深田恭子:「神様、もう少しだけ」“育ての親”が語る魅力 「ルパンの娘」で見せる唯一無二の“味”

連続ドラマ「ルパンの娘」で主演を務めている深田恭子さん(C)フジテレビ
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連続ドラマ「ルパンの娘」で主演を務めている深田恭子さん(C)フジテレビ

 10月15日にスタートした連続ドラマ「ルパンの娘」(フジテレビ系、木曜午後10時)で主人公の三雲華を好演している深田恭子さん。ドラマは、映画「翔んで埼玉」で第43回日本アカデミー賞の「最優秀監督賞」を受賞した武内英樹監督が手掛けており、武内監督といえば、深田さんが女優として一気に開花した1998年放送の連続ドラマ「神様、もう少しだけ」(同局系)も手掛けていた。当時、深田さんの演技指導を行ったと語る武内監督に“女優・深田恭子”の魅力について、改めて聞いた。

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 ◇“普通の女子高生”深田恭子に演技合宿も

 武内監督は、「神様、もう少しだけ」「翔んで埼玉」のほか、気弱なオタク青年・山田剛司とお嬢様で美人女性会社員・青山沙織(エルメス)との純愛を描いた「電車男」、クラシック音楽を題材に、不思議キャラのヒロイン・のだめと“オレ様”な性格の完璧主義者・千秋真一の成長と恋模様を描いたラブコメディー「のだめカンタービレ」といった数々の話題作を手掛けてきた。

 そんな武内監督が初めてチーフディレクターを任されたのが、援助交際をきっかけにHIVに感染したギャル風の女子高生・叶野真生(深田さん)と人気音楽プロデューサー・石川啓吾(金城武さん)の恋愛を描いた「神様、もう少しだけ」だった。当時の深田さんの印象について「演技のことをあまり知らない普通の高校生という感じでした」と回顧。チーフディレクターとしてプレッシャーを感じていたという武内監督は、深田さんに「演技合宿をしたり、何十回も撮り直したり、必死に演技指導しました」と明かす。

 武内監督の指導のもと、天真らんまんだった女子高生が、HIVに感染して葛藤したり、病と闘うといった細かい心情の移り変わりを、深田さんが繊細な表現と迫真の演技で見せた。胸を打たれる視聴者が続出、大きなインパクトを与えた。武内監督自身も「思い入れ深い作品です」と振り返っている。

 ◇下妻物語のロリータ、ドロンジョ、富豪刑事… “代名詞”と呼べるキャラ続々

 深田さんは、「神様、もう少しだけ」に出演後、数々のキャラクターを演じ、名実ともに人気女優の仲間入りを果たした。1999年に単独初主演を果たした連続ドラマ「鬼の棲家(すみか)」(同局系)が放送。2004年には映画「下妻物語」で、ユニークな演技でロリータの竜ヶ崎桃子を好演し、「第59回毎日映画コンクール」の主演女優賞をはじめ数々の賞を受賞。さらに、2009年公開の映画「ヤッターマン」では、コミカルな表情や動きでドロンジョを演じ、「第52回ブルーリボン賞」などの助演女優賞も受賞した。

 また、2005年と翌年に放送された連続ドラマ「富豪刑事」(テレビ朝日系)シリーズでは、大富豪・神戸喜久右衛門の孫娘で、一般常識とかけ離れた金銭感覚を持ち、言葉遣いが上品な主人公・神戸美和子を演じ、老若男女から高い支持を受けた。2009年にはNHKの「天地人」で大河ドラマ初出演を果たし、2012年には「平清盛」で大河ドラマ初ヒロインも務めた。

 2019年放送のラブコメドラマ「初めて恋をした日に読む話(はじこい)」(TBS系)では、“しくじり鈍感アラサー女子”の春見順子を演じ、中でも、横浜流星さん演じる“ゆりゆり”こと由利匡平との恋模様を描くシーンでは、キュンキュンさせられる視聴者が続出した。

 ◇“女優・深田恭子”の不思議な魅力とは…

 俳優、女優の多くは、いくつかの“代表作”もしくは“代名詞”と呼べるような当たり役があるものだが、深田さんは、演じるいずれの役も代名詞と呼べるほどのインパクトと強さを持ち合わせている。

 武内監督は、そんな深田さんの活躍について「神様、もう少しだけ」に出演してからの「22年、第一線で女優をやり続けることはすごいことだと思います。とても大変なことです」と絶賛する。21年ぶりに「ルパンの娘」の前作でタッグを組んだ深田さんについては「女優としてのオーラがものすごく出ていました。あれだけオーラが出ている女優さんは珍しいと思います」と、深田さんに女優としての成長を感じたと明かしながら、「共演者のみならず、周りのスタッフへの気遣いなど、本当にすごいです」と、深田さんが周囲の人たちから愛されている様子も語った。

 改めて“女優・深田恭子”の魅力について聞くと、武内監督は「彼女にしか表現できないオリジナリティーがあります。不思議な魅力がある、ほわんとしたマシュマロみたいな感じ」が“味”だと明かす。

 深田さんが「ルパンの娘」で演じている三雲華は、泥棒一族「Lの一族」の末裔(まつえい)で、女性としての普通の幸せを願っているが、個性の強いキャラクターたちに巻き込まれ、人生を翻弄(ほんろう)されるという役どころ。「彼女が持っているマシュマロみたいな感じが、ドラマの中では“不思議なボケ”のように見える。ほかの女優さんでは出せない雰囲気を出してくれています」と話し、「見えないところで、たくさん努力をしていると思います。その努力を見せずに、華としてほわんとした空気を出し、作品に反映させている演技は、本当にすごいと思います」と語った。

 続編第2話では、華が出産するという物語の大きな転機を迎えた。深田さんの母親としての演技には「母性をすごく感じます。『こんなに母性が出るんだ!』って」と驚いたといい、「もっと、いろいろなシチュエーションを与えると、もっともっと(女優として)伸びていくんだろうなって感じています」と、伸びしろを感じていると明かしていた。

 今作では、普通の主婦になりたいと願う華に、さまざまな困難が待ち受けている。深田さんがどんな演技で楽しませてくれるのか、ますます目が離せない。第3話は10月29日午後10時から放送。

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