玉城ティナ:原動力は「乗り越えるべきもの」の存在 映画「地獄少女」閻魔あい役への思いは…

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映画「地獄少女」で主人公・閻魔あいを演じる玉城ティナさん ヘアメイク:今井貴子 スタイリスト:丸山佑香(まきうらオフィス)

 11月15日に公開された映画「地獄少女」(白石晃士監督)で主演を務めている玉城ティナさん。映画は「いっぺん、死んでみる?」のせりふとともに相手を地獄へ流す謎の少女を描いた人気ホラーアニメが原作で、玉城さんが演じるのは感情の読めない表情のミステリアスな主人公・閻魔(えんま)あい。異様な雰囲気をまとった独特なキャラクターだけに、過去の出演作とは異なる演技の仕方を「イチから作り直した」と語る玉城さん。今作も含め、特殊なキャラクターの難役に挑むことが多いが、「その方がやりがいがある」と力強く語る玉城さんに、モチベーションの源泉や役への思いなどについて聞いた。

 ◇「いっぺん、死んでみる?」 参考はアニメと能登麻美子

 映画「地獄少女」は、午前0時にだけアクセスできるサイト「地獄通信」に恨みを書き込むと、地獄少女・あいが現れ、相手を地獄に流してくれるという人気ホラーアニメが原作。2005年にテレビアニメ第1期が放送され、実写ドラマ、舞台化されるなど人気を集めている。映画では、女子高生の市川美保(森七菜さん)が人気アーティスト魔鬼(藤田富さん)のライブで会った南條遥(仁村紗和さん)と一緒にコーラスのオーディションを受ける。オーディションには遥が合格するが、美保は魔鬼が遥をライブで行う「儀式」のいけにえにしようとしていることを知り、うわさのサイトにアクセスする……というストーリー。
 
 もともとマンガで読んでいた作品で、あいのキャラクターも把握していたため、実写映画化であいを演じると知ったときは「そこに私を当てはめるんだ、という驚きがありました」と玉城さん。誰とも似ていない閻魔あいを演じるうえで、着物やウィッグで外見を寄せつつ、立ち姿や目線、声の出し方など、これまでの作品とはまったく異なるアプローチをしていったという。「せりふをしゃべっているときにまばたきをしなかったり、人と目線を合わせなかったり……しゃべりながら(目を)少しだけ動かす、というようなことも彼女ならではの仕草。“異様さ”をプラスできれば、と思っていて、これまでの演技の仕方とはまったく違う、イチから作り直すような感じでした」

 閻魔あいは主人公ではあるが、出ずっぱりというわけではない。むしろ玉城さんいわく「水戸黄門的」に要所で登場し存在感を放つキャラクターだ。だが限られた時間内でも、すごみのある目など、見る者に強烈な印象を与える。そうした表情の工夫を聞くと、「目をキッとむくようなお芝居。そこも意識して私をキャスティングしたのかなと思うので、(目力を)プラスの要素として利用できればと思っていました」と玉城さん。「言葉を出さないシーンもあるので、撮影で丸一日しゃべらない日もあって(笑い)。でも、人間ドラマのシーンとはあまり関わりすぎない方が、閻魔あいの立ち位置が分かる気がして、逆に良かったんじゃないかなと思います」と語る。

 閻魔あいといえば、「いっぺん、死んでみる?」という決めぜりふが特徴だ。玉城さんは原作のアニメを何回も見直すなどして参考にした。また、アニメで閻魔あいの声を務めた声優の能登麻美子さんが出演していたラジオの音源を聞いたり、動画を見たりもしたという。「そこを参考にしても、結果的には違うものができあがる、と分かっていたので、ベースとして既存の声をリスペクトしつつ、そこから派生させる、というやり方が今回はしっくりきました。家で『いっぺん、死んでみる?』と録音したり、違う言い方を何バージョンか試したり」。実は、相手によって微妙にトーンを変えているといい、「閻魔あいが感じる“やるせなさ”みたいな要素を少しだけ足したいという思いがあって。そこも注目してもらいたいです」と話す。

 他のキャストとの共演シーンが多いわけではなかったため、撮影中の合間のコミュニケーションはあまりなかったという。また、撮影前も「大きな本読みが今回はなく、キャストの方と事前に会うこともなく、現場での体当たりだった」と明かす。だが、白石監督からの信頼は厚く、玉城さんに任される部分は多かった。「『あれ、本当に大丈夫なのかな』と私が心配しちゃうような、そこまで任せてくれるのかなって感じでした」と笑い、「閻魔あいのバックグラウンドを共通認識として持ちながら、現場で声色や目線についての自分のプランを提案してみたり……。かちかちに決めて、というより、細かいところで指示をいただいた感じでした」と振り返る。

 ◇モチベーションは「なくしたことがない」

 今年は、映画で主人公やヒロインを立て続けに演じている。7月公開の「Diner ダイナー」(蜷川実花監督)ではウエートレス姿のオオバカナコを、9月公開の「惡の華」(井口昇監督)では問題児の仲村佐和を、今作では閻魔あいを……と悲劇的だったり、エキセントリックだったり、個性的すぎる役を相次いで演じてきた。だが、どの役でも演じる際に心掛けていたのは、「その子なりの普通」だったという。

 「一般的に見たら普通ではないかもしれないけど、そういう生きづらさを抱えた人って、普通に生きている人たちの中にもいると思うし。誰しもが持っている生きづらさと私が演じるキャラクターがリンクしてフィットしていけば、実写化した意味があるのかな、と思います」
 
 マンガやアニメ原作の映画への出演。もちろん、原作のキャラクターと玉城さん自身との間には設定上、相違点もあるが、玉城さんにはそこを気にさせない存在感がある。「たとえば、閻魔あいの場合、アニメやマンガのキャラとは全然身長や年齢も違うし、『惡の華』も(仲村役は)中学生の設定。でも、映画化だからこそ、そういう設定を超えた存在だったとしても『そこに君臨していられる存在感が上回れば勝てるんだな』と。そう思いたいな、と思っています」と玉城さんは演じるうえでの思いを語る。

 そんな玉城さんを前に進める原動力は、目の前にある「乗り越えるべきもの」だという。「たとえばキャラクターものを演じる場合、その子として生きなきゃいけない数週間があった方が、本来の自分も見えたりする。乗り越えるべきものがあった方が、モチベーションにつながると思います」と力強く語る玉城さん。続けて「まだモチベーションをなくしたことがないんです」と明かし、「なくしちゃうときがくるかもしれないけど、そのときははい上がりたいし、なくなったときに考えたいですね」と軽やかに話す。

 癖の強い難役を演じることも、「その方がやりがいがあります」とモチベーションにつながっている。「やせたり太ったりというのも、役作りで必要であれば、たぶん簡単にできると思う。そこに大変さは感じないです。監督からじきじきに『体形をこうしてくれ』と言われたことはないけど、自分の基準で『もうちょっと、こうかな』と工夫することはあります。……ここ2~3年ですね、そういうふうにキャラクターとしての厚みを感じ取ろうとするようになったのは」と明かし、最後に今作についても、「今回はメークや衣装に助けてもらいながら、自分で内面のアイデアも出せて良かったと思います」とほほ笑んだ。

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