注目映画紹介:「きみと、波にのれたら」 鬼才・湯浅政明監督がストレートに恋愛描く 美しい水の表現も

「きみと、波にのれたら」の一場面(C)2019「きみと、波にのれたら」製作委員会
1 / 25
「きみと、波にのれたら」の一場面(C)2019「きみと、波にのれたら」製作委員会

 劇場版アニメ「きみと、波にのれたら」(湯浅政明監督)が6月21日、TOHOシネマズ日比谷(東京都千代田区)ほかで公開される。アニメ「夜明け告げるルーのうた」「四畳半神話大系」などで知られ、独自の映像表現で鬼才とも言われる湯浅監督がサーフィン、恋愛などをテーマとしたことも話題になっている。

ウナギノボリ

 大学入学を機に海辺の街へ越してきたサーフィン好きの向水ひな子と消防士の雛罌粟(ひなげし)港の恋を描く。港は海で命を落としてしまうが、ひな子が2人の思い出の歌を口ずさむと、水の中から港が現れる。再出現の本当の目的が明らかになっていく。川栄李奈さんがひな子、GENERATIONS from EXILE TRIBE」の片寄涼太さんが港の声を演じるほか、伊藤健太郎さん、松本穂香さんらも出演する。

 水の中から死んでしまったはずの恋人が現れる……という設定に驚かされた。これまでも美しい水の表現でファンを魅了してきた湯浅監督ということもあり、美しく神秘的にも見える映像に仕上がっている。水と火の対比、サーフィンシーンなどアニメでしかできない映像表現はまさに湯浅節で、毎度のことながら感動させられた。

 軸となるのはストレートなラブストーリー。自分に自信の無いひな子の成長を丁寧に描く。監督は映像表現に注目が集まりがちだが、微妙な人間関係、社会を描いてきた。今回は、純粋で不器用に生きている人々にエールを送っているようにも感じた。

 湯浅監督は「ルー」がアヌシー国際アニメーション映画祭の長編部門でグランプリに輝くなど既に人気監督。鬼才ともされるが、この作品はこれまで以上にポピュラリティーがあり、間口の広い作品に仕上がっている。(小西鉄兵/MANTAN).

写真を見る全 25 枚

アニメ 最新記事