日比美思:「3年A組」卒業生として… 元「Dream5」が語る10年目の出会いと転機

12月4日から上演される舞台「ミー・アット・ザ・ズー」に出演する日比美思さん
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12月4日から上演される舞台「ミー・アット・ザ・ズー」に出演する日比美思さん

 12月4日からシアタートラム(東京都世田谷区)で上演される舞台「ミー・アット・ザ・ズー」に出演する日比美思さん。元「Dream5」のメンバーで、グループ解散後は女優として活躍している日比さんは、昨年末から今年にかけてがちょうどデビュー10年目にあたり、中でも連続ドラマ「さくらの親子丼2」(東海テレビ・フジテレビ系)や「3年A組-今から皆さんは、人質です-」(日本テレビ系)といった作品との出会いが大きな転機になったという。「普段の私は小心者で、個性もない。でも役ではありえないところで叫べるし、泣けるし、怒ることができる。いろいろな感情が自分の中に湧き起こって、お芝居をしていなかったらこんな気持ちは味わえないんだろうなって思うと、今こうやって舞台に立てて、ドラマに出られることをすごく幸せに感じます」と充実の表情を見せる日比さんに、話を聞いた。

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 ◇「ミー・アット・ザ・ズー」は観劇後におなかがすく舞台?

 「ミー・アット・ザ・ズー」は、劇作家・演出家・俳優として多方面から注目を集める山崎彬さん率いる劇団“悪い芝居”の新作舞台。“悪い芝居”は今年、世田谷パブリックシアターによる若い才能の発掘と育成のための事業“シアタートラム ネクスト・ジェネレーション”に選出され、「ミー・アット・ザ・ズー」を上演する運びとなった。

 日比さんは「悪い芝居さんの舞台に参加させていただくのは今回が初めてなのですが、とにかくけいこが楽しくて……。演出の山崎さんの頭の中に描かれているものがどんどん形になっていく、その行程が見られるのも楽しいです」と笑顔を見せる。

 公演タイトルは「YouTube」に初めて投稿された動画に由来し、舞台上には動物園で働く人、お笑い芸人、YouTuberも登場。さらには全編バンドの生演奏で物語が進んでいく。その中で日比さんは、お笑いコンビ「孤村ニューイヤー」の孤村新年(藤原祐規さん)の妹で、飼育員の孤村直を演じている。

 日比さんは「私は観劇するのも好きなのですが、『今日、見たお芝居は最高だな』となったときって、大体、劇場を出るころにすごくおなかがすいていて、帰り道に絶対に何か食べたくなる。この『ミー・アット・ザ・ズー』を見た方も、絶対そうなるんじゃないのかなって思っています」と公演に自信をのぞかせていた。

 ◇「3年A組」担任・菅田将暉の言葉を胸に刻み…

 今回のけいこの初日は、「3年A組」で主演を務めた菅田将暉さんがドラマのキャスト・スタッフのために作ったというパーカを着用して臨んだという日比さんに、改めてドラマ撮影時の思い出を聞いてみた。

 「忘れられないことはたくさんあるのですが、菅田さんが台本に書いていないことをアドリブでいうことがあって。そのときの菅田さんの本当の気持ちが表れていたと思うのですが、中でも『恥もかかずに強くなれると思うな』って言葉を聞いたときは、気がついたら涙が出ていて。それを『3年A組』の生徒全員で受け止めた瞬間は、本当に忘れられないシーンになりました。本当に菅田さんが一颯先生で良かったなって思います」としみじみと振り返る。

 ◇「Dream5」時代の“苦悩” 女優として見えてきた「大きな目標」

 「3年A組」のような作品を経て、現在は女優として成長を続ける日比さんだが、「Dream5」時代は、忙しい日々の中「ここにいるのが私でいいのか、自分じゃなくて他の人がやっても同じことなんじゃないのか」と悩んだこともあったという。

 「それはいけないことなんだって、今は分かるんですけど……。グループが解散して一人になって、お芝居をするようになってからは、まずはそこにいることが大切なんだって思えるようにもなりましたし、批判も称賛も全部が自分に来る言葉で、その中でもちゃんと見てくれている人の存在にも気づかされました」と明かす日比さん。

 具体的には、「さくらの親子丼2」出演時の出来事で、「最終話にすごく大切なシーンがあって、私がすごく頑張らなくてはいけなかった。一人で立ち向かわなければいけないんだって、すごく孤独を感じたのですが、でも何とか集中して、自分で一番、納得いく芝居が一発でできたときに、それまであまり話をしたことがなかったカメラマンの方に『ああいう瞬間を撮るために、カメラマンをやっているんだ』って言ってもらったんです。本当にうれしくて、帰り道に母に泣きながら報告をしましたね」とうれしそうに話す。

 「さくらの親子丼2」、そして「3年A組」での経験を経て、女優として見えてきたものはあるのか? 最後に聞いてみると、日比さんは「とても大きな目標ではあるんですけど」と前置きした上で、「同じように役者として活躍されている方に『一度、あの子とやってみたい』と思ってもらえるような女優になりたいんです」と照れながら語る。「それはとても難しいことかもしれないですけど、そういっていただける日が来たら、このお仕事を続けてきて良かったなって、もっともっと思えるんじゃないかって、そう感じています」と前を見据えていた。

 ◇シアタートラム ネクスト・ジェネレーション vol.12 悪い芝居 vol.25「ミー・アット・ザ・ズー」公演詳細(敬称略)

 作・演出:山崎彬▽音楽:岡田太郎▽出演:日比美思/藤原祐規/田中怜子/久保貫太郎/中西柚貴/潮みか/東直輝/畑中華香/植田順平/山崎彬

 上演日程:12月4~8日▽会場:シアタートラム▽問い合わせ先:世田谷パブリックシアターチケットセンター03-5432-1515(午前10時~午後7時)

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