映画やドラマで話題作への出演が続き、着実に女優としてキャリアを積み上げている森七菜さん。映画「ライアー×ライアー」(耶雲哉治監督、公開中)では実写映画では初のヒロイン役として、地味系大学生の高槻湊と金髪ギャルの女子高生・みなという“2役”に挑戦している。昨年放送された連続ドラマ「この恋あたためますか(恋あた)」(TBS系)に今作と主演作が続く森さんに、ギャルメークへの反響や以前との心境の変化、今後の目標などを聞いた。
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映画は「私×義弟×JK姿の私」という“2人なのに三角関係”の恋模様を描いた金田一蓮十郎さんの同名マンガが原作。森さんは人気グループ「SixTONES(ストーンズ)」の松村北斗さんとダブル主演を務める。親友・真樹(堀田真由さん)の頼みで友達の高校時代の制服を着てギャルメークで街に出た湊(森さん)は、同居中の同い年の義弟・透(松村さん)と遭遇。とっさに“女子高生・みな”と名乗ると、透はJK姿の“みな”に一目ぼれし、猛アプローチをかける……というストーリー。湊に思いを寄せる烏丸役で小関裕太さん、透の親友・桂役で「Travis Japan/ジャニーズJr.」の七五三掛(しめかけ)龍也さんも出演する。
恋愛経験ゼロの“地味系”女子大生と、金髪ウィッグにギャルメークの女子高生という両極端な人物を演じる。もともと原作を読んでおりファンだったという森さんは、原作に沿った芝居を大事にしたといい、台本には原作のシーンを思い出せるように、原作のコマを印刷して貼るなどの工夫もしたという。「自分から出てくる芝居が一番やりやすいし、なじみがあるんですけど、(今回は)優先したいのは原作だったので、がんばって(身体に)なじませて……。難しかったですけど、楽しんでできました」と手ごたえを語る。
女子高生・みなに扮(ふん)するため、ギャルメークにも挑戦した。金髪ウィッグ、濃いめのリップ、カラーコンタクト、つけまつ毛、つけ爪……とやれることは全てやってみたと森さん。スカート丈も短めで、「自分の高校のときは膝ぎりぎりぐらいの長さだったので、恥ずかしかったです(笑い)」と語る。“地味系”の湊とも、普段のナチュラルな森さんの印象とも大きく異なるギャル姿には、自分自身でも驚いたといい「びっくりしました。一番最初に見たとき『誰!?』と思ったから」と笑う。
湊とみなを演じ分けるうえで、金髪ギャルの姿は気持ちが切り替えやすいという効果があった。また、もともと金髪やつけ爪には「興味もありました」という。「ギャルって、日本の文化を代表するひとつになりつつあるので、それを体験できたのは、大きな経験だなと思いました」とほほ笑み、「すごく楽しかったです。気分も上がりますね」と“変身”の感想を明かす。
普段の森さんの姿とは真逆ともいえるテイストゆえに、反響も「すごく大きかったです」。友人にも驚かれたといい、「でも、似合っている、という声が多かったから『こっちもありか』と(笑い)」と冗談めかして語る。自身でも、“みな”のギャル姿の方が見慣れていたようで、「1日の中で“みな”から“湊”に戻るときは『うすっ!』って思うんですよ。『目、取れた?』という気持ちになるぐらい、(湊のメークは)薄くって。みなに、びっくりするぐらいなじんでいましたね。メークを全部落とすと見ていられない、みたいな(笑い)」と楽し気に振り返る。
今作で実写映画初ヒロインを務めた森さん。昨年放送された「恋あた」で連ドラ初主演の大任を果たすなど、作品の“真ん中”に立つ機会が続いており、それに伴って心境の変化もあった。
「『面白かったです』と言ってもらえたときに、『ありがとうございます』と言えるようになったことが変化ですかね。それぐらい作品に愛を込めていて、作品を近くに感じていて『自分がなんとかする』という思いがある。自分の中に、私ががんばらなきゃ、という思いがどこかにある証拠として、『ありがとうございます』という言葉が出てきたと思う。その自覚が本当に生まれ始めた、ということは、すごく大きなことだなと思いました」と森さん。「前までは、どこか遠慮していた部分があったんですけど……でも、『私が言わなきゃ誰が言ってくれるんだ』と思うと、より(作品への)愛が強くなる」と語る。
2020年は「恋あた」をはじめ、NHK連続テレビ小説(朝ドラ)「エール」など数々の作品に出演。その中で、満島ひかりさん、二階堂ふみさん、杉咲花さんら、森さんが日頃から「憧れ」とする先輩女優たちとの共演もかない、「すごく自分にとって刺激のある1年だった」と森さん。特に心に残っているのは、満島さんとの共演後の言葉。「一緒にお芝居したあとに、『魂が古い人なんだね』って言ってくれたんですよ。不思議な言葉だなと思ったんですけど、なんだか、すごくうれしかったですね」と笑顔で振り返る。
今年の8月にはいよいよ20代に突入する。最後に改めてこれからの目標を聞いてみると、「抵抗していてもどんどん大人になるとは思うけど、その中でも、“女の子”と“女性”を行き来できるような人になりたいなと思っています。今、持っている好奇心や挑戦する心は、ずっとそのままでいたい。そのうえで、大人になる部分はなる、という両立を目指しています」と柔らかな笑みを浮かべながら、理想とする姿を語ってくれた。
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