動画配信サービス:オリジナルコンテンツは戦国時代へ 「全裸監督」「ROMA」「オオカミちゃん」「奪い愛、夏」などヒット作が続々

「全裸監督」のビジュアル Netflixにて世界独占配信中
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「全裸監督」のビジュアル Netflixにて世界独占配信中

 2019年は動画配信サービス発のオリジナルコンテンツからヒット作が次々と誕生し、動画配信サービスがさらに根付いた年となった。「Netflix」では、山田孝之さん主演のドラマ「全裸監督」が話題となったほか、映画「ROMA/ローマ」が「第91回アカデミー賞授賞式」で最多10部門にノミネート。インターネットテレビ局「AbemaTV」の恋愛リアリティーショー「オオカミ」シリーズの累計視聴数は1億5000万回を突破し、水野美紀さん主演のドラマ「奪い愛、夏」初回が3日間で再生数100万回を超えたことも話題になった。戦国時代に突入した動画配信サービスのオリジナルコンテンツをまとめた。

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 定額制の動画配信サービスには「hulu」「Netflix」「U-NEXT」「amazonプライム」「Paravi」「FOD」などのサービスのほか、スマートフォンのプランによって他サービスよりも安価に契約できるNTTドコモ運営の「dTV」「dアニメストア」、KDDI運営の「ビデオパス」など大手携帯キャリアのサービス、ディズニー作品が見放題の「ディズニーデラックス」、スポーツコンテンツ中心の「DAZN」など、十数ものサービスが存在する。

 さらにサイバーエージェントとテレビ朝日が出資して2016年に設立されたインターネットテレビ局「AbemaTV」は、今年9月までに4500万ダウンロードされ、ユーザーを増やしている。

 「hulu」は日本テレビ、「FOD」はフジテレビ、「Paravi」はTBSとテレビ東京、「AbemaTV」はテレビ朝日といったように、民放各局が運営をしていたり、出資を受けているケースが目立つ。テレビ局とのつながりを最大限に生かし、昨年は話題になった地上波の連続ドラマ「あなたの番です」「3年A組-今から皆さんは、人質です-」(いずれも日本テレビ系)、「グランメゾン東京」(TBS系)など、ドラマから派生したオリジナルストーリーが、次々と制作されている。

 また「AbemaTV」で配信された「奪い愛、夏」のように、地上波ドラマの事実上の続編を開始したり、1985年にドラマ化された「ヤヌスの鏡」を「FOD」で34年ぶりにドラマ化させる動きもあった。

 制作側にもメリットは多そうだ。地上波とは異なり、時間や話数に制限がなく、放送コードにとらわれる必要もないため、描きたいものを自由に表現することができる。これらのドラマは6~8回程度の話数が多く、地上波の連続ドラマと映画の中間のような位置づけとなっていることが特徴だ。

 また「Netflix」では前述のドラマに加え、マーティン・スコセッシ監督、ロバート・デ・ニーロさんとアル・パチーノさんが主演の映画「アイリッシュマン」が12月に配信スタート。同作では他の配信作品とは一線を画す、1億4000億ドル(約153億円)ともいわれる膨大な制作費がつぎ込まれて話題となった。またマイケル・ベイ監督、ライアン・レイノルズさん主演の映画「6アンダーグラウンド」など、一流スタッフとキャストが集結した作品が次々と配信された。

 恋愛リアリティー番組が充実していることも特徴の一つだろう。前述の「オオカミ」以外では、「amazonプライム」で配信されている「バチェラー・ジャパン」や、「Netflix」の「テラスハウス」などが支持されている。男女の駆け引きに大きな展開が発生するたびに、SNSで大きな話題となっている。

 数年前までの動画配信サービスは、過去の映画やドラマを配信するプラットホームに過ぎなかったが、近年は各サービスが差別化を進めるため、独自コンテンツを次々と制作。量、質ともにリッチ化が急激に進んでいる。一方でサービスの数としては供給過多になりつつあり、レッドオーシャン化が進んでいる。戦国時代を制するのはどのサービスなのか、はたまたそれぞれのサービスの特性を視聴者が理解して住み分けが進むのか。目が離せない局面が続きそうだ。

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