ボイス2:地上波ギリギリの演出&抜群のキャスティング 「この夏イチバンの恐怖」と話題になった理由

連続ドラマ「ボイスII 110緊急指令室」第1話の場面写真=日本テレビ提供
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連続ドラマ「ボイスII 110緊急指令室」第1話の場面写真=日本テレビ提供

 俳優の唐沢寿明さん主演の連続ドラマ「ボイスII 110(イチイチゼロ)緊急指令室」(日本テレビ系、土曜午後10時)が7月10日に始まる。2019年7月期に放送され、「この夏イチバンの恐怖」と話題になった「ボイス 110緊急指令室」の第2弾だ。「ボイス」がなぜ話題になったのか、2019年に行った尾上貴洋プロデューサーへのインタビューを基に振り返る。

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 ◇ハードなシーンもごまかさず

 ドラマは、犯罪被害者からの110番通報に迅速に対応すべく、警察の緊急指令室に特設された独自捜査ユニット「ECU」が舞台。猟奇殺人犯に妻を殺された神奈川県警港東警察署の樋口彰吾(唐沢さん)と、父を殺害された緊急指令室の室長で、どんなかすかな音も聞き逃さないボイスプロファイラーの橘ひかり(真木よう子さん)らの活躍を描いた。

 前作には、菊池桃子さんや吉川愛さん、矢作穂香さんらが事件被害者として出演。殴る蹴るの暴行を受ける……というハードなシーンをごまかさずに描いたことで、「圧倒された!」「怖い!!」といった反響があった。こうしたシリアスで、ある種凄惨(せいさん)なシーンを地上波で放送することに、当時、尾上さんは「土曜10時の枠で放送するのに、どこまで暴力表現を描くか、かなり葛藤しました」と告白。

 「理不尽な死や暴力をリアリティーを持って伝えるためには、ある程度の痛みが伴わないと、表現できないと思いました。(シリアスな描写が)『刺さってくる』『不快な気持ちになる』というのは、やっぱりリアリティーのある痛みが伝わっているからだと思います。それを損なわないよう演出、表現しています」と語っていた。

 ◇追い詰める様、まるでホラー映画

 加害者役の芝居にも注目が集まった。ラッパーで俳優としても活躍する般若さんは、前作の初回で、女子大生役の吉川さんを誘拐する犯人役で出演。廃虚となったビルにジリジリと追い詰め、殴る蹴るといった暴行を加える……という恐怖の展開が続いた。吉川さんを追いかけていく様が、あまりにもホラー的な演出だったため、「『シャイニング』のジャック・ニコルソンが頭をよぎった」という反響もあった。

 また、近年舞台を中心に活動するソニンさんは、前作で子供への虐待が疑われる母親を演じた。子どもに刃物をちらつかせたり、狂気に満ちた声を上げながら、隠れている子どもを探す姿など、その迫真の演技を披露。「こわいこわいこわい」「ソニンの顔が怖すぎる」と視聴者を震え上がらせた。

 実力派たちが魅せた演技について、尾上プロデューサーは「ゲストは極端なお芝居を求められるキャラクターが多かったと思います」と苦笑いを浮かべつつ、「大きなお芝居でもリアリティーを出せる人を、と思いました」と、キャスティングのこだわりを明かしていた。

 地上波ギリギリともいえる演出と、抜群だったキャスティングの両輪がはまり、「この夏イチバンの恐怖」と話題になった「ボイス」。今作ではどんな恐怖で視聴者の肝を冷やしてくれるのか、期待したい。

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