佐野勇斗&飯豊まりえ:「僕だけが17歳の世界で」幼なじみの恋物語を演じるも「ただの恋愛ものではない」

ドラマ「僕だけが17歳の世界で」に出演する佐野勇斗さん(左)と飯豊まりえさん
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ドラマ「僕だけが17歳の世界で」に出演する佐野勇斗さん(左)と飯豊まりえさん

 インターネットテレビ局「AbemaTV(アベマティーヴィー)」のオリジナルドラマ僕だけが17歳の世界で」が2月20日から配信中だ。ドラマは10代をターゲットにした“ファンタジー・ラブロマンス”で、俳優でボーカル・ダンスユニット「M!LK(ミルク)」としても活動する佐野勇斗さんと、女優の飯豊まりえさんがダブル主演を務めている。「台本を読んで面白いと思ったけど自分が演じるとなると難しい。どうなるのだろうという期待と不安が入り交じった気持ちだった」と出演決定時の心境を振り返る佐野さんと、「胸キュンもあるけどそれだけじゃない。すごく深い群像劇」と今作を表現する飯豊さんに話を聞いた。

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 ◇“お兄ちゃん”のようなプロデューサーの“熱さ”に刺激

 ドラマは高校2年生の染谷航太(佐野さん)と、航太の幼なじみの今野芽衣(飯豊さん)が互いに好意を抱いていることに気づくも思いを伝えることなく航太が17歳で亡くなってしまう。7年後、24歳になった芽衣は、真冬に季節はずれの桜が咲いたことを知り、7年ぶりにふるさとに戻り、美しく咲き誇る満開の桜を訪れる。そこには死んだはずの“あの日”の航太がいた……というストーリー。

 今作のプロデューサーは、“月9”ドラマ「恋仲」「好きな人がいること」「グッド・ドクター」などを手がけた元フジテレビの藤野良太さん。「13歳のときからお世話になっていたプロデューサーさんで、久々に選んでいただけて純粋にうれしかった」と飯豊さんは出演を喜び、「何としてもこの作品をたくさんの人に見てもらわなきゃという強い思いは常にある。一つ一つのシーンを妥協せずに私たちはやらせていただき、確実にいい作品ができているのでは」と手応えを口にする。

 藤野プロデューサーは「キャラクターができるまでは撮影現場に行ってキャストと話す」というのが持論だというが、佐野さんは、「ワンシーン、ワンシーン見て『ここは多分こうなんじゃない』とか『こういう気持ちで書いている』とか言ってくださり、一緒に作っているという感じがしてありがたかった」と感謝する。

 飯豊さんは「もちろん自分で(キャラを)作っていくのもありますが、やりながら“答え合わせ”していく感じ。これは芽衣が笑顔を取り戻していく作品なんだよとか、チャーミングな航太がこういう気持ちになってこうだよって分かりやすく説明してくれるのでとてもやりやすい」と話す。

 さらに「こんなに現場に来てくださるプロデューサーさんはなかなかいない。熱いんです」と飯豊さんがたたえると、佐野さんも「お兄ちゃんみたいな感じ」と表現。飯豊さんも「親友とかお兄さんと話している感じ」と親しみやすさを感じているという。

 ◇撮影現場の熱量が作品の完成度を高める

 撮影現場の様子について、飯豊さんは、「プロデューサーさんとメインのカメラマンさんと監督がみんな37歳。“僕だけが37歳”(笑い)。その関係性がすごく憧れるし、すてき」と話し、「撮影後、毎回私たちをご飯に誘ってくださり、『次のシーンはこうやってやろう』『悔いが残らないようにやろう』といった熱い感じがあって、(自分たちの心を)動かしてくれている」と感謝する。

 聞いていた佐野さんも、「その3人が青春っぽくてリスペクトしているし、ただ単に『良かった』と褒めるだけではなく、『もっとこうした方がいい』というのもちゃんと言ってくれるので信用もできる。すごくやりやすい」と笑顔を見せる。

 中でも藤野プロデューサーは、「女の子の気持ちをすごく大切にしてくれて、ドライとかリハーサル後に『これが気持ち悪いと思った女性の人、意見大募集』みたいになる」と飯豊さんは明かし、「男性と女性では胸キュンの考え方が違う。男性が作っているけど、女性の意見を取り入れているところが響くのだろうなって」と感心する。

 今作には切ないシーンも多数あるが、「泣く芝居が多いのですが、泣くスイッチをみんなが押してくれる。そこが本当にやりやすいし、とってもいい現場」と飯豊さん。スイッチの押し方について、「主題歌を聴かせてくれるというのが一つ」と飯豊さんが言うと、佐野さんは、「(監督の)作り話に感動して、そのシーンはぶわーっと泣いたんですけど、終わった後に『あれ、うそだから』って(笑い)。びっくりしました」と演出方法の一端を明かす。

 さらに、飯豊さんは「1話のラストで泣くシーンがあって、撮影3日目にそれがきて結構緊張して涙があまりうまく出なかった。オーケーが出て『うわ~……』と思っていたら、後日、撮り直すと言ってくださって。それって本当に異例」と驚き、「そんな優しいチャンスをくださる現場はなかなかない。期待に応えたいと思ってやっています」と力を込める。

 ◇佐野は17歳、飯豊は恋愛ものを演じることにそれぞれ試行錯誤

 自身が演じている航太について、「自分で言うのは恥ずかしいですけど、めっちゃ似ている。そのままかもしれない」と佐野さんは切り出し、「そんなに藤野さんにお会いしていないのに、僕を思って作ってくれている。なんでそんなに知っているんだろうってくらい(笑い)。なかなか女の子に告白できないところも似ている」と照れ笑い。

 飯豊さんも「当て書きみたい。17歳のころはあんな感じだったかなって。似ていない部分がないかも」と同意し、「あのころって根拠のない自信を持っていたり、何に対してもポジティブに過ごしていたりしたけど、今は構えちゃったり、どこか落ち着いてしまって客観的に見たりするようになっているなというのを、この作品をやりながら自分を振り返れるのが、いい時間だと思う」としみじみ語る。

 物語が進むと仲間内で一人だけ17歳を演じる佐野さんについて、「17歳ちょっとやりづらそうだけど、そこもやっぱリアル。(17歳に)戻れている」と飯豊さんがたたえると、佐野さんは「戻れている! 良かった」と喜ぶも、飯豊さんは、「(佐野さんの)17歳のころ知らないけど(笑い)」とちゃめっ気たっぷりに話し、笑いを誘った。

 そんな佐野さんは、「台本を読んでいるときは自分に似ているしやりやすそうだなと思ったけど、みんなが大人になって自分だけが17歳になってからは、17歳感を出すのも難しいのにさらに重いシーンだとあんばいが難しい」と役作りに悩んだことを明かし、「だから『ちょっと17歳感、消えてるぞ』って監督に言ってもらったりとか、ずっと17歳だと言ってもらいながら芝居をしていた」と振り返った。

 一方、飯豊さんは苦労した点を「久々の恋愛もの。恋愛ものを演じるってとても難しい。ここで胸キュンして、ここでハッとして、ここで相手のことを思うけど涙は流さないとか、抑える、出すの0、100が難しい」と説明。「『もっと好き感出して』て言われると、まずいまずいって(笑い)。ちゃんと思っているけど、どこか恥ずかしさもあるから隠しちゃっていて出し切れないとか。久々の恋愛ものだから苦戦しています」と話す。

 ◇幼なじみ感を出すため佐野勇斗を見まくる

 2人がそれぞれ演じる航太と芽衣は幼なじみ。その空気感を出すため、飯豊さんは「作品に入る前にずっと見ていました。M!LKの活動の動画も見たし、佐野さんが出ている作品も見たり、好きなタイプはとか好きな色はとかそういう記事や、プロモーションの舞台あいさつの映像とかを見たり、マニアみたいに見ていました」と取り組んだことを明かす。

 「何してんの(笑い)」と佐野さんにツッコミを入られるも、飯豊さんは、「人見知りなので、目をずっと見て真っ正面に立つのが苦手。幼なじみだから、顔を見慣れておこうと思って。胸キュンものはお互い仲が悪いところから始まるものが多いけど、今回は初めからグッと近いから今回は特に見ました」と説明する。

 ただ「(佐野さんが)自分の知らないところで知られているって気にもなるかなと思った」と気にする飯豊さんに、佐野さんは「現場でいろいろ話したら何でも『知ってる』って言われて、何で知ってるのって(笑い)。うれしかったし、お陰で近づけました」と感謝する。

 今作の見どころについて、「ただの恋愛ものじゃないというのは、声を大にして言いたい」と佐野さん。「『胸キュン! 私もされたい!』っていうのもありますけど、大人が見ても楽しめる人間ドラマでもある。僕らも演じていて気づかされることが多かったし、撮影期間中に成長したなと思えるので、見てくれる人も、ちょっとくさい言い方ですけど、人生が豊かになるのでは」とアピール。

 飯豊さんは、「壮大な感じで言っちゃいますが、これから17歳になる人も、今17歳の人も、前に17歳だった人にも響くような繊細なドラマ。恋愛とか人の大切さとか、人の思いを伝える、一歩踏み出すみたいなのを疑似体験させてくれる、こういうドラマを若い子たちに興味を持っていただきたいと思いながら演じています。気軽に見てほしいですけど、誰かの気持ちが晴れたらいいなみたいな、大切な人を思い出してもらえたらいいなと思います」と呼びかけた。

 (取材・文・撮影:遠藤政樹)

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