ゲーム業界展望:浜村弘一氏に聞く 世界のコロナ明けが及ぼした影響 2023年の展望は

浜村弘一さん
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浜村弘一さん

 世界的なコロナ禍が終焉(しゅうえん)に向かった2022年のゲーム業界。市場拡大に貢献した巣ごもり需要も一段落した一方、eスポーツはリアル大会が明けるようになるなど復調を見せた。ゲーム誌「ファミ通」の編集長などを務めたKADOKAWAデジタルエンタテインメント担当シニアアドバイザーの浜村弘一さんに2022年を振り返ってもらい、2023年の展望を聞いた。

ウナギノボリ

 --2022年はゲーム業界にとってどんな一年だったと考えていますか。

 2022年を一言で言い表すのは難しいですが、何年かたった後で「この年が重要だったんだね」と振り返るような年だったと思います。

 世界的にはコロナ禍が明けて外出できるようになったことで、他のエンタメが再び盛況になる可能性が出てきたと思います。そうは言っても、家庭用ゲーム機はコンテンツの力によるところが極めて大きいので、拡大した家庭用ゲーム市場が落ち込んだわけではありませんでした。

 どちらかといえばフリートゥープレー(F2P、基本無料のアイテム課金制)のタイトルの方が影響が大きかったようです。ゲームは不況に強いコンテンツだと言われてきましたが、F2Pのようなサービス型のタイトルは、遊ぶ時間が他のものに取られるだけではなく、社会情勢の影響を受けやすく、ウクライナ侵攻などの要因で不況が始まりそうだと考えて、お金を使わないユーザーが増えたと思われます。

 --eスポーツの動向は?

 リアルイベントを開くことができるようになって、集客できたのが大きいですね。リアルイベントのメリットは協賛がつきやすいこと。「RAGE」のリアルイベントでは、先着チケットが販売開始から数分で完売したりと、巣ごもり傾向が薄まり、興行が成り立ち始めています。

 スター選手やスターチームが集客力を持つようになってきているのもポイントです。「ZETA DIVISION」が「VALORANT」で世界3位に入ったのも記憶に新しいですね。タレント的な人気でスターになっています。ファンはストリーミングで視聴するので、野球やサッカーよりも、しゃべれてかっこいい選手の人気が高い印象です。

 --2022年の任天堂の動向は

 とてもよかったと思います。特にポケモンがすごかった。1月に「Pokemon LEGENDS アルセウス」が出て、11月には「ポケットモンスター スカーレット・バイオレット」もリリースされましたが、いずれも世界的な大ヒットを記録しました。

 供給体制もしっかりしていて、ニンテンドースイッチ本体も極端に減少することなく好調をキープしています。日本国内では「スプラトゥーン3」もすさまじいヒットを記録しました。

 --SIEはいかがでしたか?

 本当はもっと爆発的にいけたはずの年だったと思います。PS5が普及していたらおそらくもっともっと盛り上がっていったと思います。

 ただ、カプコン、コーエーテクモゲームス、スクウェア・エニックスといった日本のメーカーから来年オリジナルの新作が続々と登場します。ひょっとするともっと早く出せたのかもしれませんが、PS5の普及を待っていたということかもしれません。ここ2年はPS4との両対応で、アイテム課金コンテンツなども活用したビジネスでしたが、ようやくハイエンドコンテンツによるビジネスがようやく本格化していくとみています。

 --マイクロソフトは?

 着々と「Xbox Game Pass」を活用して地固めを行っている印象です。「League of Legends」「VALORANT」といったタイトルは、プレミアコンテンツが利用できるGame Passで遊ぶのが当たり前になっていますし、新しいウィンドウズPCを買えば、Game Passへの誘導もあります。今後もよりGame Passを中心とした展開が広がっていくのでは。

 --PSPlusの細分化やXbox Game Passの伸長などサブスクリプションサービス(サブスク)への注力が目立ちました

 ゲームがサービス化していく中で、自然な流れなんだろうと思います。音楽を聴くにも映画を見るにもサブスクは当たり前になっています。事業者としては、コンテンツを集める代から(ユーザーの)IDを集める時代に変わってきたということでしょう。

 ただ、映画はサブスクで楽しめる一方で、映画館もいまだに大きい存在としてあり続けています。ゲームでも超大型タイトルはサブスクに入らないのではないかと思いますし、逆に広告を入れた形での安価なサブスクモデルも出てくるとみています。


 --Googleのクラウドゲーミングサービスとして話題を呼んだ「Stadia」がサービスを終了します

 改めてゲームのビジネスの難しさを感じさせましたね。サービスであり、工業製品であるというところまでは大丈夫なのだと思いますが、コンテンツというところがハードルになっているのだと思います。クリエーターにはお金につられない人も多いですし。

 かつてマイクロソフトも苦戦しました。それがようやく次の世代になってきて結実してきた。フライトシミュレーターなどのタイトルをリリースしてきたマイクロソフトですら時間がかかりましたから、それだけゲームビジネスは難しいということなんだと思います。

 --来年はゲーム業界にとってどんな年になりそうですか

 今年起きた変革が形になってでてくるのではないでしょうか。サブスクももっと伸びるでしょうし、PSVR2もリリースされます。かつて2016年が「VR元年」と言われながら、「消えちゃったんじゃないの?」という雰囲気になっていましたが、実は着々と広がっていました。当初は女性の化粧が落ちてしまったり、3D酔いなどが指摘されていました。しかし、技術の進化で段々普及してくる技術の進化でさらに普及してくると思います。ニーズの一つとしてメタバースとの組み合わせもありますね。コミュニケーションの場自体も一つのコンテンツになってきていますし、これからも進んでいくと思います。


 --来年はどんなゲームが人気を集めそうでしょうか?注目しているジャンルや作品があればお教えください

 SIEが2025年までに10タイトル超をリリースするとしているライブサービスゲームでしょうか。いくつかは形が見えてきそうなので注目しています。あとは個人的な意見でいえば、やはり「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」(任天堂)や、「ファイナルファンタジー16」(スクウェア・エニックス)でしょう。PS5も増産が始まっていると聞いていますので、盛り上がってくれると思います。

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