浜村弘一氏:ゲーム市場はハード好調もソフト低迷 コロナ禍で大作の開発遅れ 「ポケモン」「スプラトゥーン」新作などに期待も

浜村弘一さん
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浜村弘一さん

 ゲーム誌「ファミ通」の編集長などを務めたKADOKAWAデジタルエンタテインメント担当シニアアドバイザーの浜村弘一さんが10月29日、オンラインセミナーを開催。2021年上半期(3月29日~9月26日)の国内家庭用ゲーム市場はハードが好調だったものの、ソフトが低迷したことについて、コロナ禍の影響で大作ソフトの開発が遅れたとの認識を示していた。

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 ファミ通の調査によると、2021年度上期の国内家庭用ゲーム市場は、ハードが前期比116.0%の約814億5000万円、ソフトが77.8%の約634億7000万円、合計が95.5%の約1449億2000万円にとどまった。ハード別はニンテンドースイッチの販売台数が94.1%の約211万台、昨年11月に発売されたプレイステーション(PS)5が約49万台、Xbox Series X/Sが約5万台だった。

 前年上半期のソフト市場は1位が「あつまれ どうぶつの森」の約314万本、2位が「ファイナルファンタジー7リメイク」の約94万本、3位が「リングフィット アドベンチャー」の約85万本を記録。一方今期は、1位の「モンスターハンターライズ」が約102万本とヒットしたものの、2位が2019年に発売された「リングフィット アドベンチャー」の約36万本、3位も旧作の「Minecraft」の約33万本と全体的に伸び悩んだ。

 国内市場規模について浜村さんは「ソフトは、前年に大ヒットした任天堂の作品がたくさんあったので、その分目減りした」といい、昨年よりも伸長したハード市場については「ニンテンドースイッチはかなりの高水準ですが、さすがに好調だった前年割れ。プレイステーション5は抽選販売、品切れが続いている中で、なかなか健闘した数字」と説明していた。

 また、ソフト市場について「コマ不足だったというのが否定できない。ソフト開発の遅れがあるようで、大作がどんどん遅れている」としつつ、「コロナ禍の影響があるようで、(昨年は)短期的には巣ごもりの需要で売り上げが大幅にアップしたが、中長期的には開発環境を変えないといけない、リモートワークにしないといけないため、開発の遅延が起きている。ハードは売れているが、ソフトは不足している」と指摘。

 ニンテンドースイッチ向けで「Pokemon LEGENDS アルセウス」「スプラトゥーン3」「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」続編、PS5向けで「グランツーリスモ7」「ホライゾン Forbidden West」など、発売を控えているビッグタイトルに期待を寄せていた。

 さらに浜村さんは、ソフト不足でありながら、各社の業績が好調を維持している現状を踏まえ、「ソフト販売のビジネススキームが変わっていることが補填している可能性がある」と示唆。代表的な例として、今夏欧米で人気が再加熱して、Steam版で一時売り切れになったオンラインゲームの「ファイナルファンタジー14」を取り上げ、「たくさんの新規ユーザーが入ってきた結果、サーバーが足りなくなり、販売が一時期中止になった」と話す。 

 「ファイナルファンタジー14」が人気となった背景について「ずっと続くシナリオになっていて、(旧版の)『新生エオルゼア』『蒼天のイシュガルド』を無料にした。大作RPG2本分が遊べるということが魅力的で、さらに先も遊びたいとなると、新作のパッケージを買い、月額料金が必要がある。半ばフリーミアムでありながら、パッケージの販売もする。ハイブリッドなビジネスをしている」と指摘していた。 

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