海に眠るダイヤモンド
最終話後編(10話)記憶は眠る
12月22日(日)放送分
2020年1月にスタートしたドラマの主題歌を紹介。1月期連続ドラマ(冬ドラマ)では、沢村一樹さん主演のフジテレビ系“月9”ドラマ「絶対零度~未然犯罪潜入捜査~」の主題歌にシンガー・ソングライターの家入レオさんの新曲「未完成」、天海祐希さん主演の「トップナイフ ―天才脳外科医の条件―」(日本テレビ系)の主題歌に歌手のJUJUさんの新曲「STAYIN’ ALIVE」、竹内涼真さん主演の「テセウスの船」(TBS系)の主題歌に歌手のUruさんの新曲「あなたがいることで」が採用されている。家入さんの楽曲が月9ドラマの主題歌になるのは今回で4度目、天海さんとJUJUさんのドラマ主題歌によるタッグは3度目、Uruさんが連ドラ主題歌を担当するのは3度目となり、ドラマ主題歌の経験豊富な女性シンガーが顔をそろえた。そのほか、人気バンド「Official髭男dism(ヒゲダン)」の新曲など注目の主題歌をピックアップした。
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沢村さんが主演するフジテレビ系“月9”ドラマ「絶対零度~未然犯罪潜入捜査~」(月曜午後9時)の主題歌は、家入さんによる書き下ろしの新曲「未完成」(シングル発売中)。家入さんが月9主題歌を担当するのは、2013年に放送された「海の上の診療所」の主題歌「太陽の女神」、2015年放送の「恋仲」の主題歌「君がくれた夏」、2018年放送の前作「絶対零度~未然犯罪潜入捜査~」の「もし君を許せたら」に続いて4度目で、歴代月9主題歌の担当回数としては女性歴代1位タイとなる。今回の主題歌は、未完成ゆえのやるせない悲しみや心の叫びが胸に迫るミディアムナンバー。それぞれに過去の傷やトラウマを抱える未然犯罪捜査班(ミハン)のメンバーや登場人物たちの姿を表現しているようで、ドラマの世界観に深く寄り添う楽曲だ。
天海さん主演の「トップナイフ ―天才脳外科医の条件―」(日本テレビ系、土曜午後10時)の主題歌は、JUJUさんが歌う新曲「STAYIN’ ALIVE」(2月26日シングル発売)。「天海さん主演ドラマ&JUJUさんの主題歌」のタッグは、2014年に放送された「緊急取調室(第1シーズン)」(テレビ朝日系)の主題歌「Door」、2015年放送の「偽装の夫婦」(日本テレビ系)の主題歌「What You Want」に続いて3度目となる。今回の楽曲は「What You Want」の流れをくむアッパーなダンスチューンで、天海さんらキャストが曲に合わせてノリノリで踊る本編のエンディングが印象的だ。ドラマで描かれる“トップナイフの苦悩と葛藤”を吹き飛ばすような開放感と痛快さで、一服の清涼剤的な役割を担っている。
竹内さん主演の日曜劇場「テセウスの船」(TBS系、日曜午後9時)の主題歌は、Uruさんがドラマのために作詞・作曲した書き下ろし楽曲「あなたがいることで」(配信中。3月18日発売のニューアルバム「オリオンブルー」に収録)。Uruさんの曲が連続ドラマの主題歌に採用されるのは、2017年に放送された「コウノドリ」(TBS系)の主題歌「奇蹟」、2018年放送の「中学聖日記」(TBS系)の主題歌「プロローグ」に続いて3度目。主人公(竹内さん)が31年前にタイムスリップし、殺人犯となった父(鈴木亮平さん)の事件を食い止めようとする……というドラマの展開と、時空を超えた“あなた”への深い思いを吐露する歌詞が見事にリンクしたバラード。柔らかで優しいその歌声は、父子が心を通わせていく軌跡を彩り、緊迫した物語に温かな空気を運んでくれる。
上白石萌音さんと佐藤健さんが出演する「恋はつづくよどこまでも」(TBS系、火曜午後10時)の主題歌は、4人組バンド「Official髭男dism」がドラマ用に書き下ろした新曲「I LOVE...」(シングル発売中)でドラマチックなナンバー。視界に飛び込んできた鮮烈な色彩や光のように、まぶしい“君”の存在によって心を動かされ、愛が芽生えていく“僕”の気持ちが歌われている。それは、劇中の新米看護師の佐倉七瀬(上白石さん)と超ドSドクター、天堂浬(佐藤さん)の恋模様や関係性にも重なり、ドキドキ感をあおっている。曲で表現されている「I LOVE」の先にある「...」の余韻が、七瀬と天堂の恋の進展を予感させる。
吉高由里子さんが主演を務める「知らなくていいコト」(日本テレビ系、水曜午後10時)の主題歌は、4人組バンド「flumpool」の新曲「素晴らしき嘘」(2月26日シングル発売)。ドラマは、週刊誌の記者である主人公(吉高さん)が日々スクープを追う一方で、自分の父が殺人犯だったことを知り、自身の出生や父の事件の真相に迫っていく……というストーリーで、主題歌もその内容に沿って“うそと本当”というテーマ性をもって制作された。“正直さ”“仮面”といった言葉で人間の多面性を表し、ドラマと共に「真実とは何か」を問いかける、シリアスな雰囲気の楽曲に仕上がっている。
内田理央さん主演の「来世ではちゃんとします」(テレビ東京ほか、水曜深夜1時35分)は、4人組ガールズバンド「SCANDAL」の新曲「Tonight」(最新アルバム「Kiss from the darkness」に収録)を主題歌に採用。バンドのロックなイメージを打ち破るデジタルなサウンドと軽やかなボーカルは、恋愛をこじらせながら、どこかコミカルで楽観的なイマドキ男女が登場するドラマとマッチしている。
岡田結実さん主演の「女子高生の無駄づかい」(テレビ朝日系、金曜午後11時15分)の主題歌は、女性ボーカルグループ「Little Glee Monster(リトグリ)」の新曲「STARTING OVER」(最新アルバム「BRIGHT NEW WORLD」に収録)。新たな旅立ちや友情をテーマにしたポップチューンで、主人公の田中望(岡田さん)のあだ名「バカ」にちなんだ「馬鹿をしてた愛しい日々……」といった歌詞も盛り込まれている。女子高を舞台に、個性的なJK像を描く物語を明るく盛り上げるナンバーだ。
清野菜名さんと横浜流星さんがダブル主演を務める「シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。」(読売テレビ・日本テレビ系、日曜午後10時半)の主題歌は、米歌手ビリー・アイリッシュさんの楽曲「bad guy」(デビューアルバム「ホエン・ウィ・オール・フォール・アスリープ、ホエア・ドゥ・ウィ・ゴー?」に収録)。ビリー・アイリッシュさんは、「第62回グラミー賞」において、史上最年少18歳で主要4部門受賞を含む5冠を達成したことでも話題の女性アーティスト。「年間最優秀レコード」と「年間最優秀楽曲」に輝いた「bad guy」は、淡々としたリズムとつぶやくような歌唱が特徴的なミディアムナンバー。曲が持つミステリアスなムードは、劇中の“グレーな真実”が醸し出す怪しさや、それを暴こうとするミスパンダ(清野さん)の謎めいた存在感を絶妙に際立たせている。
連ドラ常連の女性シンガー、バンド、グラミー賞歌手などさまざまなアーティストによる主題歌が冬ドラマに花を添えている。物語を構成する一つの要素として主題歌にも注目だ。(水白京/フリーライター)
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