山崎貴監督:VFXの旗手が語る3DCGアニメの可能性 最新作は「ルパン三世 THE FIRST」

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3DCG劇場版アニメ「ルパン三世 THE FIRST」を手がけた山崎貴監督

 国民的アニメ「ルパン三世」を初めて3DCGアニメ化した劇場版アニメ最新作「ルパン三世 THE FIRST」(山崎貴監督)が全国で公開中だ。山崎監督といえば、2020年に続編の公開が決定した「STAND BY ME ドラえもん」(2014年)や「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」(2019年)など3DCGアニメも手がけてきた日本におけるVFXの第一人者。「ルパン三世は3DCGとなじみがよかった」と語る山崎監督に、3DCGアニメの今後の可能性などについて聞いた。

 ◇3DCGの方が海外に出て行きやすい

 日本ではアニメというと二次元(2D)が主流で、独自の成長を遂げてきた。その中にあって3DCGアニメの作品をいくつか製作してきた山崎監督は現状をどう感じているのだろうか。「国内では2Dがずっと続いていくんじゃないかなと思っているんです。その中で僕は3DCGしかできないので……」と前置きしつつ、「海外だと3DCGじゃないと許されないみたいな雰囲気があって。もちろん2Dの作品もあるんですけど、日本のキャラクターも3DCGの方が海外に出て行きやすいんですね」と話す。

 実際に、八木竜一監督と共同監督した「STAND BY ME ドラえもん」は「ドラえもん」シリーズ史上初の3DCGアニメとして世界中で公開され、全世界興行収入が100億円を突破するなど大ヒットを記録した。「ルパン三世 THE FIRST」についても「すでに海外から相当に引きが来ていると聞いています」という。「『ルパン三世』というキャラクターをまだ知らない国が世界にはたくさんあるし、まだメジャーになっていない国もたくさんあるんですが、予告編に対する海外のリアクションは想像以上にいい感じなんですよ。なので、こういう少しエッジが効いている日本ならではのキャラクターが、世界に出て行く試金石的な作品になれればいいなと思います」と手応えを語る。

 さらに「3DCGはやっぱりお金(製作費)がかかりますし、国内需要だけを考えて作品を作る時代ではもうないような気もします。海外に出て行きやすさを最大限に生かして、今後も製作していければいいな、と」と前向きだ。山崎監督はVFXを駆使した実写映画も数多く手がけているが、「実写映画が海外に出て行くのは、なかなか難しいんですよ。日本人が演じているということで、そこに一つハンディがあるような気がします。その点、3DCGアニメは海外でいい感じで取引されていると聞いていますし、世界に向かって未来が開ける感じがします」と力を込める。

 ◇1ジャンルとして3DCGアニメが存在すれば…

 国内に関しては「日本では、3DCGに慣れてもらうしかない(笑い)。海外に比べると日本では3DCGがすごく特殊なものになっているというか、そもそもあまり作られていないですしね。だけど、世界的な流れとしては3DCGが主流になっているので、日本でもやっておいた方がいいという思いと、そもそも僕が2Dアニメができないので(笑い)。そんな中で3DCGというジャンルが今後、日本でどうなっていくのかというのは、すごく楽しみではあります」と話す。

 ただし、日本はキャラクター大国だが、「なんでもかんでも3Dにしていけばいいという話ではない」という。

 「特に日本の2Dアニメの目の作りは3DCGにしにくいと思います。よくイベントに出てくる着ぐるみのような感じになってしまって、実は難しいんですよね。3DCGに翻訳するという作業を忠実にやりすぎるとおかしなことになってしまうし、かといって全く違うものを作ると異なるキャラクターだと認識されてしまうので、日本のキャラクターたちをなんでもかんでも3DCGにすればいいということではないと思いますし、3D化するのは簡単ではない。3DCGにすべき作品は製作していかなきゃいけないとは思いますけれど」と語る。

 さらに「日本では2Dの中によさを求める伝統があるので、2Dのものを3DCGでトレースしていくというイメージは僕の中にはないんです。1ジャンルとして3DCGというものがあってもいんじゃないか、という感覚なんです」と語る。

 続けて「2Dアニメとは別のジャンル。作り方に関しても2Dではないし、実写でもない“第3の映画スタイル”という感じがするんですよ。だからアニメーションとして一緒くたにしてしまうのは危険かなと思っています。そして、3DCGアニメは日本のコンテンツの面白さを伝えるものとして、大きな可能性を秘めていると思いますね」と持論を展開した。

 ◇今後も「心がざわっとするものを作り続けたい」

 山崎監督は来年、東京五輪・パラリンピックで五輪開閉会式の統括を担当する。それも楽しみだが、来年以降、どんな作品を世に送り出していきたいのだろうか。「来年はまた実写をやる予定です。自分の心がざわっとするものを作り続けたいなと思いますね。2、3年後の作品に関してはすでにほぼ決めているので、そのときまでにざわっとし続けられればいいなと思っています。自分の心にざわっと、心が震えたら自分のやりたいことだろうし、やりたいことをやり続けたいと思います」と最後に語った。

 「ルパン三世 THE FIRST」は、今年4月に亡くなったモンキー・パンチさんのマンガが原作。祖父ルパン一世が唯一盗み出すことに失敗した因縁のお宝「ブレッソン・ダイアリー」を巡って秘密組織とルパン三世が争奪戦を繰り広げるというストーリー。声優として女優の広瀬すずさん、俳優の藤原竜也さん、吉田鋼太郎さんが出演し、もちろん「ルパン三世」のレギュラー声優陣である栗田貫一さん、小林清志さん、浪川大輔さん、沢城みゆきさん、山寺宏一さんも出演している。

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