山田裕貴:役者は「天職」「スターであってはならない」… 「なつぞら」雪次郎との奇縁明かす

NHKの連続テレビ小説「なつぞら」に小畑雪次郎役で出演している山田裕貴さん (C)NHK
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NHKの連続テレビ小説「なつぞら」に小畑雪次郎役で出演している山田裕貴さん (C)NHK

 女優の広瀬すずさん主演のNHK連続テレビ小説「なつぞら」に、帯広の菓子屋「雪月」の一人息子・小畑雪次郎役で出演中の山田裕貴さん。雪次郎は、ヒロイン・なつ(広瀬さん)の幼なじみの一人。高校時代は演劇に熱中、卒業後は日本一の菓子職人になるべく、修業のため、なつと一緒に上京するも、劇団「赤い星座」の舞台観劇をきっかけに、役者への思いが再熱してしまう。自身も俳優業に対して、「これしかやれることがないっていうくらい、この仕事が好き」「自分がすごく無個性でつまらない人間と思っていたから、違う人になりたいっていう欲求がすごく強くて。だから天職だと思っている」と熱い思いを抱く山田さんに話を聞いた。

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 ◇雪次郎の役者論に深く共感 シンクロ率も高く「不思議な力を感じます」

 6月12日放送の第63回では、雪次郎が「赤い星座」の看板女優・亀山蘭子(鈴木杏樹さん)を前に、役者論を展開するシーンがあった。雪次郎は「本物は普通なんだと思いました。普通っていうのは、普通の人がまるでそこにいるみたいというか。そういうアマチュア精神を感じるというか。普通の人が言いたい言葉を代弁する、伝える力がプロなんだと思ったんです。別にスターとかじゃなくて、普通の人間だから伝わる精神を持っているのが、すごい俳優なんだと思いました」と熱弁をふるっていた。

 脚本家の大森寿美男さんが雪次郎に託したせりふに山田さんも深く共感。「大森さんがあて書きをしてくれているのかなっていうくらい、雪次郎のせりふ、雪次郎が大切にしている俳優像、芝居をする人としての感覚がほぼ僕と一緒」と感じているという。

 「俳優って特別扱いされがちなんですけど、一番普通でなくてはならない職業。スターであってはならない」と持論を披露。「その作品に溶け込んで、普通に生きられることが一番すてきなことだなって思っているので、雪次郎の言ったことは、まさに僕が目指しているところ。台本を読む度、思ったことのあることばかり書いてあって、シンクロ率が高いというか、不思議な力を感じますね」とも語る。

 ◇雪之助と元プロ野球選手の父が重なり「心がざわついた」?

 第13週「なつよ、『雪月』が大ピンチ」(6月24~29日)では、俳優になりたいと言い出した雪次郎を心配し、小畑家の面々が上京。父・雪之助(安田顕さん)ら家族との絆にもスポットが当たった。雪次郎が修業先の新宿「川村屋」をやめたいと告げるシーンでは、山田さんが俳優になりたいため、元プロ野球選手の父(山田和利さん)に「野球をやめたい」と伝えた時のことがオーバーラップしたとか。

 当時、山田さんは10代の後半。野球は「誰かに『やれ』と言われてたわけじゃない、自分で『やりたい』って始めた」といい、「だから、『俳優になりたい』というせりふは思いが乗るというか。雪次郎であって、僕でもある。すごく重なる部分が多かった」としみじみ。

 劇中で雪之助は雪次郎を翻意させるため、川村屋で一緒に働こうとするが、山田さんは雪之助の行動を、「なかなか出てこない選択肢」と認める一方で「心がざわついた」とも。「(雪之助は)頭ごなしに叱らないし、強制もしない。ただ、そばにいて一緒に働く、見守るっていうのは、すてきな選択だと思いました。自分の父も全く同じというか、野球を教えてもらったことはないですし、そのことに関して話をしたこともない、ただ見ているっていう人だったので、(重なってしまって)何か、やめてくれって感じでしたね」と苦笑い。

 だからこそ、雪次郎の決心を雪之助が認めた瞬間は「自分も認めてもらった感じと、雪次郎として許してもらった感じと、いろいろ奇跡的な巡り合わせが重なった感じ」といい、「何かパラレルワールドですね。自分の人生よりもこっちの方が楽しい」と笑う。

 ◇知名度アップの裏で悔しい思い… 影響を受けたのは「ゲイリー・オールドマン」

 雪次郎役の好演で当然、山田さんの知名度も高まった。その裏では「今までの俺は何だったのか」とじくじたる思いを抱いたという。「他の作品も同じ熱量で頑張っているのにって、悲しくもあり、悔しくもなりましたね」と本音をちらり。

 「『朝ドラ見てますよ』って言ってはもらえるものの、名前を覚えてもらっているわけではないんだろうなって思っています」と朝ドラ効果に踊らされる様子もない山田さん。「でも、それがもちろん一番いいことなんですよ」と語気を強めると、「僕はそこから抜け出すことはないんだろうなって思ったりもする半面、役者として役が知れ渡っていることが一番。自分が影響を受けた俳優がゲイリー・オールドマンさんで、エンドロールを見て、初めてこの人が演じていたんだって気付くような、それくらいになれたらなって思っているので、今の状況は悲しいとうれしいのと半々くらいです」と話していた。

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