ドラゴンボールDAIMA
第3話 ダイマ
10月28日(月)放送分
空知英秋さんの人気マンガが原作のアニメ「銀魂」の完全新作となる劇場版「銀魂 THE FINAL」(宮脇千鶴監督)が、1月8日に公開された。テレビアニメ第1期がスタートした2006年から約15年、アニメシリーズの「本当に最後」の作品となることが話題となっている。主人公・坂田銀時役の杉田智和さんは、銀時を「切っても切り離せない存在」と語り、15年前のアニメシリーズが始まった当初は「ずっと背伸びしたままマイク前に立っていて、地に足が着いていなかった」と明かす。志村新八役の阪口大助さん、神楽役の釘宮理恵さんと共にアニメスタートからこれまでを振り返った。
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「銀魂」は、天人(あまんと)と呼ばれる異星人に占領された江戸時代を舞台に、何でも屋を営む侍・坂田銀時らが難題を解決する姿を描いたSF時代劇コメディー。テレビアニメ第1期が2006~10年、第2期が2011~13年、第3期が2015~16年、第4期が2017~18年に放送された。2010年に劇場版アニメ「劇場版 銀魂 新訳紅桜篇」、2013年に「劇場版銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ」が公開。
「銀魂 THE FINAL」は劇場版3作目で、空知さんが全面協力し、「原作のラスト」をベースとしたストーリーが描かれる。“最後の敵”は、銀時、高杉晋助、桂小太郎らを教え導いた師匠・吉田松陽の別人格の虚(うつろ)。銀時たちを援護するため、新八、神楽、真選組、かぶき町の面々、かつてのライバルたちまでもが参戦し、“最後のバカ騒ぎ”が繰り広げられる。
――アニメの始まりは、2005年の「ジャンプフェスタ・アニメツアー2005」で上映された「銀魂 ~何事も最初が肝心なので多少背伸びするくらいが丁度良い~」でした。その後、2006年にテレビアニメがスタートしました。最初のアフレコの様子はいかがでしたか?
杉田さん ずっと背伸びしたままマイク前に立っていて、ちょっとでも力が入ったら転倒してしまうぐらい地に足が着いていなかったです。「どうしよう、目上の人だらけだ」と。どうして自分の声はこんなに出ないんだろう、なんでここ一番にもっと声が伸びないんだろうとか、存在感ってなんだろうとか。結果ばかり焦っていました。それだけすごくよく覚えています。
阪口さん 新八は、気負いなく入れるキャラだったので、僕に関しては杉田君のようなことはなかったですね。ただ「銀魂」という作品のノリと勢いについていくことだけ。もちろん真剣にはやりますけど、最初のアニメツアーだったので、演者が楽しくなければ伝わらないなと。とにかく気負いよりもその状況を楽しむだけだったような気がします。すごく楽しかったという思い出があります。
釘宮さん うらやましいですよね。そんなに最初から楽しかったなんて(笑い)。私は緊張しすぎて、「空気薄いな」「本当に酸素足りてる?」という感じでした。神楽は、最初のオーディションから「いわゆる中国人キャラクターというしゃべり方にはしないでください」と言われていたんです。それに最初の2、3年はずっとキャラが固まらなかったのもあって、自分の中でこうしたいという気持ちと、何が正解か分からないという気持ちがあって、すごく迷子になりながらやっていました。最初の頃はしょっちゅう大助さんに「本当に神楽でした?」「これで合ってました?」と聞いていた気がします。
阪口さん でも、出来上がったのを見ると、ちゃんと神楽だからね。杉田君だって、背伸びしている感じには全然聞こえなかったもんね。
杉田さん だから、釘宮さんが不安を抱いていたのは信じられないです。
釘宮さん 数年間はそんな感じでしたよ。
杉田さん 「学園戦記ムリョウ」(2001年5~12月にNHK衛星第2で放送)という作品にこの3人がそろって出演しているんですけど、その時から釘宮さんにはディレクターの信頼を得て、マイク前でものすごいお芝居をするイメージがありました。
――杉田さんは当時どんな気持ちで仕事をされていたのですか?
杉田さん 僕は当時は目の前が真っ白になって、自分が何をしているか分からない状態でした。「ムリョウ」の時は19か20歳ぐらいですけど、不安とつらいという気持ちしかなくて、「あ、僕はプロでいられないな」と。その後、逃げるようにフリーランスの道を選びましたが、その時決まった仕事や前に所属していた事務所の手前もあって、プロであり続けなきゃと思っていた時期ではありました。でも実感がないから、ずっと悪夢を見続けるような毎日でした。そんな時、「銀魂」の出演が決まって不安がピークに達したんです。
――その不安を乗り越えられたのは?
杉田さん 「銀魂」の現場で一緒になる人たちが自分よりも若い世代になってきた時に、「あ、これじゃダメだな」と。基本自己否定から入るタイプなのですが、自己肯定を始めないと自分が持たないなと思いました。でも、すぐそばにお二方がいてくれて、僕は感謝しきれません。いろいろ踏みとどまれたなって。特大のセーフティーネットになってくれた。今も僕は、「銀魂」の現場では絶対甘えているんですよ。
阪口さん 僕もそうだからね。杉田君にもくぎみー(釘宮さん)にも甘えている。
釘宮さん みんなそうですよ。逆にみんなはほかの現場でも甘えていますか?
阪口さん どんな質問だよ!
杉田さん ほかの現場では多分甘えられてばかりだと思います。若手や年上の人からも「不安なんだ」という言葉のほうがよく聞きます。中には「銀時に憧れてこの世界に入ってきました」という人もいるので、それは情けない姿を見せられないなって。そういう考え方に至るようになりました。ちゃんとしなきゃ、努力しなきゃ、頑張らなきゃと口に出しては終わりだなとは思っていますけど、それを自然に出せるようにならないといけないなと。
――自分にとって「銀魂」という作品、演じてきたキャラクターはどんな存在になっていますか?
杉田さん 別の現場でも「銀魂」の話題は出るし、「なぜ僕を起用したんですか」と聞くと、「銀魂の影響で」と言われたり、「一家をあげて万事屋さんが好きなんです」というクライアントさんとお会いすることもあります。切っても切り離せないです。「銀魂」から得たものは、現在の自分の姿そのものだと思います。どの現場に行っても求められるし、そういう言葉を投げかけられるんですよね。日常のそこかしこに「銀魂」の影響がある。やたら「銀」の付く名前の役を振られたりとか。
釘宮さん たしかに私も神楽役を何役もやってるかも。
――ほかの作品でも「銀魂」の影響は大きいのですね。
杉田さん 切っても切り離せないとはいえ、それに甘えきっていてもしょうがないんですよ。前向きな意味で役を置いていかないと自分に戻れない。銀時から得たもの、学んだことは、今日でもずっと増え続けるし、そこを全部切り離したら、自分ではなくなってしまうんじゃないかなと。
阪口さん 僕も新八の影響力を感じることは多いですね。ほかの作品で普通のキャラを普通に演じていると、「もっとツッコミ口調でお願いします」と言われることがあります。これが15年続けてきた影響力なんだなと思いますね。新八は、自分が持っている引き出しをフルで使わなきゃいけないキャラですが、新八を通じて何か新しい引き出しを作ったとは感じないんです。ただ、その引き出しの許容範囲は大きくなったかなと。新八は普通の子なので、今まで自分がやってきたことの延長線上にいるのかなと思いますね。
――釘宮さんは「銀魂」から得たものは?
釘宮さん 「銀魂」で鍛えられたいと思っていたのに結局鍛えられなかったのは、すぐ笑っちゃうところですね。
杉田さん・阪口さん えー!(笑い)
釘宮さん あまりにも面白すぎちゃって。「銀魂」に出ることで、笑うシーンは耐えられるようになるかなと思ったんですけど……。笑いの部分は克服できなかったんですが、汚い言葉には口が慣れました。心に迷いなくすっと出るようになっちゃいましたね(笑い)。
アニメ「銀魂」の始まりから培ってきた万事屋の絆は、取材中の息ぴったりの掛け合いからもひしひしと伝わってきた。釘宮さんは「銀魂」は「みんながみんな全力で、応援する人も、作る側も、声を当てる私たちも全力で、相乗効果でなんとかここまでたどり着けた」とも語っていた。声優陣が全力で演じた“最後のバカ騒ぎ”を思う存分劇場で堪能したい。
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