魔女見習いをさがして:どれみが主人公ではない理由 「おジャ魔女どれみ」の初心に立ち戻る 関弘美Pに聞く

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「魔女見習いをさがして」のビジュアル(C)東映・東映アニメーション

 人気アニメ「おジャ魔女どれみ」シリーズの20周年記念作品で、オリジナルスタッフと新進気鋭のスタッフが集結し、制作する劇場版アニメ「魔女見習いをさがして」(佐藤順一監督、鎌谷悠監督)が11月13日に公開される。子供のころに「おジャ魔女どれみ」シリーズを見ていた20代の3人の女性が出会い、「おジャ魔女どれみ」ゆかりの地を旅する中で自分自身を見つめ直していく。主人公は「おジャ魔女どれみ」のどれみではなく、どこにでもいそうな20代の女性だ。「魔女見習いをさがして」はどのように生まれたのだろうか? 「おジャ魔女どれみ」シリーズ、「魔女見習いをさがして」を手がけた東映アニメーションの関弘美プロデューサーに誕生秘話を聞いた。

 ◇「おジャ魔女どれみ」と同じ方法で作る

 「おジャ魔女どれみ」は、魔女見習いになった主人公のどれみと、仲間たちが一人前の魔女になるための修業の日々が描かれた。テレビアニメ第1期が1999年2月~2000年1月、第2期「おジャ魔女どれみ♯(しゃーぷっ)」が2000年2月~2001年1月、第3期「も~っと! おジャ魔女どれみ」が2001年2月~2002年1月、第4期「おジャ魔女どれみドッカ~ン!」が2002年2月~2003年1月に放送された。関プロデューサーは、「おジャ魔女どれみ」のほか「デジモンアドベンチャー」「ママレード・ボーイ」「ご近所物語」「花より男子」などさまざまなアニメを手がけてきたレジェンドだ。

 「魔女見習いをさがして」は、子供の頃に「おジャ魔女どれみ」シリーズを見ていた20代の3人が主人公となる。22歳の教員志望の大学生の長瀬ソラ、27歳の会社員の吉月ミレ、20歳のフリーターの川谷レイカが、同シリーズをきっかけに出会い、一緒に旅に出ることになる。3人はそれぞれ悩みを抱えており、刺激を受けあって、前を向いて進むことになる。ファンが主人公というのは、メタ的なストーリーにも見えるが、関プロデューサーは「厳密に言うとメタじゃないんです」と話す。

 「本当にメタにするのであれば、今回の主人公の3人を実写にして、どれみたちをアニメで描いて、実写とアニメを合わせます。初心に立ち戻って、昔のテレビシリーズと同じ方法で作ったんです」

 初心とはどんなものだろうか? 「おジャ魔女どれみ」誕生の20年以上前にさかのぼる。

 「第1期の時、私も佐藤監督もほかのスタッフも30代だったんです。(シリーズ構成の)山田(隆司)さんは40代だったかな? 3~8歳の女の子向けの作品を作るにあたり、当時の子供についてマーケティングしました。1997~98年頃、携帯電話がまだ普及していませんでした。電話のような日常で使う道具や風俗は、私たちの時代とは変わっていますが、面白い、不思議、悲しいことは私たちの時代と変わっていないことに気付いたんです。飼っているペットが亡くなると悲しいし、学校の友達とけんかすると悲しい。電話でお話できるのは不思議。うれしいことは、友達と遊んだり、お年玉をもらった時とか。魔法少女ものを作るにあたり、子供たちのリアルな日常に沿って、悲しい、つらい、困った時、魔法をどう描くのか?と考えていました」

 「おジャ魔女どれみ」シリーズの放送終了後、高校生になったどれみたちを描くライトノベルも発売された。新作を作るのであれば、高校生、さらに大人になったどれみを描くという選択肢もあるだろう。リメークするという選択肢もあるかもしれない。しかし、そうではなく「魔女見習いをさがして」は、「おジャ魔女どれみ」と同じように「おジャ魔女どれみ」世代をリサーチする中で生まれた。

 「『どれみ』を始める時、これまでの魔法少女ものではない、別のものを作ろうとしていました。だから『魔女見習いをさがして』も自然とこうなったんです。今の20代は、子供ではないので、さすがに魔法はないと思っています。でも、神社でお参りをしたり、占いもするし、お願いごともします。願ったり、お祈りする気持ちはなくならないんですよね」

 この時代、「おジャ魔女どれみ」世代に向けて同じアプローチで作ったのが「魔女見習いをさがして」だった。だから「メタでもアナザーストーリーでもスピンオフでもないんです」という。

 ◇色あせない「おジャ魔女どれみ」の魅力

 「おジャ魔女どれみ」は、20年以上にわたり愛され続けている。時代が変わっても「面白い、不思議、悲しいこと」は普遍的だ。今見ても新鮮に見える。

 「魔女はいないかもしれません。でも、隣に座っている人、隣の家に住んでいる人が魔女や魔女見習いかもしれない……。そういうことを思って生活していると楽しいですよね。魔法がないと思っていても、初詣で神社をお参りしますし、お守りを財布に入れておいたら、宝くじが当たるかも?と考えることがありますよね。魔法は、そんな日常の中にある。『どれみ』は、リアル、ファンタジーのバランスが絶妙なのかもしれません」

 子供の頃、アニメを見て、正義、挑戦する気持ち、仲間などの大切さを学んだ人も多いだろう。「おジャ魔女どれみ」を見ていた子供たちも大人になった。大人になれば、子供の時とは違う悩みも生まれる。だからこそ、大人であれば「おジャ魔女どれみ」を見たことがない人でも感じることがあるはずだ。「魔女見習いをさがして」で「おジャ魔女どれみ」世代に伝えたかったメッセージとは……。

 「『どれみ』を作っている頃は、バブルがはじけ、そこから20年は山あり谷ありでした。大きな災害があると、どれみ世代の子が巻き込まれているのでは?とドキドキしていました。生きていてくれて、ありがとう。お母さんのような気持ちなのかもしれません。これから先、いろいろなことがあるかもしれませんが、元気に生きてほしいんです。次の世代にも『どれみ』を伝えてほしいし、時代を超えてつながってくれるとうれしいですね」

 関プロデューサーは「デジモンアドベンチャー」シリーズなどほかにもさまざまなアニメを手がけてきた。「見てくれていた子は、みんな自分の子供みたいに思っています。世界中に子供がいるんです」と笑顔で話す。関プロデューサーをはじめスタッフのメッセージは、世界中に広がっている。「魔女見習いをさがして」もまた、多くの人を元気にしたり、勇気づけたりするはずだ。

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