ドラゴンボールDAIMA
第6話 イナヅマ
11月18日(月)放送分
元宝塚歌劇団星組で、アーティストや俳優、声優として活躍する七海ひろきさん。人気PCブラウザー&スマホゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」を原案とする舞台「刀剣乱舞」の初の女性キャストに抜てきされたことも話題になっている。2019年3月に宝塚歌劇団を退団し、“無印・七海ひろき”となってから約1年を振り返った思い、「もう一つの夢だった」という声優への挑戦、今後の目標について聞いた。
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七海さんは、2003年に89期生として宝塚歌劇団に入団し、宙組に配属。「風と共に去りぬ」のスカーレットや、「ベルサイユのばら -フェルゼンとマリー・アントワネット編-」のオスカルなど人気の役どころで、星組に組替えしてからは男役スターとして活躍。ファンからは「お兄様」と呼ばれ、人気を集めた。
宝塚歌劇団を退団して約1年を振り返り、七海さんは「宝塚の七海ひろきではない、新しい無印である七海ひろきの土台を作るための1年だった」と語る。
「すごくいろいろなことに挑戦する機会をいただけて、とても内容の濃い1年でした。自分がこういうふうにやっていこうというのを固めていって、またどんどんそれに上乗せしていくような、2、3年目といろいろなことに挑戦していくための土台を作ることができました。でもそれは自分一人の力だけではもちろんなくて、私がやりたいことに対してファンの皆様やスタッフの方々、この1年で出会った人たちが協力してくれたからこそのものだと改めて感じています」
七海さんは、自身のファンや周囲のスタッフを「チーム七海」と呼び、その存在の大きさを改めて実感しているという。
「もちろん宝塚時代も仲間はいたのですが、やはりみんな仲間であり、ライバルである部分があって、七海ひろき個人として切磋琢磨(せっさたくま)していた部分が大きかったように感じます。退団してからは、七海ひろきというものを、ファンの方も含めたチーム七海として一緒に作っていっているという感覚があります。ありのままの私が『こうやりたい』というものを一緒に作っていこうと考えてくれる。すごく心強いです」
新たな無印・七海ひろきとして、大きな挑戦となったのが声優としてのアニメ出演。宝塚在団中もテレビアニメ「ノブナガ・ザ・フール」で声優を務めたが、退団後は「ソマリと森の神様」「織田シナモン信長」などさまざまな話題作へ出演した。アニメの世界への挑戦は七海さんにとって「もう一つの夢」だった。
「元々アニメが好きで、宝塚の世界に入りたいという夢を持ったのと同じ時期に、声優をやってみたいという思いがあったんです。私が宝塚を好きになったきっかけは天海祐希さんだったのですが、ちょうど同じぐらいの時期に涼風真世さんがアニメ『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』で剣心の声優をやられていて、宝塚を退団して声優をされることもあるんだということを知りました。声優の仕事は第二の夢というか、もう一つの夢として心にあったんです。宝塚では、宝塚の男役に専念して、『ここでピリオドを打とう』と決めた時、この一度の人生で声優に挑戦してみたいと思いました」
もう一つの夢だった声優。実際にその世界に飛び込み、「すごく難しいと痛感したことがたくさんあった」と話す。以前はアニメファンとして作品を楽しんでいたが、「見るのとやるのでは本当に大きな違いがあった」という。
「自分の中でこうやりたいという思いがあるのに、それに追いつかない自分というのがすごくありました。例えば、『えっ』『あっ』という短い言葉にいかに情報を込めるかという難しさがすごくあって。一言でも難しいのに、せりふがどんどん長くなればなるほど、より難しい……」
宝塚で大人数を前にステージに立っていたからこその違いもあった。
「宝塚音楽学校を含め18年間やってきて、やはり舞台では音量が助けてくれる部分がすごくありました。決して大きい声でごまかすわけではないんですけど、体と声、自分の全てを使って表現していたからこそ、アフレコの際、マイク前の芝居でも声が大きくなってしまう。そうするとキャラが変わってしまうんですよね。それに、男役を長くやってきたので低い声で話す癖があって、すごく暗いキャラになってしまう。アニメでは、男の子をやる時も思いのほか高いところを使ったりもするので、なるほどと思って、舞台と声優の違いをすごく感じました」
自身が出演したアニメの放送を見ても「楽しめないというか、楽しんでいる場合ではないなと……」と感じることもあるという。
「音響監督さんがOKを出してくださってはいるんですけど、それはその時点の私の最大級にOKを出してくださっているだけであって、さらに追究することはたくさんある。反省しつつも、自分が出ている作品を見て、単純にうれしいという気持ちももちろんあります。舞台とはまた違う、声の表現で役の幅が広がるアニメの世界の面白さ、魅力を感じています」
第一線で活躍する声優陣と共演する中で、「皆さんをずっと見ながら、ひたすら耳を肥やさなきゃと。ほかの方のせりふで自分だったらこう演じるかなと思っていたものを実際聞いて、『こう読んだらそう聞こえるんだ!』と照らし合わせる作業も現場ならではの面白さ」と笑顔を見せた。
アニメやマンガが大好きという七海さんにとくに思い入れが深い作品を聞くと、「HUNTER×HUNTER」という答えが返ってきた。
「男の子の友情みたいなものにすごく憧れがあって、女の子にはない友情があるじゃないですか。『HUNTER×HUNTER』を見ながらそういうものに憧れていて、だからこそキルアとゴンの二人が好きなんです。二人が修行する姿を見て、『修行か、私も頑張ろう』と。自分がすごく頑張っている時期にアニメの世界に勇気をもらったり、自分の人格形成においてもアニメから考え方を学んだ部分があったなとすごく思います」
「HUNTER×HUNTER」の好きなシーンは「グリードアイランド編」の一場面という。
「ゴンがキルアに『キルアと会えて オレ 本当によかったよ!』というシーンがあるんです。キルアは普段自分の気持ちを表に出さないキャラなのですが、このゴンの言葉に対して、モノローグで『逆だよ ゴン オレなんだ』『お前にあえて 本当によかった』というんです。そこはすごくグッときました。マンガでも好きだったシーンだったんですけど、アニメでもやっぱりいいなと思いました」
七海さんにとってアニメやマンガが大きな活力になっているところもある。
「アニメやマンガの世界は、すごく純粋に一つの物事に向かってる人が多いじゃないですか。熱く、しっかり人生を生きている。そういうのがやっぱり好きなんですよね」
声優以外でも2019年8月にはアーティストとしてメジャーデビューし、今後は、舞台「刀剣乱舞」への出演も控えている。細川ガラシャ役として出演が発表された際は大きな話題となった。
「舞台『刀剣乱舞』という人気コンテンツに初の女性キャストとして抜てきしていただいたのは、すごくうれしかったです。ただ、今まで築き上げられた舞台『刀剣乱舞』の世界は出演者の方、お客様も含めみんなが作っているものだと思います。そんな舞台に立つからこそ、皆さんの思いも考えて、自分に対する責任感を持ってしっかりやらなければいけないと思っています」
七海さんは「見てくださる方の気持ちを知りたい」といい、アニメやゲームで「刀剣乱舞」の世界に触れ、「どんどんハマっている」という。また、今回の細川ガラシャ役は、退団後初めて演じる女性役でもある。
「細川ガラシャは自分の信念に真っすぐに生きた女性。舞台『刀剣乱舞』という世界の中で実在の人物を演じるので、よりリアルさ、彩りを添えられたらいいなと思っていますね」
さまざまなジャンルで輝きを見せる七海さん。今後はどんな活動で新たな輝きを見せてくれるのだろうか……。
「今のこのような状況になって、改めて自分自身も皆さんからすごく力をもらっているし、皆さんが『元気をもらっています』と手紙やメールなどで伝えてくれるので、私自身が皆さんの活力の源になれるのだなと感じています。これからもみんながすてきと思ってくれるように常に自分を律し、いつまでも強く、美しくありたいです。いろいろなことに挑戦することによって、幅が広がって、視野も広がって、そんな私を見てみんながまた元気になってくれる。一緒に相乗効果で高めていけるような存在でいたいなと思います」
新たに出演する作品を通して自分を知ってもらいたいという思いも強い。
「舞台やアニメは役から役者を好きになることも多いと思います。すごくぜいたくだし欲張りとは思うのですが、自分が演じた作品を見て七海ひろきにつながり、よりたくさんの人に自分が出演する作品や歌を知ってもらえたら……。ここからまたどんどん自分を発展させて、よりたくさんの人とのつながりを持っていきたいです」
最後に「強く、美しく」あるための秘訣(ひけつ)を聞いた。
「すごく大きいことをいっているんですけど、意志が弱くなる時ももちろんあるんです(笑い)。そういう時にファンの方からの『七海さんが頑張っているのを見て、私も頑張ろうと思いました』というコメントを読んで、『頑張ろう』と思える。メンタルってすごく大事で、意志の弱さはやっぱり意志でしか強くなれない。心の強さを持つことを常に心がけることで、理想の自分に近付いていけるのかなと思います」
話を聞いて改めて感じたのは、七海さんのコンテンツに対する真摯(しんし)な思い、ファンへの愛、それゆえのストイックさだ。“無印・七海ひろき”の今後の活躍から目が離せない。
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