知らなくていいコト:いよいよ最終回 柄本佑に聞く“尾高さん”ができるまで

ドラマ「知らなくていいコト」に出演する俳優の柄本佑さん
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ドラマ「知らなくていいコト」に出演する俳優の柄本佑さん

 「ラブストーリーの名手」と称される脚本家の大石静さんのオリジナルドラマ「知らなくていいコト」(日本テレビ系、水曜午後10時)が、3月11日の放送でいよいよ最終回を迎える。吉高由里子さん演じるヒロイン・真壁ケイトと、柄本佑さん演じる“元カレ”で、動物カメラマンの尾高由一郎の恋の行方も注目を集めており、すでに「絶対、尾高さんロスになる」という声もあがっている。今クールでは、NHK連続ドラマ「心の傷を癒すということ」(総合)にも出演し、尾高とは全くちがうキャラクターを演じた柄本さんの演技力に、視聴者からは称賛の声があがっている。柄本さんに、役者として大切にしていることや、“尾高さん”ができるまでを聞いた。

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 ◇連ドラに掛け持ち出演 撮影が重なったことも

 「知らなくていいコト」は、「家売るオンナ」シリーズ(日本テレビ系)や「大恋愛~僕を忘れる君と」(TBS系)などで知られる大石さんが描く“お仕事系ヒューマンドラマ”。週刊誌「週刊イースト」で日々スクープを狙う記者、真壁ケイトはある日、自身の父がハリウッドスターだと聞かされる。自分の出生の謎と父の秘密に迫ると、人生最大の「知らなくていいコト」にぶち当たり……というストーリー。

 柄本さん演じる尾高は、フリーランスの動物カメラマン。報道カメラマンだったころ、かつて世間を騒がせた殺人犯で、第1話でケイトの父と判明した乃十阿徹(小林薫さん)の出所時の写真を撮影し、「週刊イースト」に掲載した経験を持つ。現在は妻子持ち、という設定だ。

 「心の傷を癒すということ」は、阪神・淡路大震災発生時、自ら被災しながらも、被災者の心に寄り添った精神科医・安克昌(あん・かつまさ)さんをモデルにした物語。柄本さんは、主人公の安さんを演じた。

 両ドラマの撮影が重なった時期もあるなど、めまぐるしい日々を送る柄本さん。役を混同してしまうことはあったかどうかを聞くと、「似たようなお医者さんの役だと、(役が)混同するかもしれないですけど、これだけ違っちゃっていたら、混同することはあんまりないですね。せりふの言い回しとかが、作家さんによってちがうので、そういうときの方が取捨選択が早かったりはしますよね」と明かす。

 「心の傷を癒すということ」では、前髪を上げたスタイルだったことから、尾高の衣装合わせでは、髪の毛を上げるという選択肢は必然的になくなった。「時間があればあるほど、選択肢ってどんどん増えていく。そうすると、あれもいいな、これもいいなってなるけど、悩んでいる暇がなかった(笑い)」と振り返る。

 ◇レディー・ガガを聴き、自らを鼓舞!?

 同時期に、全く違うキャラクターを演じわけた柄本さんには、「ホント別人でどちらもすてき」「佑さんの演技力にほれぼれします」「今、最も注目すべき役者」という声もあがっている。

 そんな柄本さんに、役に入るスイッチなるものがあるかどうかを聞いてみた。「最近だと、ここ(撮影スタジオ)に向かうまでの電車移動中のレディー・ガガ(笑い)。レディー・ガガを聴きながら鼓舞している。(SF小説の)『火星の人』という小説を読みながら、なにかこう(気持ちを盛り上げている)……(笑い)」と明かす。

 とくに、レディー・ガガさんの「Poker Face」「シャロウ」をよく聴いているといい、「そうやってゆっくり移動していきながら、『おはようございます』って(共演者やスタッフなどに)言って。衣装を替えて、メークをして、じょじょに髪形ができてきて。(スタッフに)『(出番まで)あとどれくらいですよ』とか言われる中で、じょじょにスイッチングみたいなことはしているんでしょうね。自分としては、ゆっくり作っていくという感じですかね」。

 ◇柳家小三治の“ある言葉”を大切に…

 第1話が放送されると、「柄本佑さんってあんなにイケメンだったっけ」などの声が上がり、回を重ねるごとに、「柄本佑が最高に良い」「柄本佑沼にはまった」「今期で一番のキャラ」など絶賛する声が上がった。吉高さん演じるケイトとのキスシーンをはじめ、ケイトを呼ぶときの優しい声、柄本さんの色っぽさも注目を集めた。

 そんな尾高の“色気”について、柄本さんは「いや~わかんないなぁ(笑い)」と照れ笑いしながら、「作品とか尾高さんのことばっかり考えてて、あんまりそういったことは考えずにやっていて。でもそういうふうに言っていただけるのはありがたいし、『尾高さんを作っていく工程は間違っていなかったのかな?』とか思ったりはしています。けど自分としては、必死にこのドラマと尾高さんをとにかく真摯(しんし)に務めていくしかない」と力を込める。

 回を重ねるごとに、「尾高さんが勝手に動いてくれる」と表現する柄本さんだが、せりふを無断で変えたり、アドリブで適当なことを言ったりはしないという。

 「やっぱりせりふって、僕らなんかよりも、考え抜いて、大石先生が書かれているので、容易には変えられないし、まずは変えてはいけない、というふうに僕は思っているんです。むしろ、『てにをは』とかに作家さんが考えている人物造形があるので、自分の言いやすい言い回しにするというよりは、そういうせりふを言う人なんだな、という認識をもって僕は考える。そこが役を探すヒントにもなる」とこだわりを明かす。

 最後に、役者として一番大切にしていることを聞いてみた。「そこまでないんですよ」と話しつつも、「大事にしている言葉があって。それは、(落語家の)柳家小三治師匠が言っている『芸はできる限りのことでしかない。あとは人です』。この言葉をパッて聞いたときに、単純にかっこいい言葉だし、影響を受けたんです。100%理解とか、実感をしているわけではないんですけど、自分の心にとどめておきたい言葉の一つではありますね」。

 そんな柄本さん演じる尾高も、今夜で見納め。最終話の予告動画では、尾高の「結婚しよう」というせりふも公開されている。果たして、ケイトと尾高の出す答えとは……。最後まで見守りたい。

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