今週の激推シネマ:「竜とそばかすの姫」 細田守監督が再び描くインターネット 歌姫ベルの圧巻の歌声

「竜とそばかすの姫」の一場面(C)2021 スタジオ地図
1 / 20
「竜とそばかすの姫」の一場面(C)2021 スタジオ地図

 今週公開される劇場公開作品からMANTANWEB編集部の“激推し”作品を紹介する「今週の激推シネマ」。今回は、7月16日に公開された「時をかける少女」(2006年)、「サマーウォーズ」(2009年)などで知られる細田守監督の劇場版アニメ最新作「竜とそばかすの姫」を“激推し”する。

ウナギノボリ

 舞台は、細田監督が劇場版アニメ「デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!」(2000年)、「サマーウォーズ」で描いてきたインターネットの世界。「時をかける少女」以来となる10代の女子高校生をヒロインに繰り広げられるエンターテインメント作品となっている。

 過疎化が進む高知の田舎町で父と暮らす17歳の女子高生・内藤鈴(すず)は、幼い頃に母を亡くし、父と二人暮らし。母と一緒に歌うことが大好きだったすずは、その死をきっかけに歌うことができなくなっていた。ある日、すずは、全世界で50億人以上が集うインターネット上の仮想世界<U(ユー)>にベルというアバターで参加することになる。すずは、心に秘めてきた歌を歌うことで、瞬く間に世界に注目される存在となっていく。そんな中、すずは、<U>の世界で忌み嫌われる謎の存在・竜と出会い、次第に心を通わせていく。

 同作で描かれる<U>は、「サマーウォーズ」で描かれた仮想空間<OZ(オズ)>をほうふつさせる部分もありながら、より壮大にインターネットが表現されている。<U>のデザインを手がけたのは、英ロンドン在住のイギリス人建築家のエリック・ウォンさんで、細田監督が現代のインターネットを表現すべく、探しに探してたどり着いたクリエーターだという。ほかにも、「アナと雪の女王」「塔の上のラプンツェル」などのジン・キムさんが歌姫ベルのキャラクターデザインを手がけるなど、世界のクリエーターが結集した。

 <U>で繰り広げられる歌姫ベルの歌唱シーンも圧巻だ。すず(ベル)の声優と歌唱を担当するミュージシャンの中村佳穂さんの歌声は、「超巨大」と表現される<U>の世界をまるごと包み込んでしまうかのように美しく、力強い。

 中村さんのほかにも、俳優の佐藤健さんが謎の存在・竜の声優を務め、すずのクラスメート役には、成田凌さん、染谷将太さん、玉城ティナさん、音楽ユニット「YOASOBI」のボーカル・ikuraさんとしても活動する幾田りらさんと豪華キャストが集結。人気声優の森川智之さん、津田健次郎さん、小山茉美さん、宮野真守さんも出演する。

 現実世界と仮想世界、二つの世界で家族、友情、恋とさまざまなドラマが繰り広げられる。細田監督が描く一大エンターテインメントを劇場で堪能したい。

写真を見る全 20 枚

アニメ 最新記事