生田斗真:「いだてん」で主人公の盟友熱演も「大河ドラマの感覚ない」 話題の「天狗倶楽部」への思いも…

大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」で三島弥彦を演じている生田斗真さん
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大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」で三島弥彦を演じている生田斗真さん

 宮藤官九郎さんが脚本を手がけるNHKの大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」で、中村勘九郎さん演じる主人公・金栗四三の盟友・三島弥彦を演じている生田斗真さん。弥彦は四三とともに日本最初のオリンピック選手に選ばれるなど前半の物語の主要キャラクターの一人であり、暑苦しすぎるスポーツ万能のバンカラ集団「天狗倶楽部」のメンバーとしても初回から注目を集めた。生田さんに、ドラマへの思いや役作りのエピソード、話題を集めた天狗倶楽部などについて聞いた。

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 ◇宮藤官九郎脚本にワクワク 「少年誌が出るのが楽しみ、みたいな気持ち」

 2月17日放送の第7回「おかしな二人」では、家族の理解を得られないままに四三とともにオリンピック出場を決意した“運動会の覇王”こと弥彦。同24日放送の第8回「敵は幾万」では、見送る大勢の人々の「敵は幾万」の歌に包まれ、四三とともにオリンピックに出陣する姿が描かれた。

 大河ドラマは2014年の「軍師官兵衛」で高山右近を演じて以来の出演。久々の大河の現場だが、生田さんは「大河ドラマに出ているという感覚はあまりない」という。「近現代を描いていることも、武将が出てこないこともそう。既成概念を壊していこうという思いが、みんなにあふれていると思います」と生田さん。宮藤さんの脚本については「子供のころ『少年誌』が出るのが楽しみ、みたいな気持ちで、『早く次の台本来ないかな』と思わせてくれる、ワクワクドキドキを味わわせてくれる台本。その良さを100%の形で提供したいといつも思っています」と語る。

 弥彦は、短距離走でストックホルム五輪に出場する人物。第7回では突然クラウチングスタートで走り出すシーンもあった。生田さんは演じるにあたり、実際に走り方のトレーニングをした。「三島さんが走っている映像はなくて、写真が数枚残っている程度なんです。その写真をもとに、筑波大学のみなさんがどういう走り方をしていたか研究してくださったので、それをもとに『こういうふうに走っていたんじゃないか』と、走り方の勉強とトレーニングをやりました」と明かす。トレーニング前に比べると「体感的にはかなり速くなったなという気はします。風を感じるようになったというか(笑い)」と自信をみせる。

 トレーニングは、「走り込みやプールで泳いだり、ウエートトレーニングもしていました。ストレッチしながら可動域を広げるようなトレーニングも。だいたい、1日に1時間半」と生田さん。「弥彦さんを演じているときは、『とにかくいっぱい食べる』ということは意識していました。ロケが終わった後、武井(壮)さんや満島(真之介)さんなど天狗倶楽部のメンバーで焼き肉を食べに行ったんですけど、『やっぱ天狗倶楽部だから“米・大(サイズ)”頼むでしょ』みたい感じで、肉と“米・大”をみんなで頼んで(笑い)。食生活から変えていきました」と愉快なエピソードも明かす。

 弥彦はテンション高く、嘉納治五郎の前でも堂々とした振る舞いをみせるすがすがしい“痛快男子”。ただ、生田さんはそれだけではなく、裏にある“痛さ”や寂しさも意識しているという。「痛快の痛は、『痛い』とも読めて。三島さんの痛さみたいなものが少し香るといいな、と思いながら……ちょっと空回りしてしまうような。“痛快さ”と“痛さ”が混在する役になればいいなと思うし、その中で孤独や寂しさのような人間味が出てくればいいなと思っています」と話す。

 ◇「天狗倶楽部」が話題集め驚きと感謝 

 初回から話題を集めたのが、弥彦や吉岡信敬(満島さん)、押川春浪(武井さん)、中沢臨川(近藤公園さん)ら東京の学生を中心とした「天狗倶楽部」だ。暑苦しく、すぐ服を脱ぎ、大声で騒ぐ天狗倶楽部は強烈なインパクトを与えた。放送後は「各方面で天狗倶楽部の(ことを話す)いろんな声が聞こえてきて、すごくうれしいなと思いました」と生田さん。「まさかこんな形で天狗倶楽部が話題になるなんて思ってなかったし、ありがたいなと思います」とうれしそうに話し、「ドラマの序盤を引っ張っていかないといけない存在の一つでもあるので、僕ら天狗倶楽部は、突き進んで、恥ずかしさもロケの暑さも喉の嗄(か)れも、超えていかなきゃいけないなと思っています」と熱く語る。

 前半では、服を脱いで上半身裸になるシーンも多く、「まさか大河ドラマで自分の裸が毎週出てくるとは思ってなかった」としつつ、「宮藤さんと一緒に仕事すると、必ず服を脱がされるんですよ(笑い)。またか、と思いましたね」と苦笑する。

 第7回では、弥彦と四三がオリンピックのエントリーフォームに名を連ね、いよいよ2人の関係が接近し始めた。四三を演じる勘九郎さんについては「細かい心の揺らぎとか、上手だなと思って見ています。横にいて頼りになる相棒だといつも思っています」と語る。前半は嘉納治五郎役の役所広司さんとの共演も多く「お芝居に対して真摯(しんし)に向き合っている方。ちょっとした空き時間でも、ひとりでぼそぼそ言ってらっしゃると思ったら、せりふの練習や段取りの確認をしている。そういう姿を見て、すごく夢を見させてもらえている」と生田さん。「役所さんほどのキャリアや実力をもってしても、まだ役者という仕事は極まることのない道なんだと思わせてくれる。本当にカッコいい先輩だなと思います」と感嘆する。

 ◇2020年東京五輪の「ちょっとしたガソリンに」 ストックホルムロケの思い出も…

 生田さん、勘九郎さんらはストックホルムでのロケにも参加した。ロケの感想を聞かれると「100年前に実際に使われていたスタジアムで、実際に三島さんが走ったトラックを走り、金栗さんが走ったトラックを走るのは、何物にも代えられない貴重な経験だと思います」と感動を表現。時間に余裕のあるときは、勘九郎さんと美術館めぐりや買い物に出かけたと明かし「ストックホルムでたくさんの絆が芽生えたというのは、あるかなと思います」という。

 さらに、「なによりも『いだてん』のひとつの目玉でもあるストックホルムオリンピックに、本当に2人で出場した、という気持ちにさせてくれるぐらいの壮大なスケールでの撮影だったので、どこか僕らも物語の世界に紛れ込んだ気持ちになりました。日本に帰ってからも『夢のような時間だったな』とよく2人で話しています」と話す。

 第9回以降は、いよいよ弥彦と四三がストックホルムの地でオリンピックに挑むなど、見せ場のシーンが控えている生田さん。今、「いだてん」にどのような思いを抱いているのか。「こんな素晴らしいドラマに出演できてうれしいと心から思っています」と生田さんはいい、「2020年の東京オリンピックに向けて、少しでも手助けと言うか、ちょっとしたガソリンみたいなものになればいいなと思っています。三島さんや金栗さんが、とにかく自分が楽しむんだ、と思っていたように、僕自身『いだてん』の世界にいられることを楽しめればいい。結果や、そこに何の意味があるのかは、のちのちになって知ることなのかなと思います」とほほ笑んだ。

 大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」は全47回。NHK総合で毎週日曜午後8時ほかで放送。

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