豊永利行:「表現の力で考え方を変えたい」 人気声優のこだわりとは…

チャリティーコンサート「忘れない~天国の大切なあの人へ~」で語りを担当する豊永利行さん
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チャリティーコンサート「忘れない~天国の大切なあの人へ~」で語りを担当する豊永利行さん

 声優の豊永利行さんが、3月12日にBunkamuraオーチャードホール(東京都渋谷区)で開催される宝塚歌劇団OG出演の「毎日希望奨学金」のチャリティーコンサート「忘れない~天国の大切なあの人へ~」に「語り」として参加する。10歳で子役としてデビューし、現在は俳優、シンガー・ソングライターとしても活躍する豊永さんに、コンサートや表現に対する思いについて聞いた。

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 ◇「誰も傷つかないアプローチ」へのこだわり

 今回のコンサート参加を含め、今年劇場版が公開予定のアニメ「ユーリ!!! on ICE」をはじめとした数々の人気アニメへの出演、2017年にはアーティストとして自身の新レーベル「T’s MUSIC」の設立と、活躍の場を広げる豊永さん。30代半ばを迎え、今後の目標を聞くと、「20代半ばぐらいからこの業界にいる意味や意義を考えるようになった」という。

 豊永さんは「僕はあまり自分自身の欲がないがゆえに、人の怒りが理解できないことがある」と話し、「世の中の皆様が生きていく上で、怒りを持つことは多少なりともあると思うのですが、その考え方自体を表現で変えることはできないのか」という思いがあるという。

 そういった思いから、自身の発言や芝居において「誰も傷つかないアプローチは常に考えている。笑いに関しても、人を傷つけることで生まれる笑いは好きじゃない」とこだわりを明かす。「どちらかというと閉鎖的でマイナスから考えてしまいがちな考え方を表現の力で変えたいと思う」と語った。

 ◇音楽だからこそ伝わるもの チャリティー参加は「大きな経験に」

 コンサートは、東日本大震災で保護者を亡くした震災遺児の学業継続を応援する「毎日希望奨学金」のチャリティーコンサートで、今回は2回目の開催。宝塚OGの杜けあきさん、姿月あさとさん、貴城けいさん、北翔海莉さん、白羽ゆりさんの5人と、豊永さんが出演する。岩手県陸前高田市にある、震災で亡くなった方への手紙を送る「漂流ポスト」に寄せられたメッセージを歌と朗読で表現する。

 今回のコンサート参加について豊永さんは「『なぜ自分が?』というのが最初にありましたが、ナレーションや舞台、歌手としての経験から、お声がけいただいたと聞いて、ありがたいと思いました」といい、「いろいろなことに挑戦しておいてよかったな」と笑顔を見せる。

 今回、豊永さんは漂流ポストを訪れた青年に扮(ふん)して語りを担当する。震災に対して「忘れてはいけないことではあるけれど、震災に遭われた方のつらい経験や思いを少しでも逃してあげられるきっかけになれば、と思います。それができるのが表現なのではないか」と話す。豊永さん自身も宝塚OGと共に歌唱を披露する予定で「音楽に乗せた言葉は、普段の会話では伝わりづらいものでもダイレクトに届く。宝塚OGの方々と共に、来ていただくお客様一人一人に思いを届ける空間を作ることが今回のコンサートの意義なのかなと思います」と力を込める。

 今回のコンサートの売り上げの一部は毎日希望奨学金に寄付され、会場では募金活動も行われる。豊永さんは「実際に物理的な支援を行っていく活動の一助になれるのは光栄なこと。今回、こうした場で表現させていただけるのは、自分の人生にとっても大きな経験となるのではないかと思います」と思いを語った。

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