中村ゆりか:主演映画でラーメン修業 実際の腕前は「笑っちゃうぐらい」?

映画「ラーメン食いてぇ!」で主演を務めた中村ゆりかさん
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映画「ラーメン食いてぇ!」で主演を務めた中村ゆりかさん

 PV数150万回以上という林明輝さん原作のウェブマンガの実写映画「ラーメン食いてぇ!」(熊谷祐紀監督)が3日に公開された。祖父のラーメン作りを継ぐことで生きる希望を見つけ、ラーメン屋復活に奔走する女子高生の物語。主人公の茉莉絵を中村ゆりかさんが演じた。役作りのために、共演の葵わかなさんらと共にラーメン修業もしたという中村さんに、作品の見どころや葵さんとの撮影中のエピソードなどについて聞いた。

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 ◇体力を使う撮影も「苦ではなかった」

 「ラーメン食いてぇ!」は、ラーメン作りのベストパートナーだった妻を亡くし、ラーメン店「清蘭」をたたむ決意をした店主の紅烈土(石橋蓮司さん)、新疆ウイグル自治区でのテレビ取材中、事故に遭い、一人で荒野をさまようはめになった料理研究家の赤星亘(片桐仁さん)、心ない高校の同級生のうわさが元で自殺を考える女子高生の茉莉絵(中村さん)の3人を、1杯のラーメンが思わぬ形で結び付け、変えていく……というストーリー。

 中村さんの演じた茉莉絵は烈土の孫娘。自殺未遂の末、なんとか一命を取り留めた彼女は、烈土が作った清蘭のスープを一口飲んだ瞬間に何かを感じ取り、「私にラーメンを教えて!」と烈土に懇願する。劇中では茉莉絵が烈土の教えのもと、ラーメン修業に挑む姿が描かれるが、中村さんは撮影前に実際にラーメン修業をして、撮影中も麺の湯切りなどを練習。「やりすぎると腱鞘炎(けんしょうえん)になってしまうと注意を受けることもあって、結構体力を使う仕事なんだなって思いました」と語る。

 中でも、麺の生地を包丁で切るシーンは難しかったといい、「あれもへたしたら指を切っちゃう。へたしたら危ないっていうことが多くて、すごく集中してやってました」と振り返る。

 茉莉絵がラーメン作りのための体力を付けるべくランニングをするシーンも多く、「体を使うハードな撮影だったのでは?」と聞くと、中村さんは「体を動かすことが好きなので、あんまり苦ではなかったです。でも、寒い時期にたくさん走らされました」と笑顔を見せた。走るシーンについては「走る時の姿勢が良すぎて、自分で見ると笑っちゃうんです。目を伏せちゃう」と恥ずかしそうに語っていた。

 ◇撮影中に深まった葵わかなとの絆

 中村さん演じる茉莉絵の親友で、自殺未遂の一因を作った人物が、葵さん演じるコジマだ。一度は2人の友情に亀裂が入るが、後に和解し、清蘭復活のため共に奮闘する。

 中村さんは葵さんとの共演について「以前も作品をご一緒したことがあって、今回またご一緒できたのがうれしかった」といい、「2人で『面白い作品にしたいね』『こういうところが伝わってほしいよね』『どうしたら茉莉絵とコジマの絆を見せられるのかな』という話し合いをしました」と明かした。

 そうしたやりとりの中で「わかなちゃんとの絆は多分深まったんじゃないかな……と勝手に思っています」と中村さん。「私よりわかなちゃんのほうが少し年が下なんですけど、私よりしっかりしてるから頼りになります」と信頼を寄せている様子だった。

 ◇中村さんにとって究極のラーメンとは?

 撮影では「たくさんラーメンを目に焼き付けていた」という中村さんに、これまで食べた中で一番おいしかったラーメンを聞くと、「清蘭のラーメンです」と即答。撮影は、原作者・林さんの父のラーメン店「清華軒」で撮影された。清華軒は休業中だが、劇中に登場するラーメンは、店を継いだおいが監修したという。

 清蘭のラーメンは、中村さんいわく「劇中で『麺が“ぴろぴろ”してる』っていうせりふがあるんですけど、本当にそんな感触で、味もシンプルだから食べやすかった」という。「私も何杯も食べちゃって、日に日にちょっと申し訳ないなって気持ちに……。自分は食べてるばかりで、作ってもらっちゃっていたので」と、かなりハマっていたようだ。

 中村さんに「作ってみたいラーメン」について聞くと、「ラーメンを作りたくなる時はあるんです。でも、笑っちゃうんですけど……おいしくないんですよ」と恥ずかしそうに話す。「以前、しょう油ラーメンを作ったんですけど、何かが違って。しかも、具のことを何も考えてなかったから、ホウレンソウだけを乗せたラーメンになっちゃって。ラーメンはお店に食べに行こうって思いました」

 ◇極端に熱のある作品に

 さまざまな作品で活躍中の中村さん。女優という仕事の魅力は「やっぱりみんなで作品を作り上げていくところです」という。一つ一つの作品が最後まで出来上がっていくことが「女優を続けたいというきっかけにもなるし、支えにもなります」と話す。

 作品に携わる際は「作品から気持ちが離れないように心掛けたい」といい、「私が関わらせてもらった作品はどれもすてきな作品で、恵まれてるなっていう感謝の気持ちが大きくて。ここまで続けられてきたのも周りの皆さんがいたからっていうのもあるんです」。

 今回の作品でも、作品が作り上げられる中で「みんなへの愛情も深まったし、団結も深まった」という中村さん。改めて見どころを聞くと、「茉莉絵たちが人生の絶望のふちに立っている部分から1杯のラーメンを通して生きる希望が芽ばえるというすてきな人間ドラマになっています。極端に熱のある作品です」とかみしめるように語った。

 中村さんらキャスト、スタッフが熱を注いだ今作。その熱を感じた後は、きっとおいしい熱々のラーメンを食べたくなるはずだ。

 <プロフィル>

 なかむら・ゆりか 1997年3月4日生まれ、神奈川県出身。中学生の時にスカウトされ2011年に女優デビュー。15年、NHK連続テレビ小説「まれ」に主人公の師匠の娘・池畑美南役で出演し注目を浴びる。ドラマ「賭ケグルイ」(MBS・TBS)に五十嵐清華役で出演中。4月からドラマ「声ガール!」(ABC)に出演予定。

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