あのクズを殴ってやりたいんだ
第6話 走り出したクズと恋
11月12日(火)放送分
女優の松下奈緒さん主演の連続ドラマ「連続ドラマW 引き抜き屋 ~ヘッドハンターの流儀~」(西浦正記監督)が、11月16日からWOWOWで放送される。父が創業したアウトドア用品メーカーを解雇された松下さん演じる主人公・鹿子小穂(かのこ・さほ)が、転職先のヘッドハンティング会社で新米ヘッドハンターとして奮闘する姿を描く。松下さんに、共演者や撮影現場の様子について聞いた。
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台本を読む前、松下さんの中での小穂のイメージは、「黒いスーツを着て、『あなたは今日からここで働いてくださいっ!』という感じのテンションで(笑い)、バリバリと働く女性」だった。ところが台本上の小穂は、「普通の女性でした。怒られるとしゅんとするし、泣くし、笑うし」で、「すごく親しみやすさ」を覚え、その印象は「小穂、可愛い!(笑い)」にがらりと変わった。
半面、小穂には「どんと構えられる強さ」や「女性らしいたおやかさ」、さらに「きめこまやかさ」があり、松下さん自身、「自分の中にある、ないは別としても、お芝居できちんと表現したいと思っていました」と明かす。それだけに、西浦監督からの「彼女(松下さん)の役に対する姿勢、仕事に対する取り組み方は想像を超えて素晴らしいものでした」というコメントには安堵(あんど)の表情を浮かべる。
ヘッドハンターは、企業の依頼を受け、他社の優秀な人材をスカウトする、いわゆる“引き抜き屋”だ。引き抜かれた人に良い結果をもたらすこともあれば、その人の人生を、松下さんいわく「真逆に導いてしまう」こともありうる、「責任重大な役割で、やろうと思ってもなかなかできない仕事」だ。それだけに今回、役とはいえ、その仕事を“体験”して、「こんなにも大変な仕事だと思いませんでした」と話ししつつ、マッチングがうまくいったときは企業からも引き抜かれた人からも感謝され、また、他人の「人生を切り開き、ちゃんと導いてくれる素晴らしい仕事だ」と感じたという。
共演者には、名実共に実力派が顔をそろえた。その一人、小穂の転職先のヘッドハンティング会社「フォルテフロース」の共同経営者で、小穂を一人前のヘッドハンターへと導く先輩ヘッドハンター、渡会花緒里(わたらい・かおり)を演じるのは内田有紀さんだ。内田さんとは、2018年10月期のNHK連続テレビ小説「まんぷく」以来の共演となる。
内田さんとは、「実は、『まんぷく』のときよりも今回のほうが長く一緒にいました(笑い)」と打ち明ける松下さん。なんでも「まんぷく」のときは1週間ほどで共演シーンの撮影は終わり、それ以降、「有紀さんは夢枕に立ちに大阪に来ていたんですけど(笑い)、私と入れ違いでなかなかお会いする機会がなかったんです」と語る。
その点、今回は5話すべてで絡みがある。「私自身も内田さんにすごく憧れていますし、女性としてすてきですし、お姉さん的存在です。そういう気持ちが小穂と似ているところだと思います」と内田さんとの共演を喜ぶ。
もう一人、「まんぷく」つながりの共演者がいる。それは、小穂の相談相手となる、若手経営者、畔田(くろだ)知行役の要潤さんだ。「まんぷく」では松下さんと夫婦を演じた。要さんに対して、「この前は夫婦だったのにね、ケラケラケラみたいな感じで(撮影は)始まりまして(笑い)、(要さんは)慣れ親しんだ仲でも今回は違う設定で、またこうやってご一緒できるというのは非常にうれしいことです」と感謝した。
社会派の作品が多いWOWOWのオリジナルドラマ。今作も扱う題材こそシビアだが、コミカルな要素も併せ持つ。撮影現場の雰囲気は、松下さんによると「すごく楽しかった」そうで、内田さんはじめ、フォルテフロースのボス、並木剛役の小手伸也さんら共演陣は、テストと本番で「全然違うお芝居をしてくる方たち(笑い)」で、その分、緊張を強いられながらも、「みんなで楽しみながらやってみるところがドキュメンタリーみたいで面白かったです」と振り返る。
このインタビューが行われた9月上旬、作品はまだ完成しておらず、松下さんも本編を見ていない状態だったが、それでも、「ダークな雰囲気はまったくないです」としながら、目の前に置かれた登場人物の相関図の、渡部篤郎さん演じるライバルのヘッドハンター、戸ケ里政樹(とがり・まさき)や、杉本哲太さん演じる小穂の元勤務先の常務、大槻信一郎を示し、「こちら側はたぶん、ダークサイドを全面に出されていると思うんですけど(笑い)」と笑う。
また、「小穂の周りの人たちは、悩むところは悩むし、はじけるところははじけるし、そういうメリハリを一番出さなければいけない」と台本を読みながら考えていた分、「ホッとできるシーンと、ハラハラするシーンが、非常に面白く、いいあんばいになっていると思います、と監督がおっしゃっていました」と仕上がりに自信を見せる。
自身の演技については、「カッコよさよりも、チャーミングな部分が10%ぐらい多い感じの役柄になったかな」と手応えを感じつつ、「喜怒哀楽を結構激しく出すことが多かったので、それが無理に見えなければいいですね」と話していた。
ドラマは、雫井脩介さんの小説「引き抜き屋(1)鹿子小穂の冒険」「引き抜き屋(2)鹿子小穂の帰還」(PHP研究所)が原作。WOWOWプライムで11月16日から毎週土曜午後10時に放送。全5話で、第1話は無料放送。
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