テレビ試写室:「相棒18」元日スペシャル さえ渡る“右京イズム”と緊張感あふれるストーリー

「相棒18元日スペシャル」の場面カット=テレビ朝日提供
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「相棒18元日スペシャル」の場面カット=テレビ朝日提供

 ドラマからドキュメンタリー、バラエティー、アニメまで、さまざまなジャンルのテレビ番組について、放送前に確認した記者がレビューをつづる「テレビ試写室」。今回は1月1日に元日スペシャルとして放送される、人気刑事ドラマ「相棒シーズン18」(テレビ朝日系)の第11話「ブラックアウト」(1月1日午後9時放送)だ。

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 年の瀬、杉下右京(水谷豊さん)と冠城亘(反町隆史さん)は、山奥のゴルフコースで開かれる警視庁主催の親睦ゴルフコンペに、準備係として駆り出される。コンペが終わり、参加者たちが帰ろうとしたところ、ゴルフ場の地下駐車場で大爆発が発生。出入り口が完全にふさがり、右京は、刑事部長の内村完爾(片桐竜次さん)や警察庁OBの蓮見恭一郎(長谷川初範さん)、秘書の雨宮紗耶香(瀧本美織さん)らとともに、地下空間に閉じ込められてしまう。

 さらに、閉じ込められた被害者だと思われていた中の一人、溝口正吾(螢雪次朗さん)が拳銃を発砲。暴力団の構成員だった溝口は、他の被害者を人質に、収監されている仲間の釈放を要求。抵抗する機会をうかがった奥村悟(河相我聞さん)を射殺する。一方、地上では亘ら警視庁の面々が、人質救出に動き始めていた。そんな中、亘は溝口が突きつけた犯行声明にある疑問を抱く……。脚本は神森万里江さん、監督は橋本一さんが務める。
 行方不明になったり、一時的に視力を失ったりと、今回の「相棒18」シリーズでは受難続きの右京さん。今回はついに人質になってしまう。とはいえ、絶体絶命の立場でも、冷静な立ち居振る舞いと、やるときはやるという勇敢さは健在。万全の状態でなくてもさえ渡る“右京イズム”が堪能できるはずだ。

 「相棒」の魅力の一つが、実際の社会問題も盛り込んだストーリーだろう。今回の元日スペシャルでも昨年話題になった「上級国民」を思わせるくだりもあってニヤリとさせられる。ただ、それだけに終わらせず、エンターテインメントとしての完成度を重視しているのが、「相棒」のもう一つの魅力だ。ライトな一般視聴者に加え、毎年の元日スペシャルを楽しみにしている目の肥えたファンに向けて、どんでん返しに次ぐどんでん返しで緊張感あふれるストーリーをぶつけてきた。おなじみ“右京イズム”との化学反応を堪能したい。

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