宇宙戦艦ヤマト2202:今、愛を描く意味 最後は… 福井晴敏、羽原監督に聞く

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「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」の第7章「新星篇」の一場面(C)西崎義展/宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会

 人気アニメ「宇宙戦艦ヤマト」の最新作「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」の第7章「新星篇」が1日、公開された。小説「亡国のイージス」「機動戦士ガンダムUC」の福井晴敏さんがシリーズ構成と脚本、「蒼穹のファフナー」の羽原信義さんが監督を務めるなど豪華スタッフが集結したことも話題の同作が、ついに最終章を迎えた。「2202」は愛がテーマの一つになっている。今、愛を描く意味とは? 最後はどうなるのか? 福井さんと羽原監督に聞いた。

 ◇「2202」と「さらば」の違いから今が見える

 「宇宙戦艦ヤマト2202」は、2012~14年に劇場上映、テレビ放送された「宇宙戦艦ヤマト2199」の続編で、1978年に公開された「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」や78~79年に放送された「宇宙戦艦ヤマト2」がモチーフ。全7章で、第1章「嚆矢篇」が17年2月に公開された。

 「2202」は「さらば」や「宇宙戦艦ヤマト2」がベースにはなっているが、過去の作品とは違うものにも見える。福井さんはこの時代にリファインする意味を考えた。

 「昔のものをリファインするなら、昔のものにはかなわない。あれ以上、うまくできない。残っているものには意味がある。今のご時世にそのまま出すことはそもそも無理。だとすれば、『さらば』が当時、訴えていたものを解体する。『さらば』と『2202』の両方を見た人が、今の時代はこうなんだ……と、違いの中に今が見えるような作りになれば、意味があるのかな?と考えていました。今は日本、世界の状況がどれだけ変わったのか?ということを両方見て、再確認できる。もちろん『2202』だけを見てもいいのですが」

 羽原監督は企画当初は「『さらば』をそのままやればいいんじゃない?」とも考えていたという。しかし、福井さんの企画を見て考えが変わった。

 「『さらば』が好きで、原理主義的なところもあるんですよ。だから、そのままやればいいんじゃない?とも思っていたんです。福井さんの企画を見て、すごい深いなあ……と感じ、かじを切った。福井さんとのコンセンサスの中で、(『さらば』で)見覚えのあるシーンを残していこうとなりました。『さらば』はいつの時代に見ても、シーンの流れの中でカタルシスが生まれていくところは完成されているので」

 ◇スマホ時代に描く愛、選択

 福井さんが「さらば」を解体する中で、核として残したいものがあった。それは「愛」というテーマだ。「さらば」と「2202」のタイトルには「愛の戦士たち」という言葉が入っている。

 「愛という言葉は男女関係の愛として捉えられることが多いのですが、それよりもヒューマニズム=人間性ですね。人間性が今くらい危機に陥っている時代はない。AIなどもあり、自分たちから人間性を振り捨てようとしている。ヒューマニズム、愛が現代的なテーマになるという確信があった。『さらば』のように、純粋な思いを守るために死んでもいい……ということではない。人間性で神を屈服させるという話です」

 「2202」では、主人公・古代進が究極の選択を迫られ、苦悩する姿が印象的だ。選択も大きなテーマになっているように見える。

 「昔の日本人はもっとグレーゾーンが多かったところもありました。ネット社会になり、匿名でそれぞれが声が出せるようになった。スマホは視野を広げるのではなく、好きなものだけで自分の時間を埋める恐ろしいツールにも見えます。好きでもないものに邪魔されるのがストレスになった。誰かがへまをすると、猛烈な勢いでたたきにいく。人間同士でしゃべっていると言えないことが言えてしまう。それがネットで世論になる。白黒をつけたがる。『2202』で選択を迫られ、選ばないというのはめちゃくちゃなことで、その結果が何をもたらすかを考えるとできない。選ばないことで地獄に落ちても、選ぶことで人間性を捨てるよりは……。選んだ瞬間に命は助かるけど、人間以下のものになることもある。人間とは元来そういうものではないですか? そこから考え直さないといけない。人間性万歳!でもない」

 「さらば」のラストは「特攻賛美」と言われたこともあった。「2202」はどのように最後を迎えるのだろうか?

 「最後は『2202』で語ってきたことが集約される。ヒューマニズムを守るために何をしたか?です。『2202』はこれまで悲しいことばかりでしたが、最後に奇跡を起こすためにやってきたことだった」

 ◇「2202」は最新の決定版 全部やってやってやったぞ!

 福井さんが手がけた「2202」の脚本は情報量が多い。羽原監督は「脚本が濃いんですよ。行間にもいろいろあるんですよ。なるべく本筋を残しながら映像にしていきました」と苦労も多かったようだ。

 羽原監督は製作を終えて「『ヤマト』はどストライク世代なので、関われることに縁を感じました。福井さんらスタッフと一緒に作っていく中で、いろいろな意見を言いながらできた。こんな作品はこれまでありませんでした。作品を深めるための時間があったことがうれしい。『ヤマト』を作ったことが宝物になっています。最終章はヤマト史上、森雪が一番可愛いです。素晴らしい人だなと思います」と笑顔で話す。

 福井さんは「『2202』は今のところ最新の決定版ですね。『ヤマト』は第1作から考えると、戦艦なのに反戦という矛盾がある作品。それを真正面から受け止めた。受け取る人が100人いたら、受け取り方は100通りあると思いますが、全部やってやったぞ!という気持ちです」と自信を見せる。最終章ではどんな愛が見られるのだろうか? 古代たちは何を選択するのか……。最後まで見どころだらけになりそうだ。

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