ダンダダン
第7話「優しい世界へ」
11月14日(木)放送分
「good!アフタヌーン」(講談社)で連載中の桑原太矩さんのマンガが原作のテレビアニメ「空挺ドラゴンズ」が、1月8日深夜からフジテレビの深夜アニメ枠「+Ultra」で放送される。「亜人」「GODZILLA」などで3DCGアニメの表現の可能性を拡張してきたポリゴン・ピクチュアズが制作。吉平“Tady”直弘さんが監督を務める。作品について「CGアニメの表現の限界を超えたかった」と話す吉平監督に聞いた。
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「空挺ドラゴンズ」は、龍(りゅう)と空に魅せられた捕龍船クィン・ザザ号の乗組員たちの冒険を描く。「GODZILLA」をはじめとした数々の話題作を演出してきた吉平監督は初監督。「空挺ドラゴンズ」のアニメ化を自身で希望した。連載スタート時から原作を愛読していて「アニメの表現、CGの得意、不得意すら全て飲み込んでくれる強い世界観を持っている」と感じたという。
「ポリゴン・ピクチュアズはこれまでCGアニメを制作する中で、ある一定の到達点には達したと感じています。ただ。それに対してネガティブな意見もはっきり見えるようになりました。初めての監督作品では、これまでの孫作品のようなものではなく、CGアニメの可能性を更に広げたかった。今までの作品よりも親しみやすく、キャラクターに感情移入できる作品を目指しました。限界を超えたかったんです」
限界を超えるために、原作のコンセプト、原作者の思いをしっかり酌み取り、映像にしようとした。
「僕たちの制作スタイルは、原作を自由気ままに改編するのではなくて、原作者の方の思い、コンセプトを引き出して、一緒に作ること。今回も原作者の桑原さんに脚本会議に出ていただいたり、デザインを見ていただき、お互いヒントを出し合ったり、作品を練り上げていきました。マンガでは表現されていない設定の裏側、お話に込めた思いを含めていろいろなことを話し合い、深く掘り下げていきました」
「空挺ドラゴンズ」の脚本会議では、桑原さんだけでなく関係者と活発に意見交換をした。
「例えば、命を奪う描写を省略しないようにしようという話が出ました。アニメでも、解体描写を避けて引き算するわけではなく、より深く掘り下げていく。先生が描きたかった世界の根源、テーマは、ゲーム的な狩りではなく、命をつなぐこと。『空挺ドラゴンズ』は深層的にシリアスなテーマを内包していて、足が地に着いた世界観なんだ! と気付いたんです」
限界を超えるために、リアリティーも追求した。「空挺ドラゴンズ」の舞台は架空の世界ではあるが、歴史、民俗学、工業デザイン、建築、生物学などなどさまざまな知識を総動員しながら、実在するかのような世界を作り上げた。
「架空の世界なので、いくらでもうそがつけますが、それでは現実感が薄くなり、感情移入する手立てを失ってしまいます。その世界が実在するような映像にしたかったんです。龍がいることが当たり前で、その中で、市民の感情などもしっかり描かないといけません。きちんと歴史を描かないと、ファンタジーとして成立しないんです。飛行船にしても階段、手すりなど細部までその時代の船舶の意匠を酌んでデザインしています」
ドラゴンのデザインにもこだわった。
「龍は解体されるので骨格も筋肉もごまかせない。実在するかのようにデザインしました。龍は悪魔的だったり、勇者が倒すものというイメージがあるかもしれませんが、『空挺ドラゴンズ』の龍はそうではない。人知を超えた自然の驚異の一つでもあります。生態が分からないから、恐れられる。幼少期から成長、発達について話し合いながらデザインしていきました。こういう歯だから、何を食べるのか?など生態も考え、魚類、爬虫(はちゅう)類などさまざまなモチーフを組み合わせました」
ポリゴン・ピクチュアズは日本のアニメのCGの進化を牽引(けんいん)し続けている。第一線で活躍を続けている吉平監督はCGの未来をどのように考えているのだろうか?
「CG由来の個性、CG都合の映像ではなく、嗜好(しこう)性によってもっと多様化してもいいと考えています。CGだから……という妥協ではなく、作品のメッセージに寄り添い、視聴者が見たい映像にアプローチできるようにしていきたいですね」
「作画のアニメに嫉妬することもあります」と続ける。
「勝てない!と思う時もあります。CGはアクションシーンが得意と言われていますが、もっともっと試行錯誤をしないといけません。『平均点は高いけど印象が弱い、最高得点が低い映像』ではなく、人の記憶に残るような一カットも作っていきたいんです。そこに向けて努力して、技術の限界を超え、その先の未来を作っていきたい。見た人が忘れられなかったり、勇気付けられるような感情に届く作品を作ることが目標です」
「空挺ドラゴンズ」は、きっと限界を超え、視聴者の感情を揺さぶるような表現を見せてくれるはずだ。
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