「ニンテンドースイッチ」の携帯専用機「ニンテンドースイッチライト」の登場に、「ドラゴンクエストウォーク」のヒットなどが話題を集めた2019年のゲーム業界。eスポーツが注目される一方で、「ゲーム依存」という言葉もメディアをにぎわせた。ゲーム雑誌「ファミ通」グループ代表の浜村弘一さんに2019年を振り返ってもらい、今年の展望を聞いた。
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日本のeスポーツについていえば、2018年は、認知度を上げるのが目的で、プロゲーマーに注目が集まりましたし、流行語にも選ばれたりと、「eスポーツ」という言葉を約7割の人に知ってもらうことができました。2019年は、認知度の次のミッションとして、ユーザーのいる地元で、eスポーツが楽しめるようにしたいということでした。国体(いきいき茨城ゆめ国体)の文化プログラムとしてeスポーツの大会が開催されました。都道府県の名前が付いたeスポーツのチームは、2017年には14チームしかなかったのですが、2019年には60以上に増えて、ユーザーが地元のチームを応援するという状況が生まれましたし、アマチュアの選手が地元で活躍する土壌も生まれて層が厚くなってきました。
鹿児島で開かれる「燃ゆる感動かごしま国体」での開催も決まっていますし、カプコンは。全国各地に企業から応援してもらうチームを置いて、ドラフトを行ってリーグ戦をやっていくことになっています。より全国各地で実際に接することのできる大会が増えていくでしょうね。また、東京五輪に先駆けて開かれる「Intel World Open In Tokyo 2020」では、世界中のトッププレーヤーによるハイレベルの戦いが見られると思います。
確かに日本は町にゲームセンターがある一方で、PCゲームがあまり普及しなかったため、ゲームセンターで遊べる格闘ゲームが強く、PCが主流のFPSは弱いと言われてきました。しかし、現在その差は大分縮まっていると考えています。選手を経済的に支える環境も大分整ってきました。さらに、チームでの活動がメインとなるLoLなどに比べて、1人で戦う格闘ゲームは、遠征費も抑えられるので、企業もスポンサードしやすいというところは大きなポイントですね。
個人的な意見としては、症例数が少ないのではないかという印象を持っています。また、ゲーム依存のケースをみてみると、遊んでいるジャンルは、MMORPGが多く、eスポーツのジャンルのユーザーはあまり見られません。ゲーム依存というよりは、ゲーム内のコミュニティーに対する「コミュニティー依存」ではないのでしょうか。これはスマホ、SNSでも同じことが起きていますし、ゲームだけではなく、時代の変化に伴うもっと大きなものだと捉えて、対策を講じていくべきではないかと考えています。
CESAをはじめとした業界団体もゲーム依存に関する研究や啓発活動を始めています。業界としてきちんと取り組んでいくと宣言しましたし、これからもっとそうなっていくでしょう。任天堂も、子供が遊んでいるゲームやプレー時間を親が把握できるスマホアプリ「Nintendo みまもり Switch」を配信していますし、新しくなった時代への対応策も今後できてくるのではないでしょうか。
編集の現場が既に対応していて、読み込ませるような記事をいっぱい作っていますよ。情報の速さでいえば、昔は週刊誌だと速かったですが、今はネットの方が速い。そういう状況の中で、雑誌の作り方が変わってきていて、きちんと読み込ませる特集を重視する傾向になってきています。ゲームのグラフィックや写真を奇麗に活用して、読んでいて気持ちいいような、紙で読ませる工夫をしていますね。
ゲーム雑誌は、ユーザーの求めに応じて形を変えることはあるとしても、読み物として残っていくのではないでしょうか。ただ、見開きで見ていて楽しいというのは紙の雑誌にしかないメリットですし、ファミ通もウェブメディアを運営していますから、それぞれの役割が違うのだと思います。雑誌は、書店で平積みになった表紙で、読者にアピールする広告媒体としての役割も大きい。そこは検索しないと情報にたどり着けないというネットとは違いますよね。ネットの情報は玉石混交なので、“紙の信頼度”というのも大切な要素です。ファミ通でいえば、週刊誌として、そしてある種の業界誌として、クリエーターや売る人たちに信頼してもらっていて、ファミ通に掲載されるのがうれしいと思ってもらえている。中核にいる作り手と売り手に信頼してもらえている限り、役割を果たさなければならないと考えています。
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