2年目となったコロナ禍がさまざまな影響を及ぼした2021年のゲーム業界。2020年は巣ごもり需要が市場拡大の一因となったが、2021年は開発の遅れなど悪影響もみられるようになった。ゲーム誌「ファミ通」の編集長などを務めたKADOKAWAデジタルエンタテインメント担当シニアアドバイザーの浜村弘一さんに振り返ってもらい、今年の展望を聞いた。
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トータルでいうと、ハードがすごく売れていた時期だったといえます。ソフトに関しては「あつまれ どうぶつの森」「リングフィット アドベンチャー」「桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!~」といった超ビッグヒットがあった前年からは1割ぐらいダウンですが、よく健闘したかなと。巣ごもりで大きく伸びた市場が、勢いとしてはそれなりに続いているという印象です。
そこなんですよ。実は調べてみると、ビッグタイトルがないんですよ。じゃあ、何でゲーム市場が盛り上がってるかというと、「フォートナイト」「エーペックスレジェンズ」「原神」といった人気の無料ゲームの存在が大きかった。パッケージを買って遊ぶという時期から、スマートフォンで人気を博したフリートゥープレーのビジネススキームが家庭用ゲーム機まで浸透してきている気がします。そちらに時間を取られている影響が既存タイトルの一部にも出ていると思います。
「ウマ娘」はすごい人気になっていますし「二ノ国 Cross Worlds」なども非常に好調だったと聞きます。新規のタイトルもポツポツ出始めてるという状況になってきました。とはいえ、上位勢がガラッと変わるっていうのはサービス型のスマホアプリでは起こりづらい。毎年起きることですが、少数のニュースターが生まれてきているということだと思います。
あると思います。ビッグタイトルが出なかった原因の一つとして、コロナによる影響があったと思います。コロナ前に完成していたタイトルは昨年リリースして、売り上げもすごく良かったんですね。ただ、2021年になってくると、まだ未完成だったタイトルが続々と延期している。やっぱりコロナによって開発環境を変えざるを得ないっていう状況が生まれたとみています。
コロナの影響として、短期的には巣ごもり需要によって業績が伸びた。しかし、中長期的に言うと開発が大きく遅れてタイトルラインアップに影響が出てしまったということでしょう。ただ、おそらく開発体制をコロナ前に戻すことは基本的にないので、これ以上スケジュールが大きくずれることはないと思います。
数年、数カ月前から発売時期を発表する家庭用ゲームと比較すると、スマホアプリはリリース直前で公表する傾向があるので分かりづらいですが、影響はあったようです。既存のタイトルについてもコロナの影響でイベントが作れなかったという話は聞いています。
プロ野球やJリーグなど昨年に引き続き継続的に大会を実施していました。さらにNTTドコモが「X-MOMENT」というリーグを始めたりと新しい動きも出てきています。本当は観客がいて熱狂があって、それも含めて視聴して盛り上がるっていうところもeスポーツの魅力だと思いますが、少しずつできてはいますね。
「全国都道府県対抗eスポーツ選手権」が国体(国民体育大会)の文化プログラムとして承認されています。本大会の方は2020年の鹿児島が2023年に延期、2021年の三重は中止となりましたが、eスポーツ選手権のほうはそのままオンラインでやることができました。eスポーツならではの利点を示すことができたのではないでしょうか。
世界的に半導体が自動車産業やIT関連で取り合いになっているという状況ですが、既に世界中で1000万台を突破して、PSプラットフォームで歴代最速のスピードで普及しています。それにもかかわらずいまだに品不足ということなので、それだけ人気が高いというところはあると思います。PS5のタイトルはもちろんですが、PS4のタイトルもとても快適に遊べるのは魅力です。実際「ファイナルファンタジー(FF)XIV」もめちゃくちゃ早いんですよね。
これからずっとリビングのセットトップボックス的な位置付けで売れていくんじゃないかなという気がします。Apple TVやNetflix、Huluのアプリも入っていますから、そうしたサブスクリプションサービスをはじめとしたさまざまなネットワークサービスをテレビで楽しむ時に使う機械としてもいいんじゃないでしょうか。もちろん「ホライゾン 禁じられた西部」「グランツーリスモ7」といったタイトルにも期待できそうです。
ダウンロード化はどんどん進んでいますからね。ゲームだけではなく書店も同じで、デジタルの流通が進むということになると、リアル店舗でモノを売ってるところは業態が変わってくる可能性はあるでしょうね。CDショップも探さないとないような状況ですし、これはもう世の中の流れだと思います。
直近で言うと個人的に気になっているのは「FFXIV」ですね。拡張ディスクの「暁月の終焉(フィナーレ)」のサービス初日は1万5000人待ちで1時間ログインできないという人気ぶりでプロデューサーの吉田直樹さんが謝罪声明を出しておられました。これの人気はどこまで行くんだろうというところは非常に注目しています。
他ですと「ホライゾン 禁じられた西部」などもそうですし、新規のIPも出てきそう。ジャンルで言えば「フォートナイト」「エーペックスレジェンズ」「PUBG」といったフリートゥープレーのタイトルは、バージョンアップを続けて今年も変わらず人気でしょう。
今年9月に中国・杭州で開かれる第19回アジア競技大会ではeスポーツが正式種目として実施されます。「ストリートファイターV」「リーグ・オブ・レジェンド」などが出てくるんです。東京五輪でスケートボードが話題を集めたように、eスポーツで日本人選手が金メダルを取ったら注目されると思いますし、ゲームの社会的な立ち位置が変わってくるかもしれませんね。
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