ドラゴンボールDAIMA
第6話 イナヅマ
11月18日(月)放送分
人気ゲーム「ドラゴンクエスト」シリーズの世界観、設定を基にしたマンガ「DRAGON QUEST -ダイの大冒険-」の新作テレビアニメ「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」で、主人公・ダイの声優を務める種崎敦美さん。「週刊少年ジャンプ」(集英社)で1989~96年に連載された人気作で、1991~92年にテレビアニメが放送されており、約28年ぶりにアニメ化される。長きにわたって愛され続けており、種崎さんにとっても子供の頃から好きだった特別な作品だという。人気作の主人公、思い入れのある作品ということで、プレッシャーが大きく、葛藤もあったという種崎さんに、同作への思いを聞いた。
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「DRAGON QUEST -ダイの大冒険-」は、三条陸さんが原作、稲田浩司さんが作画を担当し、堀井雄二さんが監修。「週刊少年ジャンプ」で1989~96年に連載された。少年・ダイが、魔法使いのポップたちと魔王を倒すために冒険する姿が描かれた。コミックスの累計発行部数は約4700万部。新作テレビアニメは、テレビ東京系で10月3日から毎週土曜午前9時半に放送。
種崎さんにとって「ダイの大冒険」は子供の頃から見ていた特別な作品だった。
「小さい頃に家族みんなでアニメを見ていました。アニメの放送が終わった後、姉の本棚にあった原作も読んでいました。技が格好いいな!とアニメを見ていたのですが、マンガを読んで、ストーリーをちゃんと理解するようになりました。ロモス城でポップが声援を受けて『ご声援、ありがとうございます!』と言うシーンがあるのですが、子供だったこともあって、アニメを見ている時は『ご声援』が『5000円』だと思っていたんです。お金もらっていたんだ……と(笑い)。原作を読んで『ご声援』と分かったり。今思えば、当時は、ポップとマァムの恋愛模様を見ていたのかな?」
新作アニメのオーディションの前に原作を読み返し、「子供の頃と変わらず夢中になりました」という。
「大人になって読み返すと、人間ドラマがしっかりしていて、恋愛もリアルに描かれていることに気付きました。片思いが多いですけど(笑い)。魔王軍が会社みたいで、中間管理職は大変だな……と感じたり」
種崎さんが特に好きだったキャラクターは魔法使いのポップだ。元々は臆病者だったが、大きく成長して仲間のために戦い、ダイを支えることになる。
「今も大好きで、子供の頃から変わっていないです。『ダイの大冒険』はポップの成長物語でもありますし。成長した後のギャップがいいですよね。ギャップに弱いんです。子供の頃もそう思っていたのかな?」
今年5月に「ダイの大冒険」の声優陣が発表会で明かされた際、種崎さんが涙を流す場面があったのが印象的だった。子供の頃から好きだった特別な作品、人気作ということもあり、プレッシャーが大きかったという。
「出演が決まった時は、うれしい!どうしよう!?という波が交互にやってきました。家族がみんなで見ていたので、家族も喜んでくれる。私みたいにダイが好きな人がたくさんいる……とプレッシャーが押し寄せてきました。小さい頃から大好きな作品で、そんな作品に出演できることなんて人生でそうそうありません。自分が好きだからこそ、ダイが好きな人がたくさんいることも分かります。自分は、ダイを演じさせていただくことになりましたが、もし自分が大好きな作品の新作アニメが作られることになって、自分が出ていなかったら……と考えてしまいます。仮にそういう状況だったら、その自分をがっかりさせたくないんです」
アフレコが始まっても大きなプレッシャーがあったという。周囲にはプレッシャーを悟られないようにしていたが、アフレコが進むにつれ、少しずつ違和感が生まれてきた。
「最初は『作品に向き合うぞ!』『一生懸命やるぞ!』という気持ちが強かったのですが、段々と『このままでいいのか?』『ふわふわしていないか?』という葛藤が自分の中で生まれてきたんです。自分の中で心の場所が変わったというか……」
苦しい時期に、手を差し伸べてくれたのが、ポップ役の声優の豊永利行さんだった。
「豊永さんは、私の葛藤を全部感じ取ってくださっていたんです。『最近、最初とは違うんじゃない?』『大丈夫ですか?』と声をかけていただきました。こういう状況(新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、最少人数でアフレコしている状況)なので、皆さんと作品についてがっつりお話しする機会がなかなかありませんでした。豊永さんは『でも、話しましょう!』と言ってくださった。私の心の中、作品への思い、演技などについて話し合うことができました。監督には、原作と今回のアニメの違いなど細かいところを全部質問しました。そのことが大きくて、作品にしっかり向き合っていけるようになったんです。体に力が入りすぎていたんでしょうね。いい意味で現場になれてきました。放送が終わるまで、プレッシャーはあると思いますが」
ポップは、ダイの大切な仲間だ。種崎さんも豊永さんという“仲間”に助けられた。
「そうなんです。仲間ですよね。プレッシャー、違和感をなるべく出さないようにしていたので、びっくりしました。掛け合っていると分かってしまうんですね……。豊永さんは『ダイが悩んでいる時、何とかするのがポップだよ!』と言ってくださった。リアル『ダイの大冒険』です。こんなにすごい仲間と冒険できることが、うれしいです」
ダイを演じる中で大切にしているのは“仲間”とキャラクターを作っていくことだ。
「この作品に限った話ではありませんが、キャラクターは自分だけで作られていくものではありません。周りの人がいて、キャラクターが作られていきます。『ダイの大冒険』の原作は完結していますし、計画を立てて芝居をしないといけません。ほかのキャストの方との演技と融合させて、よりよいものにしないといけません。……と頑張っていたんですけど、普段と同じことをやっているつもりでも、気負いがあって、普段のようにできなくなってしまったかもしれません。そうなんですよね……。やっぱり、周りの方々を大切にしています」
ダイといえば決め技の「アバンストラッシュ」が有名だ。「アバンストラッシュ!」と叫び、剣を振る技で、連載当時、子供が傘などでまねをする姿もよく見られた。種崎さんは「アフレコでは『アバンストラッシュ!』と言うぞ!となる余裕はないのですが、完成した映像を見た時に、言っている!信じられない!本当なんだ!ありがとうございます!となって(笑い)」と話す。
アニメの見どころを「前のアニメとは明らかに違いますし、新しい『ダイの大冒険』として楽しんでいただきたいです。スタッフ、キャストが練りに練った大作です。楽しみにしていてください!」と語る種崎さん。役に向き合う姿勢は真摯(しんし)そのもので、だからこそ葛藤もあったのだろう。“仲間”と一緒に思いを込めた熱演に期待したい。
注:種崎さんの「崎」は「たつさき」
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