高橋一生&蒼井優:「リリイ・シュシュ」以来18年ぶり映画共演 タナダユキ監督作で初の夫婦役に

映画「ロマンスドール」で主演を務める高橋一生さん(左)とヒロインを演じる蒼井優さん (C)2019「ロマンスドール」製作委員会
1 / 3
映画「ロマンスドール」で主演を務める高橋一生さん(左)とヒロインを演じる蒼井優さん (C)2019「ロマンスドール」製作委員会

 作家で映画監督のタナダユキさんの小説「ロマンスドール」が映画化され、俳優の高橋一生さんが主演を務め、女優の蒼井優さんがヒロインを演じることが29日、分かった。高橋さんと蒼井さんが映画で共演をするのは、岩井俊二監督の「リリイ・シュシュのすべて」(2001年)以来約18年ぶりで、初の夫婦役を演じる。原作者のタナダさんが脚本・監督を務め、今年秋に公開予定。

ウナギノボリ

 「ロマンスドール」は、08年に雑誌「ダ・ヴィンチ」(KADOKAWA)で連載されたタナダさんの小説。ラブドール職人の北村哲雄と、彼が一目で恋に落ち結婚した妻・園子との日々を描いたラブストーリー。美人で気立てのいい園子に一目ぼれして結婚した哲雄が、彼女にずっと隠し続けている仕事、それはラブドール職人としてドールを作っていることだった。哲雄は仕事にのめり込み、恋焦がれて結婚したはずの園子とは次第にセックスレスになっていた。いよいよ夫婦の危機かと思った時、園子は胸の中に抱えていた秘密を打ち明け……というストーリー。

 映画では、高橋さんが哲雄、蒼井さんが園子を演じるほか、きたろうさん、渡辺えりさん、ピエール瀧さん、浜野謙太さん、三浦透子さん、大倉孝二さんらも出演する。

 高橋さん、蒼井さん、タナダさん、永田芳弘プロデューサーのコメントは以下の通り。

 ◇高橋さんのコメント

 今回、タナダさんの作品ということで出演を決めました。脚本を読んで、人が人を思う純粋な気持ちがとても映画的に描かれていて、それがすてきだと思ったんです。お話をいただけて、うれしかったです。今回の役を演じるにあたり、実際にラブドール工場に見学に行き、ドールづくりについて学びました。そこにいるのはまさに職人の方々で、工芸的な感覚でひとつの作品として作ってらっしゃる姿を見て、自分も哲雄を演じる心構えができました。タナダさんは、芝居の中で自分が意図しないところを的確に指示してくださるので、迷うことがありません。僕が哲雄として、役の中で生きていくのをサポートするような演出の仕方をしてくださるので、とても安心して演じています。

 蒼井さんは、ご自身の俳優としての在り方をしっかりと持っている、素晴らしい方です。会話の自然な雰囲気を大切にし、園子としていてくださるので、僕たちはいつでも園子と哲雄になることができます。この作品は、結婚してからはじまるラブストーリー。結婚がエンディングではなく、その先のお互いの思いや愛の形がどう変化するか、どこに落ち着いていくのか。激しさだけでなく、淡々とした日常の中で本当の愛が見えてくるような、ある意味究極の作品だと思っています。改めて、タナダさんや蒼井さんはじめ、素晴らしいスタッフとキャストの方々に囲まれてこの作品に参加できることを、幸せに思っています。

 ◇蒼井さんのコメント

 小説が出たとき、タナダさんご自身で映画化されないのかな?一緒にやれるといいなと思っていたので、時間がたってからこうしてお話をいただき、今の自分で良いのだとうれしかったです。タナダさんとはもう一度お仕事をしたかったので、こんなステキなお話、断る理由もありません。高橋一生さんとは、ドラマでの共演はありましたが、ここまでがっつりは「リリィ・シュシュのすべて」以来です。先輩!という印象で、撮影中もいつも真ん中に高橋さんがいてくださるので、とてもやりやすいです。

 私が演じる園子は、優しくて気立てのいい女性ですが、タナダ節が入っていて、結構大胆なところがあるんです。それはタナダさんが描く女性に共通しているところですね。最近は依存した役どころが多かったので(笑い)、久しぶりに自立した女性を演じるということで、楽しみたいと思います。約10年ぶりのタナダ組(2008年公開のタナダ監督の「百万円と苦虫女」で主演)、ひとつひとつを受け止めながら丁寧に園子を演じていきたいです。

 ◇タナダさんのコメント

 10年ほど前に小説として書いた時は、まさか映画化できるとは思ってもみませんでした。自分で書いたものですが、だからこそ、いい塩梅(あんばい)で小説からは離れ、映画として再構築できればと思いましたが、それはキャストの力、スタッフの力なくしては実現しないこと。そういう意味でも今回、最高のキャスト、スタッフが集まってくれたと感じています。オリジナル作品ですのでいつもよりも余計に、この人たちでなければ、という方にしか役を託せないなという思いがありました。

 高橋一生さんとは広告のお仕事以来ですが、哲雄を託せるのは何度考えても高橋一生さん以外思い当たりませんでした。映画を作るというのは日々、正解がない中で正解めいたものを探し続ける作業ですが、一生さんが日々哲雄として新鮮に生きてくれているから、私は監督として「正解めいたもの」に確信と大きな安心感を持つことができています。蒼井優さんは私にとって特別な女優。約10年ぶりに再び一緒に映画を作れるなんて、感慨深いです。園子のはかなさと芯の強さは、蒼井優さんだからこそ体現できると思っています。10年前よりもさらにたおやかで、10年前と変わらない本番直前のスイッチが入る瞬間には、相変わらずワクワクします。お二人ともに、俳優として絶対の信頼を寄せていたので心配事が一切なく、こんなに楽しい撮影は初めてかもしれません(笑い)。

 生きることがあまり上手ではない人たちの、喜びも悲しみも矛盾も愚かさも全てを包み込んで、作品として昇華できるよう、最強で最高なスタッフ、キャスト陣と共に、完成まで突き進みたいと思います。

 ◇永田プロデューサーのコメント

 そもそも10年前にタナダさんの原作を読んだのが企画の始まりです。結婚は恋愛のゴールではなくて新たなスタート、その後も男女の関係は続くというストーリーがとてもリアルで、いたく感動しました。また、主人公の職業がラブドールの造形師という設定がとても新鮮でした。日本でのラブドールの造形技術はこの20年で進化しており、世界的に最先端のものと言っても過言ではなく、それを下町の工場で職人さんが粛々と開発していることに驚きました。原作では、主人公の哲雄が職人として成長していく過程が丁寧に描かれているのも良かったです。この原作をタナダさんが自ら脚本監督をするのであれば、全世界的にもかつてないユニークな恋愛映画になり得ると思い、映画化を決意しました。

 キャスティングは企画当初から主人公の哲雄は高橋一生さん、その妻の園子は蒼井優さんしかいないと決めてました。造形師の仕事を器用にこなす一方で妻に対しては不器用な哲雄と、きれいで優しくて家事も完璧にこなす園子、ただしお互い相手に言えない「秘密」を抱えているという難役。これを演じられるのはお二方しかいないと出演依頼をしました。撮影現場でお二人が醸し出す空気感が本当に素晴らしくて、一日も早く観客の皆さんにもそれを感じてほしいと思っております。まだまだ書きたいことはたくさんあるのですが、あとは映画を見てのお楽しみにしておきましょう。この映画は愛と性愛とラブドールが絡む、かつて誰も見たことがないラブストーリーになることは間違いありません。皆さん、公開までまだまだ先は長いですが、楽しみにしていてください。決して期待を裏切りません!

写真を見る全 3 枚

映画 最新記事