桜井ユキ:「G線上のあなたと私」で新たな顔 上京から10年…遅咲き女優が語る恩人とは

ドラマ「G線上のあなたと私」に出演する女優の桜井ユキさん
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ドラマ「G線上のあなたと私」に出演する女優の桜井ユキさん

 ドラマ「G線上のあなたと私」(TBS系、火曜午後10時)で、主人公・也映子(波瑠さん)らが通うバイオリン教室の講師・久住眞於(まお)を演じている女優の桜井ユキさん(32)。桜井さんといえば、ドラマ「絶対正義」(東海テレビ・フジテレビ系)でのすご腕ジャーナリストなど、クールでかっこいい女性役が多かったが、今作では“ゆるふわ”ファッションに身を包み、柔らかな笑顔を見せており、SNSでは「新鮮」などと話題を集めている。約10年前の「23歳の終わり」に上京し、それから芝居の勉強を始めたという桜井さんに、女優を志したきっかけや、大活躍の今年について聞いた。

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 ◇“ゆるふわ”な眞於は「新鮮」

 「G線上のあなたと私」は、「あなたのことはそれほど」などで知られるいくえみ綾さんのマンガ(集英社)。波瑠さん扮(ふん)する寿退社間近に婚約を破棄され、仕事と恋人を失った小暮也映子(やえこ)が通い始める“大人のバイオリン教室”を舞台に世代を超えた友情とちょっぴり切ない恋を描く物語。

 桜井さん演じる眞於は、也映子、理人(中川大志さん)、幸恵(松下由樹さん)が通うバイオリン教室の講師で、理人の兄・侑人(鈴木伸之さん)の元婚約者。美人でおしとやかで、いかにも男性にモテそうな女性で、理人からの気持ちに気付いていながらもそこに触れようとはしない……という役どころ。

 眞於の印象を、「ぱっと見の雰囲気はすごく可愛らしいなと思うんですけど」と話した桜井さん。

 10月22日放送の第2話では、理人について、眞於が「兄(侑人)に子供が生まれた、とか聞きたくもない情報教えてくれる。でもしょうがないよね。生徒は選べないから」とぼやいて、笑う……という展開があったが、「原作のマンガを読ませていただいたときも思ったんですけど、表面的な可愛さとか美しさみたいなものが、全く可愛く見えない。内側になにか恐ろしさを感じるものを持っている印象がある」と続ける。

 “ゆるふわ”ファッションに身を包み、柔らかな笑顔を見せる桜井さんの姿には、「今までの役とは違うイメージだし笑顔がめちゃくちゃ可愛い」などの声があがっていたが、桜井さん自身も今回の役を「新鮮」と感じている。

 「こんなに女子要素が強めな女子は初めて」と笑った桜井さんは、「そういうの(女子要素)と遠いところで生きてきた」と自己紹介。「一番最初にお話を聞いたときは、マネジャーさんに『私で大丈夫ですか?』って言った記憶がある(笑い)。役を選ぶときに私を想像してくださったっていうのが、そもそもびっくり」と明かす。

 ちなみに、眞於が着ている洋服は「(桜井さんが)一枚も持っていないような、すごく可愛い服ばかり」といい、「うれしいことですし、すごく楽しいです」と笑顔を見せる。

 ◇大活躍の2019年 「何も変わらない」

 桜井さんは、1987年2月10日生まれ、福岡県出身。昨年は、ドラマ「モンテ・クリスト伯‐華麗なる復讐(ふくしゅう)‐」(フジテレビ系)で、真海(ディーン・フジオカさん)の命で暗躍し、復讐を陰ながら手助けする江田愛梨を演じ、存在感を示した。今年は、「だから私は推しました」(NHK総合)で連ドラ初主演を果たしたほか、「絶対正義」、「東京独身男子」(テレビ朝日系)、「G線上のあなたと私」と全クールのテレビドラマに出演。映画「コンフィデンスマンJP」(田中亮監督)、「マチネの終わりに」(西谷弘監督)などにも出演した。

 大活躍の今年を振り返ってもらうと、「ありがたいなと思いつつ、年々寝ないと働けなくなる……。眠気に勝るものはない(笑い)」と率直な思いを話す。テレビドラマへの出演が続き、声をかけられることも増えたといい、「『見てました』って、作品名まで言ってくださるのって、それだけ記憶に残っているということなので、ありがたいことです」と喜びを語る。

 一方で、自身は「何も変わらない」といい、「『休みがない』とか『遊びにいきたい』とかもそんなにないですし、温泉がすごく好きなので、たまに行ければ」と話す。

 ◇小学生で女優を志す 上京後、恩人との出会い

 そんな桜井さんが、女優を志したのは「小学生の頃」だという。「当時、ドラマとか映画をそんなに見ていたわけではなかったんですけど、『(女優に)なる』って思っていたんですよ」と振り返る。「『なる』って小学生の頃に思ったもんだから、ならなきゃいけない気になっていて、そのまま成長しちゃった」と明かす。

 「23歳の終わり」に上京し、そこから芝居の勉強もスタート。「舞台の演出家(石丸さち子さん)の方がやっている稽古場に毎日通っていた時期があって、そこで初めてお芝居を学びました」と振り返る。

 石丸さんは、故・蜷川幸雄さんの元で10年ほど演出助手を務め、その後独立して幅広い作品を手がけてきた演出家。桜井さんによると、「まあ厳しい。でもすごくすてきな方」だという。「当時50代半ば」の石丸さんからは、「(芝居の勉強を)始めてすぐくらいのときに、『今の自分で通用すると思うなよ』『誰もあんたが見たいわけじゃないんだから。あんたのまんまで舞台の前に出てこないでくれる?』と言われて。たぶん、ポキポキに折られまくったんです」と明かす。

 それでも「『なんでそんなこと言うんだろう』じゃなくて、『はい』みたいな……」と受け止めたという。「私がなんとなーく生きてきたものを、全部そこでへし折られたというか。言われたことはすごく大きいですし、印象にも残っているし、たぶんそれがなかったら……とも思いますし。そういう意味では、(石丸さんに)出会って、そこに通わせていただいたことが大きくて……」と恩人への思いを告白する。

 記者が、「石丸さんがいたからこそ今がある?」と質問すると、桜井さんは「もちろんです」と即答。「お芝居を全く知らない私が初めて出会った先生なので、影響大。(芝居を)構築するにあたって、第一歩の方だった」と振り返る。恩人への感謝の念を胸に、今日もカメラの前に立つ。

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