたんですけれど、うちのチームも読ませていただいて。そのあとに、映画がもう出来上がっていたんですけれど、音楽は入っていなくて、一応撮り終わってつなげたものというのを見させていただきました。

 ――その映像からインスピレーションを受けて、どういう部分を歌にしようと思いましたか。

 映画の軸になっている部分が「親との関係性」ですよね。なぜ加賀恭一郎という人はお父さんとこんなに仲が悪くて、お母さんはなぜいなくなってしまったのかというのが(シリーズの)物語の中にずっとあって、その謎がようやく解き明かされるときに、もう一つの。これまたいろんなわけありの親子がいて。2組が全然関わってないかと思ったら、そこがめちゃくちゃ濃く交錯していて。

 親との関係って、みんなそれぞれあると思うんですね。ほとんどの人は自分のやりたいことを見つけたりして親元から巣立っていくじゃないですか。そういうときって、親とのけんかがあって、言わなくてもいいことを言ってしまったり、近すぎるからこその甘えとかがあって、もめたりして。

 そのまま親元から離れてしまって、離れると親のありがたみって分かるけど、そのときには(もめたときに)言ってしまったことは取り消せないし、あんなこと言うんじゃなかったという後悔を胸に持ちつつ、どんどん大人になっていくのかなって。

 親に対する気持ち、もしも二度と会えなくなったとしても、親がくれた愛とかでこれから先も生きていけるし、愛を教えてくれたから、私も誰かのことを愛することができたり。でもこれから先、会えないかもしれないとしても、(親が)今いる場所が天国かもしれないし、まだ生きている場合でも地元だったりして離れていても、親が笑顔でいてくれることを祈りながら生きていけたらすごく幸せ。もし会えなくても笑っていてくれたらいいなっていう気持ちで(自分も)生きていきたいなという思いを込めました。

 ◇“泣ける”MVで本人も号泣

 ――理容室を営む父親に反発して東京に出て行った娘が登場するショートフィルム仕立ての「東京」のミュージックビデオ(MV)が“泣ける”と話題です。これにはどういう感想をお持ちですか。

 「東京」は、もちろん映画のために書き下ろしていただいた曲ではあるものの、きっと私たちの生活の中でこういう気持ちってあるだろうと思って、ストーリーのあるビデオを作ることでこの曲の意図を分かっていただけたらいいなあという思いで作りました。映画を見たときも、原作を読んだときも、MVの映像を見たときもそうですけど、できることがあるうちに、親にはちゃんと伝えなきゃいけないし、時間というのは永遠にあるわけじゃないんだなというのは強く感じたんですね。ちょうど今の時期、親元から離れて、夢に向かって生きようとしている人がけんかしている最中にあのビデオを見て、「ちょっと親に謝っておこう」みたいなのがあればいいなあと。

 ――MVの上映会があって、観客の皆さん、泣いていらっしゃったそうですが、周りの反応はいかがですか。

 とにかく泣いたと言われますね。私もデオができた翌日にテレビの収録に向かう車の中で、テレビでビデオのことを聞かれることになっていたので「これ、確認しておいた方がいいよ」って、なんの情報もなく、ストーリービデオだよと渡されまして。「はい」って見始めて、もう心が痛いというか、身につまされるというか。私も結構、親の言うことを聞かなかったので、ああこういうのあるよねと思っていたら、あれ、あれ、あれって思って5分20秒くらいから涙腺が崩壊して(笑い)。

 ダーッと涙が出てきて、最後のところで号泣していたんですよね。見終わったころにスタッフが後ろをちらっと振り返って、私が号泣しているのを見て大爆笑していた(笑い)。「ひどいよ、今からテレビの収録があるのに、こんなに泣いちゃったじゃない」って(笑い)。

 あのビデオを見て、本当にちゃんとしようと思いました。親には伝えられることは伝えたいとか、いまだに大人になっても親とけんかすることとかもあるけれど、いつまでできるか分からないですから、親孝行しようと思いました。

 <プロフィル>

 ジュジュ シンガー・ソングライター。12歳ごろからジャズシンガーを志し、18歳で単身渡米。2004年にメジャーデビュー。3枚目のシングル「奇跡を望むなら…」(06年11月発売)で注目を浴びる。16年10月にリリースしたカバーアルバム「スナックJUJU~夜のRequest」がロングヒットを記録。自らがスナックのママになるというコンセプトで開催した全国ツアーは10万人超を動員。翌17年10月にはビッグバンドジャズライブを東京と大阪で開催した。新参者シリーズは「麒麟の翼」(2012年)の主題歌を担当して以来、6年ぶりに主題歌を担当した。2月21日にアルバム「I」をリリース。4月から2年ぶりとなり全国ホールツアー「JUJU HALL TOUR 2018『I』」(全44公演)の開催が決定している。

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