ダンダダン
第7話「優しい世界へ」
11月14日(木)放送分
尾田栄一郎さんのマンガが原作のテレビアニメ「ONE PIECE(ワンピース)」(フジテレビほか)がワノ国編に突入した。侍や忍者が住み、街並みも和風のワノ国が舞台で、これまでの「ONE PIECE」とは雰囲気ががらりと変わった。スタッフも一新され、長峯達也さんがシリーズディレクターを務める。「ONE PIECE FILM Z」「ハートキャッチプリキュア!」「ハピネスチャージプリキュア!」「ドラゴンボール超(スーパー) ブロリー」など数々の人気作を手がけてきた長峯監督に「ONE PIECE」の魅力、ワノ国編の制作の裏側を聞いた。
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「ONE PIECE」は、手足などがゴムのように伸びる麦わら帽子の青年・ルフィが、海賊王を目指して仲間と共に大海原を冒険する姿を描くマンガ。1997年にマンガ誌「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載が始まり、1999年からテレビアニメが放送されている。フジテレビほかで毎週日曜午前9時半に放送中。
言わずと知れた人気作で、キャラクター、ストーリーなど魅力がたくさんある。長峯監督がアニメを制作する際に最も意識したのは「格好いいONE PIECE」にすることだった。
「原作にはいろいろな要素があります。アニメを作るにあたり、スローガンをいくつも挙げては何もできなくなるし、(シリーズディレクターとして)旗を振らないといけない。100、200人の共同作業なので、方向性を共有しないと作ることができない。いろいろなことはできないので、どこにフォーカスするかを決めたんです。ワノ国編は、時代劇のような要素もありますが、ファニーなものではなく、『服部半蔵 影の軍団』のようなハードなところを強調することを考えていました」
「ルフィというキャラクターも振り幅が大きい。ルフィは折れないし、信念があり、海賊王になることが目的。楽しくやるために譲れないところは譲らない。周りの仲間はそこに付いていく。ルフィが格好よくて、突き進んでいくところを描きたかった」
さまざまな魅力があるからこそ、ファンはそれぞれのONE PIECE像があるかもしれない。長峯監督はできるだけ「みんなが大好きなONE PIECE」に近付けていくことを考えていた。2018年に公開された「ドラゴンボール」シリーズの劇場版「ドラゴンボール超 ブロリー」を手がけた監督は同作も「みんなが大好きなドラゴンボール」を目指したという。
「『ONE PIECE』や『ドラゴンボール』をやるのは大変なんですよ。『ブロリー』にしても新しいことをやっていない。子供の時に『ドラゴンボール』を読んだ時の印象をそのままやっている。基本通りにやっているだけなんです。戦う悟空を純化していく。『ONE PIECE』も始まった時から進化しているけど、始まった時の印象をやれば格好よくなると思うんです」
「基本通り」というのは難しいものだ。しかし、この基本を大事にすることが、長峯監督らしさなのかもしれない。
「息を止めてどこまで潜れるかなんですよ。うーーーんと考えて、どこまでやれるか……。まだ足りない!って。ある意味、しつこいんですよ(笑い)。やればやるほど飽きるかもしれないので、緩急を付けたりもします。日曜朝放送のテレビアニメだから小学生も見ている。ただ、小学生をなめてもいけない。自分が小学生の時のことを考えると、意外に分からないことが多かった。暗喩やメタファーが通じないという前提で、その瞬間が面白くて、あとで意味が分かる。そういうことを大切にしています。その瞬間が面白くないと仕方がないですしね。子供が『ルフィ、かっけえぇ!』と喜んでいただければ」
ワノ国編は、タイトルの通り「和」のテイストが魅力で、これまでの「ONE PIECE」とは雰囲気ががらりと変わった。しかし、長峯監督は「演出はこれまでとそんなに変えていない」と明かす。
「小紫の髪が水色だったり、びっくりするところがあったり、カラフルで楽しい。なるべく原作通りにやる。自分の持っている技術でどううまくやっていくかを考え、尾田さんのイメージをアニメにしていきたい」
一方で、ワノ国編で変化したところもある。それは線の力強さだ。原作に近く、これまでよりも更に力強くなった印象を受ける。「撮影で強弱のある線を表現しています。昔のセル画時代のように画面をリッチにしようと思ったんです。昔からそうなんですけど、撮影は命なんです」と説明する。
アニメ「ONE PIECE」はこの10月に放送開始20周年を迎える。原作だけでなく、アニメも長く愛され続けている。長峯監督は「ONE PIECE」の魅力を「世界観がしっかりしているんです。ルフィの視線で冒険を描きつつ、世界情勢も動く。大きな世界の中でキャラクターが動き、世界の動きによって、キャラクターの行動も変わる。(現実ではない)もう一つの世界を楽しめる感じがします」と語る。ワノ国編はそんな「ONE PIECE」の魅力が詰まったものになりそうだ。
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