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ヒプノシスマイク:“ラップ×声優”でキャラソンの新機軸 ファンを熱狂させる三つの魅力

アニメ
男性声優によるラップバトルプロジェクト「ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-」の最新アルバム「MAD TRIGGER CREW VS 麻天狼」のジャケット

 男性声優によるキャラクターラッププロジェクト「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」(ヒプマイ)。プロジェクト発の最新シングルは、オリコン週間アルバムランキングで初登場首位を獲得し、朝の情報番組で特集されるなど2018年に一気にブレークし、今年もその勢いは続きそうだ。アニソンが充実していることで知られるタワーレコード新宿店の担当バイヤー・樋口翔さんは、ヒプマイの魅力を「楽曲のクオリティーと“声優×ラップ”という設定の面白さ、そして個性豊かなキャラクター」と語る。ヒプマイが“バズった”理由を聞いた。

 ◇コアな音楽ファンをうならせるハイクオリティーな楽曲

 ヒプノシスマイクは、12人の男性声優がキャラクターとしてラップを歌い、そのCDを発売していくプロジェクトで、17年秋に始動。ラッパーはシンジュク、ヨコハマ、イケブクロ、シブヤと地区(ディビジョン)ごとにチーム分けされていて、昨年5月からは各チームがラップで戦うラップバトルを収録したCDも発売された。

 同プロジェクトの最新CD「MAD TRIGGER CREW VS 麻天狼」は昨年11月14日に発売され、タワーレコード新宿店のアニメジャンルで18年の年間売り上げ首位に。さらに、昨年発売されたCD全3作が全て同ジャンルでトップ10入りした。樋口さんは「恐らく他店でも、同様の結果が出ていると思います。ヒプノシスマイクは、18年に最もアニソンシーンで“バズった”コンテンツといえます。バイヤーとして予想を超えたブレークでした」と話す。

 そのブレークの要因の一つが「楽曲のクオリティーの高さ」だという。ヒプノシスマイクは、17年秋の始動から各ディビジョンごとにキャラクターのソロ曲とドラマパートを収録したCDをリリースした。樋口さんは、最初にリリースされたイケブクロ・ディビジョン「Buster Bros!!!」のCDに収録された山田一郎のソロ曲「俺が一郎」を聴き、「衝撃を受けた」と振り返る。同曲はパンクバンド「GEEKS」のエンドウ.さんらJ-POPシーンで活躍するメンバーが集まった音楽ギルド「月蝕會議」が作曲・編曲を担当。山田一郎は、人気アニメ「ドラえもん」のジャイアン役で知られる木村昴さんが声優を務めている。

 「月蝕會議による音楽と、もともとラップのテクニックに定評があった木村さんの歌唱が組み合わされた『俺が一郎』を聴いたときに、ヒプノシスマイクは音楽をベースとしたコンテンツとして高い評価を得ると確信しました」と樋口さん。この他の楽曲でも、ラッパーのサイプレス上野さん、ヒップホップグループ「ラッパ我リヤ」、ロックバンド「山嵐」といったコアな音楽ファンもうならせる楽曲提供陣をそろえ、「音楽のクオリティーにこだわった“ラップへの本気度”が感じられる」と話す。

 ◇ラップを中心にしたこれまでにないキャラクターコンテンツ

 アニソンシーンにおいて、声優がラップを歌うという試みは初めてではない。樋口さんは、「古くは90年代のアニメ『逮捕しちゃうぞ』のキャラソンにラップはありましたし、テレビアニメ『苺ましまろ』のキャラソンとして女性声優がテクニカルなラップを歌ったこともあり、キャラソンのジャンルの一つとしてラップはあったのですが、それはあくまで変わり種。また、『サムライチャンプルー』など劇中でラップ曲を使うことはあっても、MCのキャラクターがコンテンツのメインになることは、これまでありませんでした」と説明する。

 声のプロである声優と、言葉を操るラップという文化。ありそうでなかった斬新な組み合わせが、見事に成功しているのがヒプノシスマイクだと樋口さんは言う。また、「12人のMCキャラクターのラップスタイルはそれぞれ違い、12通りのラップスタイルが楽しめますし、楽曲にもキャラクターの性格が反映されている」と語る。

 例えば、シンジュク・ディビジョン「麻天狼」のホストのキャラクター伊弉冉一二三(いざなみ・ひふみ)のソロ曲は、お笑いコンビ「オリエンタルラジオ」の藤森慎吾さんが作詞を担当した“アゲアゲ”ソングとなっている。キャラクターたちの魅力や関係性は、楽曲はもちろん、CDに収録されてきたドラマパートでも知ることができる。

 樋口さんは「ヒプノシスマイクは、現在こそグッズ販売やコミカライズ化などメディアミックス展開を始めていますが、“音楽原作キャラクターラッププロジェクト”と銘打ち、あくまでCDで提供する楽曲をコンテンツのベースにしています。近年、ゲーム化やアニメ化をきっかけにブレークしたコンテンツが大半を占める中、非常に珍しい例」と説明。何話にもわたるアニメを見たり、ゲームをプレーしなければ追いつくことが難しい他のコンテンツと比べて、楽曲を聴くことで世界観に触れられる気軽さがあるという。

 ◇ファン参加の“バトル”で人気がさらに過熱

 声優×ラップという新たなコンテンツとして走り出したヒプノシスマイクのブレークに拍車をかけたのが、ディビジョン同士のバトルだ。17年に各ディビジョンごとのCDがリリースされた後、18年5月からはディビジョン同士が戦うラップバトル曲を収録したバトルCDの発売が始まった。樋口さんは「各ディビジョンのCDの売り上げは、他のコンテンツと比べて圧倒的というほどではなかった。それが、バトルCDの第1弾『Buster Bros!!! VS MAD TRIGGER CREW』は在庫が持てないほどの売り上げとなりました」と振り返る。

 バトルCD第1弾のリリース前には、声優12人によるメドレー曲「ヒプノシスマイク -Division Battle Anthem-」のMVがYouTubeで公開されており、樋口さんは「この動画の存在が大きかった」と話す。約5分半のMVは、各MCキャクラターがマイクリレーでつないでいくメドレーが流れる中、キャライラストと担当声優のレコーディングの様子を映し出す内容で「このMVを見るだけでコンテンツの世界観が分かる」という。

 同MVは現在までに、約1600万回という再生回数を記録している。樋口さんは「各ディビジョンごとのCDリリースによりじわじわとファンが増えていく中で、MVをYouTubeで無料公開し、さらに注目を集めた。この流れから発売されたバトルCDは、予想を超える売り上げでした」と説明する。18年は3枚のバトルCDがリリースされたが、1枚目より2枚目、2枚目より3枚目とCDがリリースされるごとに売り上げが伸び、コンテンツの盛り上がりを反映したという。

 バトルCDには推しのディビジョンに投票ができるシリアルナンバー入りのカードが封入されていて、「ファンがコンテンツに参加できるギミックも人気を過熱させた」と樋口さん。今回のバトルは、シンジュク・ディビジョンの「麻天狼」の勝利で終わったが、18年末からはコミカライズが始動し、19年にはリズムゲームの配信も控えている。キャラソンの新ジャンルとしてブレークしたヒプノシスマイク。今年も要注目のコンテンツとなりそうだ。

 ◇プロフィル

 樋口翔 タワーレコード新宿店7階(邦楽・販売促進)アニメ担当バイヤー。2014年に町田店から異動。アニメにハマったきっかけは「新世紀エヴァンゲリオン」「BLUE SEED」「VS騎士ラムネ&40炎」など1990年代の作品で、アニソンの中でもキャラソン、とりわけアイドルアニメ関連の楽曲を愛聴。マイアンセムは「アイドルマスターミリオンライブ!」より「Up!10sion Pleeeeeeeeease!」。お気に入りのアニメ・ゲーム作品は「プリティーリズム」「アイドルマスター」「フォトカノ」「サクラ大戦」など。

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