吉田羊:役が「侵食してくる」ほど一体化 撮影中断も乗り越えて… ドラマ「コールドケース3」石川百合への思い語る

テレビ
吉田羊さん

 12月5日から放送されるWOWOWのクライムサスペンスドラマ「連続ドラマW コールドケース3 ~真実の扉~」で主演を務める女優の吉田羊さん。ドラマは2016年にスタートした人気シリーズの第3弾で、吉田さんは捜査チームを引っ張る刑事・石川百合を演じる。撮影では「役との境目が分からなくなる」ほど百合役に没入していたという吉田さんに、百合役や演じることへの思いなどを聞いた。

 ◇百合が「侵食してくる」ほど一体化

 「連続ドラマW コールドケース ~真実の扉~」は、未解決殺人事件(通称コールドケース)の真相を解明する捜査チームの活躍を描き、世界的に大ヒットした米ドラマ「コールドケース」を日本版オリジナル設定でドラマ化。2016年にスタートし、シーズン2が2018年に放送された。シーズン3となる今作では、百合が率いる神奈川県警捜査1課チームが結束力をさらに高め、闇に葬られた悲しき事件の真実が次々と明らかになる。監督は前作に続いて波多野貴文さん、内片輝さん、守下敏行さんが担当。永山絢斗さん、滝藤賢一さん、光石研さん、三浦友和さんらも出演する。

 以前から「百合役は天職」と強い思いを口にしてきた吉田さん。シーズン3の制作が決まり、「百合という役は私の一部になっていて、(撮影が)終わっても、ずっと私の中に内包されている役。だから、また彼女のその後の人生を生きられるんだ、と楽しみでした」と喜びを語る。百合のクールで毅然とした姿は、どこか吉田さんの印象と重なる。吉田さんも「最初にこの役をいただいたときから、どこか私に似ているなという思いがあったんです」と話し、「『家族や仲間がいても拭えない絶対的孤独感』とか、『母の愛を求める裏返しの反発』とか、共感できる部分があった」と共通点を語る。

 撮影期間は、ほかの仕事に入っていても百合が「侵食してくる」ほど一体化していたという。「今回も、(合間に)着物の撮影の仕事があったんです。着物の撮影では、クールな表情ではなく大和撫子(なでしこ)的な“はんなり”な雰囲気が求められるんですが、無意識に、どこかクールでちょっと孤独を秘めた、人を疑ってかかるような鋭い視線になってしまうぐらい。一体化しているなと、改めて実感しました」とエピソードを話す。

 一方で、百合とは決定的に違う部分もある。「爆笑しない、というところ(笑い)。笑い方は、その人を表すと思っていて、爆笑したことがない、というのは石川百合の人生を象徴している気がします。爆笑の仕方がわからない上に、そういうところに自ら進んで身を置いている。そこは私と違うところかな。私は、できるだけ笑う環境にいたいし、自分から笑えるネタを日々探しているところがあるので」と吉田さん。百合に入り込むあまり、撮影を離れても笑い方がへたになるといい、「大きく笑うと、百合がいなくなっちゃう感覚があって。『コールドケース』の撮影に入っているときは、百合を留めおくために、ちょっと笑い方がへたになる」と苦笑する。

 2016年から続けてきた同シリーズだが、今回は台本を読んで、これまでとは異なる感覚をおぼえた。それはシリーズの「終わり」を意識したことだったという。「これまでは、続編があるな、と予感して台本を読んでいたんですが、今回は『もしかしたら3で終わりなのかもしれないな』と思ったんです。そう考えると、有終にふさわしい百合でなければならないなと思いましたし、一つ一つ終わっていくシーンがよりいとおしく感じられました。私と百合はシリーズを重ねていく中で一体となって成長してきましたが、これまで百合らしくあろうとブレーキをかけていた感情を今回は表に出してみたりするうちに、結果的に、素直で人間らしい百合になったなと感じています」と手ごたえを語る。

 ◇生きがいは“ファン”の存在

 シーズン3を迎えるほどの人気シリーズとなった同ドラマが支持される理由はどこにあるのか。吉田さんは「海外ドラマのリメークはたくさんありますが、(その中でも)『コールドケース』は大成功を収めた作品だと思うんです」と言い、「なにより、世界観をリスペクトして作っていることが大きいと思う」と見解を語る。

 「全編を通して思うのは、この作品は、愛が大テーマということ。大切な何かを守るために犯された、犯罪の奥にある人々の思いを感じ取っていただくことがこのドラマの最大の楽しみ方だと思う。我々が作りたいのは、あくまで死にゆく人、残された人々の生きざまを映し出したいんだということ。そこを見ていただけたらいいなと思います」と力を込め、「もう『コールドケース日本版』という肩書じゃなくていいんじゃないかな、というところまで感じています。オリジナルの世界観をベースに我々が5年かけて作り上げた、日本が誇れる刑事ドラマだと思っています」と自信を見せる。

 撮影は、新型コロナウイルスの影響で2カ月間の中断を余儀なくされた。「俳優って有事のときになんて無力なんだろう」と絶望感に襲われることもあったという。「ミュージシャンみたいにギター1本で歌えるわけではなく、お笑い芸人さんみたいにネタ一つで笑わせられるわけでもない。俳優って本当に一人じゃできない仕事なんだなと、絶望に打ちひしがれた時期もあったんです」と吉田さん。ただ、リモートドラマという新しいジャンルが誕生するなど、エンターテインメントの可能性も感じた。「考え方ひとつで、どんな状況でもエンターテインメントは生まれる可能性があると知ることができた。『あまり後ろ向きにとらえなくてもいいんだな』と、この大変な状況があったからこそ感じました」と前向きに語る。

 そして、そんな吉田さんを支えるものに、ファンの存在があるという。「私にとっての生きがいはファンのみなさまです。私の作品を見て、たとえば『死にたいと思っていたけど、もう少し生きてみることにしました』とおっしゃる方もいる。自分が生きている意味を感じられるのは、そういうふうに誰かの人生に影響を与えることができた、と感じられた瞬間なんですよね。ファンの方からの励ましや応援の声が力になります。そうやって、お互いに幸せを渡しあえた瞬間は『生きていて良かったな』と感じる瞬間です」とほほ笑む。

 人気シリーズとなった「コールドケース」。吉田さんは「これで最後かもしれない」と予感したが、そう語る一方で、撮影中断期間を経て“シーズン4”への思いも芽生えた。「再びみんなに会えたとき、スタッフさんがほとんどメンバーが入れ替わらず参加してくださって。自粛前より熱い熱量で『絶対撮り切ろう』と臨んでくださったので『こんないいチームを3で終わらせてはいけないんじゃないか』と考えが変わりまして(笑)。ぜひ“4”もやりたいです、とあえて口に出すようになりました」と吉田さん。「ただ、視聴者のみなさまが『4もやればいいのに』と言ってくださらないと始まらない。まずは3を成功させて、“4”につなげていきたいと思っています」と熱く、続編への意欲を語った。

 「連続ドラマW コールドケース3 ~真実の扉~」は12月5日から、毎週土曜午後10時にWOWOWプライムで放送。第1話は無料放送。

 ※スタイリスト:梅山弘子(KiKi inc.) ヘアメイク:paku☆chan(Three Peace)

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