全領域異常解決室
第7話 すべてお話します 物語はここから始まった
11月20日(水)放送分
阿部寛さん主演の日曜劇場「ドラゴン桜」(TBS系、日曜午後9時)に東大専科の生徒の一人、原健太役で出演している細田佳央太さん。今からちょうど2年前、新人ながら映画「町田くんの世界」で主演(関水渚さんとのダブル主演)に抜てきされ、脚光を浴びた期待の若手俳優だ。「ドラゴン桜」では演技に磨きをかけ、昆虫が大好きな心優しき“健太くん”を好演。再び注目を集めている。髪を短くし、体重も約12キロ増量と、ひょろりとした体形の、物静かなメガネ男子だった“町田くん”とはまったく異なる印象を視聴者に与えている。その役作りの裏側と、いま現在の演技への思いなどを聞いた。
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細田さんは2001年12月12日生まれ、東京都出身の19歳。映画「舟を編む」の石井裕也監督がメガホンをとり、安藤ゆきさんの同名マンガを実写化した「町田くんの世界」では、1000人以上が参加するオーディションを勝ち抜き、見事に主演の座を射止めた。その後も、2020年は「十二単衣を着た悪魔」(黒木瞳監督)、今年は「花束みたいな恋をした」(土井裕泰監督)などと話題の映画に出演してきた新鋭だ。
“町田くん”のころは演技経験ほぼゼロということもあってか、当時のインタビューでは撮影を振り返り、「僕が生きてきた中で使えるものは、何もなかった」と話していた細田さんだが、作品を重ねてきて「役に対する責任感は、どんどん自分の中で強くなってきている」と俳優として意識の変化を明かしている。
「“町田くん”のときはとにかく必死でしたし、監督とすり合わせながら作っていて、現場で何か言われて、あたふたしてしまうことも多かったのですが。今は自分が胸を張って『この役を全うする』と言えるくらい責任感を持たなくていけないなと思うようになった」と細田さん。
その責任感の強さは今回の“健太くん”の役作りにも直結。「ドラゴン桜」の撮影に向けて、2月末から2~3週間の間で、カロリーの多い食事を心がけて約12キロ体重を増量した。
しかも細田さんは、所属事務所「アミューズ」の俳優ユニット「チーム・ハンサム」の一員としてパフォーマンスを披露する機会もある中での増量で、「2月末まで別の作品が入っていて太れなかったので、その後から始めて、2~3週間くらいかけて大体12キロくらい。普段は太らないよう気を付けているくらいなので、最初は太れるってことがちょっとうれしかったりしたのですが……。以前に役作りで体重を落としたことはあって、でも実際にやってみると増やす方が大変。食べることはもともと好きなのですが、太るための詰め込む食事で、ただ食べることしかできないというのは本当につらかったです」と苦労を明かした。
さらに細田さんは“健太くん”として丸刈り姿も披露。「髪をここまで短くするのは初めてです。切られているとき、髪がどんどんとなくなっていくって、不思議な感じがして、自分で笑ってしまったくらいなのですが。体重も増やして制服を着ると、自然と健太になっていた。こんな感じだろうなって、自分の中ですごくしっくりしました」としみじみと思い返す。
すでに劇中では、“健太くん”の抱えている問題と特殊な才能があらわに。端から見ると難役にも思えるが、細田さんは「健太は昆虫のことが大好きで知識量もすごい。あと人には負けない集中力がある。自分も最初は難しい役だなと思いましたが、一つ一つ、健太という男子生徒を分解していったら、そこまで中身は複雑にはできてないってことに気付けた」という。
さらに「健太は優しくて、間違いなくいい子。彼が抱えている問題は役作りの一つの核にはなりますが、決してそれだけじゃないんだってことを、役を通じて伝えることができたら」と意欲を見せる。
その一方で、「僕も好きなものに対する知識欲は高い方なので、そこは通じる部分でもある」としながら、「虫は正直、苦手なんです。触れないんですよ。標本や図鑑を見るのは好きなんですけど」と苦笑いを浮かべた。
今回、東大専科の生徒役キャストは、約1000人の中からオーディションで選ばれたことも話題に。
細田さんは「演技オーディションでは(鈴鹿)央士君がやっている役(藤井遼)を演じたのですが、3、4回目のときに『どもった感じでやってくれ』と飯田(和孝)プロデューサーに言われて。それで蓋(ふた)を開けてみたら、健太役で合格していたので、とても驚きました」と秘話を披露。
同世代との共演については「僕にとって非常に有り難いことで、この先も取りこぼすことなく吸収したいですし、間違いなく刺激になっています」と力を込める。
健太にスポットが当てられた5月23日放送の第5回も大きな盛り上がりを見せ、役を演じる細田さんに対して、視聴者から「演技力半端ない」「独特な役がうますぎる」「めちゃくちゃすごい……」といった声が上がるなど、俳優として評価は高まるばかり。
今後に向けては、「作品や僕が演じる役を通して、見た人に何かしら伝わってほしい。僕から具体的に提案することはできないですし、感じ方は人それぞれでいいのですが、何か一つでもいいので、見た人が『感動しました』とか『このシーンで私はこう感じました』とか、そういうふうになるくらい、影響を与えられるような俳優になりたいなって思っていますし、今、出ている『ドラゴン桜』も、間違いなくそういうタイプの作品で、実際にそうなってくれたら、うれしいです」と目を輝かせていた。