吉高由里子:30代突入は「ぬるっと」

連続ドラマ「わたし、定時で帰ります。」に主演する女優の吉高由里子さん(C)TBS
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連続ドラマ「わたし、定時で帰ります。」に主演する女優の吉高由里子さん(C)TBS

 「(女優業が)こんなに続いているとは正直思わなかったですね」と話すのは女優の吉高由里子さん(30)だ。これまで数々の作品に出演し、2014年にはNHK連続テレビ小説「花子とアン」に主演するなど、女優としてのキャリアを着実に重ねてきた。16日にスタートする「わたし、定時で帰ります。」(TBS系、火曜午後10時)では、30代に突入して初の連ドラ主演を務め、「残業ゼロ、定時で帰る」がモットーのヒロインに挑戦する。10代の頃についてや、30歳になった今の思いを聞いた。

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 ◇“張り切っている感がない”主人公が「新しい」

 「わたし、定時で帰ります。」は、朱野帰子(あけの・かえるこ)さんの同名小説シリーズ(新潮社)が原作。主人公の結衣(吉高さん)は、過去にあるトラウマを抱え、以来「必ず定時で帰る」というモットーを貫くワーキングガールで、「仕事は命を懸けるものではない」という思いを持ち、誰よりも集中して仕事を終わらせ、プライベートも大切にする32歳の独身。そんな結衣が同僚らのさまざまな悩みに寄り添い、時に振り回され、そして解決していく物語だ。

 今回演じる結衣について「自分から関わらないようにしているのに、知らぬ間に自分の正義感が出てきて、なんとかしないとって奮闘する」「張り切っている感がない主人公っていうのが新しいと思った」という吉高さん。「自分から『悩み聞くよ』みたいなのはないですけど、言われた話は最後まで付き合ってあげちゃう」といい、役との共通点を明かした。「私もある程度は一生懸命やりますけど、本来の自分を見失って、ボロボロになるまで没頭することはない人間なので、わりと共感できるかな」と語る。

 結衣は、定時退社後は行きつけの中華料理店「上海飯店」のハッピーアワーでビールを飲むことが日課。小籠包(ショウロンポウ)を食べる場面もあり、「原作ではギョーザだったんですけど、(吉高さんが好きな)小籠包になっていて、『やったーっ!』と思って」と笑う。自身もそういった時間があるといい、「家に帰って、お風呂に入って、1杯ハイボール飲んだときに『ああ、終わった~』って実感はすごくしますね。そういう時間も大事」と語る。

 ◇「ぬるっと30代に」 30歳の思いとは

 「上海飯店」の店主・王丹役の江口のりこさんは、ドラマ「時効警察」(テレビ朝日系)で当時10代の吉高さんと初共演。吉高さんについて、「大人になったなーという感じはありますけど、でもやっぱりやんちゃな感じが残っていて、印象は変わらない」と話していた。10代の頃の自身について、吉高さんは「大人に対して反抗的だったような感じがします。それぐらい“素直”だったというか、馬鹿正直だったというか、むき出しで揺れてた10代の繊細でやんちゃな部分もあったと思う」と振り返る。

 「30代になって、いろんな人と出会うことになっていって、全部自分をさらけだす人を選ぶようになったし、察するようにもなった。なんだろう……(大人としての)扉を開けてしまった部分はありますけど、10代の頃と比べたら、大人のことは好きになっていったなと感じますね」と変化を明かす。

 吉高さんは、昨年7月に30歳を迎えた。「30歳になったからといっても、何も変わらないんですよね。友達とか、周りのスタッフさんとかも変わらないから、出会ったときの年齢でお互い止まってしまっていて。さあ節目だっていうふうに感じて、30代を迎えたわけでもなく、ぬるっと30代に」と表現する。「自分が30代になって、平成が終わって、次、令和になってとか、時代ってずっと動き続けているのに、自分だけこう突っ立っているような感じもしなくもないし……」と率直な思いも明かす。

 ◇コンプレックスを告白 「自分を受け入れるしかない」

 これまでに数々の作品に出演し、さまざまな役を演じてきた吉高さん。連ドラ初主演となった「美丘-君がいた日々-」(日本テレビ系・2010年放送)、「花子とアン」など、女優としての転機もあった。しかし、「もともと(女優業を)ものすごくやりたくて始めたわけじゃないので、いいのかなとか思っていたりとか、自分の声とか顔とかお芝居にコンプレックスを持っていたりした」と告白する。

 今作の撮影現場では、共演者とゲームを楽しんでいたかと思えば、いざ本番となると、一瞬で顔つきが変わり、場の空気を変えてしまう演技を見せていた。「できないときはできないですけどね」と話した吉高さんは、「そういう自分を受け入れるしかないし、そこで待っていても、誰も明日に手を引いていてくれるわけでもないから、自分で歩いて行かないといけない。自分の嫌なところも、ちゃんと理解して、一緒に生きていかないといけないんだなと、年々実感というか痛感するというか……」と話す。

 自身のことを「馬鹿正直だと思います。うれしいことも、嫌なことも全部出ちゃう。人見知りもするけど、一回心を開いた人に対してはとことん求愛する。あまのじゃくなところもありますけどね」と話す。そんな吉高さんが見せる新たなヒロインに期待したい。

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