アニメ質問状:「はねバド!」 綾乃の感情の揺れ動き、性格で議論 “逃げない”作画を

テレビアニメ「はねバド!」の一場面(C)2018 濱田浩輔・講談社/「はねバド!」製作委員会
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テレビアニメ「はねバド!」の一場面(C)2018 濱田浩輔・講談社/「はねバド!」製作委員会

 話題のアニメの魅力をクリエーターに聞く「アニメ質問状」。今回は、濱田浩輔さんのバドミントンがテーマのマンガが原作の「はねバド!」です。東宝映像事業部の細井駿介プロデューサーに作品の魅力を語ってもらいました。

ウナギノボリ

 --作品の概要と魅力は?

 アニメ「はねバド!」は講談社さんで連載中の濱田浩輔先生によるマンガを原作にしたアニメ作品です。タイトルに「バド」とついている通りバドミントンを題材にした作品になります。元々、原作者の濱田浩輔さんのマンガが好きで、「パジャマな彼女。」を読んでいた時に、映像的なコマ、マンガを描く方だなと強く印象に残っていました。その後、講談社さんで連載された「はねバド!」を読んだ時、バリエーション豊富なキャラクターがたくさんいて、それぞれにしっかりドラマがあるところが非常に魅力的な作品だなと思い、後にスポ根ものとしてかじを切った際により面白くなったと感じ、企画書を書くことにしました。

 --アニメにするときに心がけたことは?

 シナリオ打ち合わせを始めた時には、原作はインターハイ編に突入するかしないか、というタイミングだったかと思うんですが、そのタイミングでの原作が「はねバド!」という物語でどんなことを描こうとしているのか、というところを思考の出発点にして、それまでのエピソードを整理していきました。

 特に大きく議論したのが(羽咲)綾乃の感情の揺れ動き方や性格の部分です。モチベーションがよく変わるキャラクターで、そこが彼女の魅力でもあるんですが、アニメは基本的に流し始めたら話数の終わりまで流していく媒体なので、ある程度分かりやすく整理をしないと視聴者を混乱させてしまう危険があると考えました。なので、綾乃の感情の揺れ動きを一つ一つひもといて構築し、直させていただきました。

 また、この作品で強調して描いている部分として“才能と努力”の対比というものがあります。一見すると、(羽咲)綾乃が才能、(荒垣)なぎさが努力タイプのように見える作品ではありますが、生まれ持ったフィジカル的な素養を才能と捉えたら、なぎさは才能がある選手で、綾乃はその点では才能に恵まれてはいないとも言えるんです。いろいろな切り口からそのコントラストを描くため、メインのキャラクターたちだけではなく、北小町高校の部員たちにもスポットライトを当てることもしています。

 バドミントンシーンについては、とにかく“逃げない”という強い意志を持って制作スタッフの皆さんが日々頑張ってくれています。作画の手法も、さまざまな手法を取り入れてバドミントンというスポーツをしっかり描くための工夫をしています。

 --作品を作る上でうれしかったこと、逆に大変だったことは?

 第1話のV編(編集)はとても印象に残っています。全カットが出そろってプレビューをし終えたときに、その場にいた関係者の皆全員が圧倒され、同時に大きな手応えを感じていたと思います。「よい作品になりそうだ」と、その場にいた全員で共有できた瞬間で、その雰囲気がすごくうれしかったなあ、といま振り返ってみて改めて思います。

 --最終回に向けての見どころを教えてください。

 いよいよインターハイ予選の決勝が始まり、物語も終着点へ向けての最終局面に差し掛かりました。全日本ジュニアからの綾乃となぎさの因縁がどういう形で決着がつくのか、またこのシリーズとしてどういう落としどころになっていくのか、ぜひご期待いただければと思います。

 --ファンへ一言お願いします。

 原作も含めて、この作品はすごく優しいまなざしで敗者を描くところに魅力と特徴があります。挫折を経験していない人というのは本当に一握りだと思っていて、それが故に、敗者を描くこの作品はいろんな人が共感できる作品だと思っています。既に「はねバド!」を読んでいる、見ている方は、そういった見方で改めてこの作品を見返してほしいですし、この記事で初めて知ったという方にもぜひ読んで、見ていただきたいです。たくさんの共感と感動を得られる作品だと思います。これからもどうぞ応援、よろしくお願いします!

 細井駿介 プロデューサー 東宝株式会社 映像事業部 所属

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