冬ドラマ:朝ドラ脚本家が多数参戦 オリジナル作品でさく裂させる“色”

連続ドラマ「天国と地獄 ~サイコな2人~」のビジュアル(C)TBS
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連続ドラマ「天国と地獄 ~サイコな2人~」のビジュアル(C)TBS

 現在放送中の2021年1月期ドラマ。今期は、初回視聴率16.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と好発進した「天国と地獄 ~サイコな2人~」(TBS系、日曜午後9時)をはじめ、オリジナル作品が並んでいるのが特徴的だ。さらに、今期のオリジナルドラマには、NHK連続テレビ小説(朝ドラ)を手がけた“朝ドラ脚本家”が集結している。それぞれの“色”で個性を放つ6人を紹介したい。

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 ◇役者との“タッグ技”で魅せる! 新しさ引き出す森下佳子&宮藤官九郎

 TBS系の「日曜劇場」枠で放送中の「天国と地獄 ~サイコな2人~」を手がけているのが、朝ドラ「ごちそうさん」の森下佳子さん。努力家で正義感が強いが慌てん坊な35歳の刑事・望月彩子(綾瀬はるかさん)が、サイコパスな殺人鬼・日高陽斗(高橋一生さん)と魂が入れ替わってしまう、というストーリーだ。

 森下さんはこれまで、本作の主演を務める綾瀬さんと同局系のドラマ「世界の中心で、愛をさけぶ」「白夜行」「JIN-仁-」「義母と娘のブルース」と、度々タッグを組んできた。今回は綾瀬さんのイメージを覆すようなダークな役どころで、劇中では不気味な笑顔を見せたり、声を荒らげたりするなどの演技を見せている。女優としての魅力を熟知した森下さんによって、また“新たな顔”が引き出されていると言えるだろう。

 同じく“タッグ技”で魅せるのが、金曜ドラマ「俺の家の話」(TBS系、午後10時)を担当する、「あまちゃん」の宮藤官九郎さん。本作では、現役プロレスラーの観山寿一(長瀬智也さん)と謎の女性介護ヘルパー・志田さくら(戸田恵梨香さん)が、能楽の人間国宝で寿一の父・観山寿三郎(西田敏行さん)の介護と遺産相続を巡って激しいバトルを繰り広げる。

 宮藤さんが主演の長瀬さんとタッグを組むのは、同局系の「池袋ウエストゲートパーク」「タイガー&ドラゴン」「うぬぼれ刑事」に続き4回目。今作についてのインタビューで、宮藤さんは長瀬さんについて「連載少年マンガの主人公のような存在」「思い切りがいいところが魅力」と語っている。「狙い通りにいけば、今まで見たことない等身大の長瀬くんを見ることができる」と話しており、ここでも新しい姿を見られそうだ。

 ◇会話劇で魅せる! テンポ感生み出す北川悦吏子&福田靖

 水曜ドラマ「ウチの娘は、彼氏が出来ない!!」(日本テレビ系、午後10時)の脚本を務めるのが、「半分、青い。」の北川悦吏子さんだ。ドラマは少女のような天然な母・水無瀬碧(菅野美穂さん)と、しっかり者で“オタク”の大学生の娘・空(浜辺美波さん)のそれぞれのラブストーリーを描く。北川さんは独特な言い回しのセリフやテンポの良い会話劇が特徴的。劇中では“友達親子”のように仲良しな碧と空のコミカルなやり取りが楽しめる。

 テレビ朝日系の土曜ドラマ「オシドラサタデー」枠で放送中の「書けないッ!?~脚本家 吉丸圭佑の筋書きのない生活~」(午後11時半)を手がけているのが、「まんぷく」の福田靖さんだ。脚本家兼主夫の吉丸圭佑(生田斗真さん)が、クセの強いドラマの関係者に振り回されながらも、執筆、家事、育児に全力投球する姿を描くマイホームコメディー。福田さんは脚本を書く際に口述筆記を取り入れているといい、より口語らしく“生々しい”セリフが印象的だ。

 ◇作風で魅せる! 世界観作り出す岡田惠和&橋部敦子

 木曜ドラマ「にじいろカルテ」(テレビ朝日系、午後9時)を担当するのは、「ちゅらさん」「おひさま」「ひよっこ」などの岡田惠和さん。東京から山奥の小さな村にやって来た内科医・紅野真空(高畑充希さん)が、命と向き合っていく成長物語となっている。岡田さんといえば人と人との絆が感じられるような、“ハートフル”な作風のイメージも強い。自身初の医療ドラマとなる今作でも、視聴者の心に温かな風を吹かせている。

 テレビ朝日系の「土曜ナイトドラマ」枠で放送中、「モコミ~彼女ちょっとヘンだけど~」(午後11時)の脚本を務めるのが、「ファイト」の橋部敦子さん。橋部さんといえば、「僕の生きる道」(カンテレ・フジテレビ系)をはじめとする「僕」シリーズや、「フリーター、家を買う。」(フジテレビ系)など、家族をテーマにした作品も多い。今作でもぬいぐるみや植物の気持ちが分かる“不思議な感覚”を持つ主人公・清水萌子美(小芝風花さん)と家族の再生を描いている。

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 朝ドラでは1話15分という短い時間の中で、物語に起伏を生み出すことが求められる。加えて半年で全百数十回という長丁場の中で、脚本家たちは、インパクトのあるキャラクター、特徴的なセリフ、細かな心理描写など、それぞれの持ち味を生かしながら難易度の高い課題に挑戦してきた。そうした個性と高い実力は、間違いなく今期のドラマにも発揮されているといえるだろう。自由度の高いオリジナル作品だからこそ、より感じることのできる脚本家の“色”を堪能してほしい。

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